紫雨

Open App

眠たい目を擦りながら私はデスクと向き合う。明日の資料作りだ。うちは世の中で言うブラック企業と言われるところだと思う。毎日残業して、睡眠もまともに取れていない。でも、私はどうしても辞められない。だって、"仕事がある"ということは、私は誰かに"必要とされている"ということになる。私はその実感を得ることでしか生きていけないのだ。
正直、その感覚さえ味わえればなんでもいいのだが生憎、こんな性格なので私を必要としてくれる人なんて居ない。だから私は仕事に依存する。

ふと、私は動画配信アプリを付けた。これを聴きながら仕事をするのが最近の日課だ。
"あ、いつも配信来てくれてるよね?こんな遅くに、いつもお疲れ様。体調崩してない?大丈夫?僕の配信聞くときくらいは、ゆっくり休んでね"
社畜でも、私を必要としてくれるなら…そんな思いで仕事をやってきた私。初めて、心配された。しかも見ず知らずの人に。
ドッドッ。胸の鼓動が早くなる。
…今日くらいは、ゆっくり休んでもいいかもしれない。私は少しだけ、明日が楽しみになった。

12/15/2025, 4:18:26 PM