心の片隅で
ある夜の話。ある少女の話。
何かが割れる音が響いた。
少女は言った。
お母さんねぇなんでアタシを産んだのよ」
「お母さんの子になんて産まれなきゃよかった」
「お母さんの子になんて産まれなきゃよかった」と
繰り返し繰り返し言い続ける子供。
それでも何も言わない母親。
泣き疲れたのかゆっくりと歩いて出ていく少女。
私はゆっくりと少女に近ずいて言ったんだ。
「君を見てるとバカみたい。」
少女はまるで自分が世界一汚れなき者だと思えているかのような顔を私に向ける。
「ごめんね、生憎そんな遠回りせずとも私は私を大事にできるから」と嫌味満点で返答もしない少女に訴える。
苦そうな顔をする少女。
そんな少女が愛おしくて愛おしくてたまらない。
「君が襲われ身ぐるみ剥がされレイプされポイってされ途方に暮れても、通り魔に刺され、胕が零れても、血反吐吐く君が助けを求めても私はその横を満面の笑みでスキップでもしながら鼻唄口ずさむよ。」
とまたもや嫌味満点で返すと、少女は震えたよにそこで固まってしまった。
「君が嫌いだよ。」
頭の中で華が散る。
私は多分映画の中だったら最強最悪の悪役で
少女は主演でヒーローだろう。
激動の果てにやっと君の元へ来れたんだ。
最後に、
「五月蠅い。」
𝐹𝑖𝑛.
5月の蝿
12/18/2025, 3:19:32 PM