それは母がよく使っていたものだった。浅いキズがあちこちにみえ、カップの底には茶渋が円を描くように渦を巻いている。一緒に買い物をした後に家で一息ついたとき夜更けに台所のシンクに置いてあったり自分の飲み物のついでに母の分を注いだりいつもそばにあったそれは久々に実家に帰ったときも現役でそこにいた。見かける度に思うよ。ただいま、母のそばにいてくれてありがとうってね。これからも、どうか末長く母の相棒でいてね。「マグカップ」
6/16/2025, 9:45:05 AM