たくましい

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【おもてなしさせてください】

怪しい。怪しすぎる。

毎日が職場と自宅の往復で、たまの休みも家で寝てばかり。石ころひとつも見当たらない平坦な日々。さすがに脳が変化を求め始めた。まずは手始めに散歩でもしてみるかと歩き始め、なんとなくふくらはぎの張りを感じた頃、小道に入ったところでその看板が目に入った。

【おもてなしさせてください】

看板が立てかけられているのはこじんまりとした何の変哲もない、少し古びた一軒家。(ばあちゃん家みたいだなぁ。元気にしてっかなぁ。)と久しく会っていない、やたら犬に吠えられる祖母を思い出す。

これは何だ、あれか?変わった名前の古民家カフェ的なあれか?

変化を求めほっつき歩いていた身としては少し気になる。こうみえて好奇心は旺盛な方だ。生年月日占いでもよく言われるし。

……このドアを開けたら何かが変わる気がする。とすごく第六感が働いているかのような表情をして佇む。ドアは引き戸ですり硝子だが明かりはついてなく、おもてなしさせてくださいと言うわりには外観が伴っていない。

そうだ、と、この場所をスマホで調べてみた。



―――散歩を再開した。結局、人生が突然変わることなんてないし、君子危うきに近寄らずだし、腹もヘッタ!

ただいまーと誰もいない部屋に帰ってきた。靴を脱ぎ靴下も脱ぎ、四肢を出の字に投げ出す。何だか頭も体もスッキリした気分だ。これ運動不足か。たまに歩くのも悪くないと思ったこと以外の変化はなかったが、これくらいが良いのかもしれない。

10/28/2025, 2:18:52 PM