『遠い鐘の音』
どこかで鐘が鳴り響いている。
反射的に身体を起こし周囲を見渡す。
「ははっ、あんたの故郷は鐘があったのかい?」
「あはは...ええ、毎日のように聞いていたもんで」
恥ずかしさを誤魔化しつつ答える。
故郷を出て街で働くことになったが
どんな運命かここでも鐘の音を聞くとは思ってもなかった。
故郷とは違う音色だがあの重く響く音を聞くと
反射的に体が動いてしまう。
鐘の音を聴いて休憩の指示がでるとこも故郷そっくりだ。
故郷から出たくて街に来たのに、
これじゃあいつまで経っても街に慣れそうにないな。
語り部シルヴァ
12/13/2025, 10:06:37 AM