かたいなか

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前回投稿分の続き物。
「ここ」ではないどこか、別の世界に、世界線管理局という厨二ふぁんたじー組織がありまして、
そこの収蔵部局員・ドワーフホトは、
前回投稿分のおはなしで、韓国の薬師の「구미호(クミホ)」、九尾狐のおばちゃんから、
産地直通、台湾茶を購入しました。

「アリサンっていう山のー、
すごく、高いところで育ったお茶なんだって〜」

はい、どーぞ。
職場に戻ったお嬢さん・ドワーフホトは、
経理部の窓際、明るく温かい日差しの入るスペースのコタツに入って、タパパトポポ、とぽぽ。

大好きな親友のエンジニア・スフィンクスと、
同じコタツに入って編み物などしてるおばあちゃん・ノラばぁちゃんに、
さっそく、バニラの美しい香りを咲かせるお茶を、
振る舞ってやるのでした。

ところでドワーフホト、台湾茶は始めてですが、
淹れ方はこれで合ってるのかしら?

「淹れ方?知らねぇよ。
俺様が美味いと思えば美味い淹れ方で、
だいたいホトが淹れる茶はサイコーに美味い」
で、アリサンってどこだ。
万年コタツムリのスフィンクスは、お茶の準備ができるまでの間でもって、
コタツのカゴから出したゆずの皮を削ります。
白くアイシングされた塩バターのシュガークッキーに、サラサラ、かける予定なのです。
「ふーん。タイワン。アリサン。だいたい1500メートルくらいで作られる茶っ葉。

……ツバメのやつに教えたらアイツぜってー長野で茶っ葉の栽培計画とか立て始めるな」

「ツバメさん、向こうに別荘、持ってるのぉ?」
「しらね。でもアイツ、最近1日1回は必ず長野の天気予報チェックしてるぜ」
「それはアレだよぉ。ツバメさんの上司さんが、どっさり降った雪で、雪遊びしたいからぁ」

「へ?」
「うん」
「……へ?」
「らしいよー」

へっッくし!
ドワーフホトやスフィンクスが座るコタツから、遠くとおく離れたあたりで、
誰かが盛大にくしゃみなど、しました。

ということでそろそろお題を回収しましょう。

「黄色い雪が、ふわーふわー」
ゆずの皮がシュガークッキーに降り積もるのを、
ドワーフホト、穏やかな幸福顔で観察します。
「積もってるね〜」

編み物が一段落したノラばあちゃんも、
ああ、これは降り積もってるねぇと、笑います。

「ちょうど良いゆずが手に入ったんだよ」
自分のアイシングクッキーにゆずを削り終えると、
スフィンクスはドワーフホトのクッキーにも、
ガリガリ、ゆず皮の雪を降らせました。
「ホト。おまえもきっと、気に入るぜ」

ガリガリ、がりがり。
親友にもゆずを楽しんでほしい、スフィンクスの想いが積もります。
ガリガリ、がりがり。
シュガークッキーに降り積もる想いは、柑橘の香りをパッと咲かせて、
バニラの台湾茶の香りと、よく混じりましたとさ。

12/22/2025, 8:52:25 AM