遠い日のぬくもり
私は努力ができない。続かない。
才能があるかと言われたらそうでもない。
努力しようと試みてもその場の空気に飲み込まれてしまう。親の機嫌をとって生きてきた子だったから。
だから出来なかった。周りに真面目な子も沢山いたし、一緒に勉強もしていた。でも友達の一つ一つの行動、言葉が気になって、嫌われてないかな、怒ってるのかなとか考えてたら集中できなくて、やめた。
そんな事を続けていると、私は馬鹿でおちゃらけた子になってしまっていた。
私は気づいたんだ。このおちゃらけた私で居るとみんなが笑ってくれて、私に優しくなる。
「馬鹿」「こんなこともできないの?笑」
なんて言われてもこのキャラだとみんなが笑ってくれる
そんな私を演じていたら努力と才能も見失っていた。
前に戻ろうと思えば戻れた。でも今の環境の居心地がいいから、もっとこのままで居たいと思ったから。
人間がだめになるのなんて早いから。
「努力も何もしないあんたが私に才能だねなんて言わないでよ。私は努力したんだよ」と言われた。
軽い褒めだったのに。
「じゃあなに、努力してて偉いねとでも言えば良かったわけ?私だって努力しようとしたよ。でも突っかかって来たのあんた達でしょ。あんた達のせいなのに私にいちいち言わないでよ。あんた達はさ、私に馬鹿とか言ってきたけどあんた達の方が馬鹿でガキじゃん。褒めたのに怒るとか心狭」
言ってしまった。
私が後悔でいっぱいになって走って家に帰った。
家に帰ると孤独な空間が広がっていて、唯一素で入れて、楽なはずの家が居心地の悪い場所になった。
私は生きる努力を精一杯したよ。
君たちのおもちゃでいるために。
ギチギチと音が物音一つしない部屋で縄を首にかけて、
椅子で身長を盛って首に縄がかかった瞬間に生きる努力が散った。首に掛かった縄はギチギチと音を鳴らして、力なく吊るされている私をより際立たせた。
貴方は辛くなったら死ぬ。
私は幸せな時に死ぬ。
これはどっちが幸せに死ねるか、の勝負です。
降り積もる想い
愛着障害
家庭の影響から私は愛着障害になった。
私は自分の家庭が他とは何も違わない普通の
家庭だと高校に上がるまで思っていた。
私の家庭は親が共働きで私は学校から帰ってきたら
干していた洗濯物を中に入れて、お皿を2人分洗って、
夜になれば冷凍のおかずをレンジで温めて、
その後お風呂に入って、髪乾かして、歯を磨いて、寝る
これが私の普通だった。
母は耳が聞こえない。そして依存型。
1つのものに執着して、それ以外は悪だと決めつける。
自分だけならいいのだが、周りも巻き込み始める。
だから私は母が良いと言ったものしか使えなかった。
父は普段は優しい。でもどのタイミングで怒るか分からず怖い。そんな親の恐怖に日々苦労していた。
そんな日々を送っている内に中学に上がった。
中学に上がると私も意志を持つようになり、母の言う事をあまり聞かない時期が少しあった。
その時の両親は私の話をフル無視。
車に乗っていても2人だけで話す、スマホを見る。
そこから私は反抗をやめた。
そしたら母は娘ちゃんは反抗期なくていい子だねなんて、まるで私は反抗しないいい子ちゃんと言うかのようにわたしを褒めた。
高校に上がるとスマホが貰えた。
スマホを貰ってから、私は普通の家庭ではないことがわかった。
そして愛着障害だと友人に言われた。
私は愛着障害を知らなく、調べると何個か当てはまった
友達に強い言葉を言われても嫌われたくないからいい顔をしていたし、日頃から身についた人の顔色を伺う事も当てはまった。
「愛着障害は家庭からくるもの」
これは本当なのかもしれない。
手のひらの贈り物
あの子の手には才能の欠片が、
彼女の手には努力の欠片が、
彼の手には天才の欠片が、
でも私の手にはどの欠片も乗っかってはいなかった。
心の片隅で
ある夜の話。ある少女の話。
何かが割れる音が響いた。
少女は言った。
お母さんねぇなんでアタシを産んだのよ」
「お母さんの子になんて産まれなきゃよかった」
「お母さんの子になんて産まれなきゃよかった」と
繰り返し繰り返し言い続ける子供。
それでも何も言わない母親。
泣き疲れたのかゆっくりと歩いて出ていく少女。
私はゆっくりと少女に近ずいて言ったんだ。
「君を見てるとバカみたい。」
少女はまるで自分が世界一汚れなき者だと思えているかのような顔を私に向ける。
「ごめんね、生憎そんな遠回りせずとも私は私を大事にできるから」と嫌味満点で返答もしない少女に訴える。
苦そうな顔をする少女。
そんな少女が愛おしくて愛おしくてたまらない。
「君が襲われ身ぐるみ剥がされレイプされポイってされ途方に暮れても、通り魔に刺され、胕が零れても、血反吐吐く君が助けを求めても私はその横を満面の笑みでスキップでもしながら鼻唄口ずさむよ。」
とまたもや嫌味満点で返すと、少女は震えたよにそこで固まってしまった。
「君が嫌いだよ。」
頭の中で華が散る。
私は多分映画の中だったら最強最悪の悪役で
少女は主演でヒーローだろう。
激動の果てにやっと君の元へ来れたんだ。
最後に、
「五月蠅い。」
𝐹𝑖𝑛.
5月の蝿