『凍てつく星空』
「僕、南極に行く」
そんな事をつい、言った。
親友と向かう南極。初めての土地。僕は楽しみ半分、不安半分だった。
事の発端は親友が見せてきたチラシから。
「見た?今朝の新聞に入ってたチラシ。」
「なんだよ、それ。南極…?僕らが行ける訳ないだろ。」
お金もないんだし。と付け加える。
「いやいや!これ、募金制のやつ!企業連携だからさ。ねぇ、お願い!」
と懇願されてしまったのがはじめ。
「バイト代、全部無くなりそうなんだけど。」
まぁ、親友の為…。
「お願いだって〜。じゃあ六割、俺がだすよ。」
「はいはい。そこまでして行きたい理由って何だよ。」
「それは…!星空、そして!オーロラが見たい!」
「はぁ…そんな事かよ。そんなのプラレタリウムでも見に行けよ。」
「分かってないな〜!とりあえず、言ったんだから、お前も準備しとけよ!」
…となって今。僕は親に言った。
「分かった。」と親。
そんなすんなり了承してくれるのだなと思うと。
「お金は出してやる。その代わり、ちゃんと勉強してこいよ。」
と。
『親が出してくれるから僕は行ける。』
とメール。
『了解!ちなみに一月だからな!』
と返信。早くにどうも。
僕は自分の分、少しでも稼ごうとバイトを頑張った。休みの日は朝から晩まで。学校の日は少しづつでも稼いだ。
八月の夏の暑い日に南極に向かうから極寒だし。体温調節が難しいと思いながら…日々は過ぎていった。
前日。
これ持った。あれ持った。そして…と準備し、早めに寝るか。
『待ちに待った明日だな!募金、だいぶあるみたい!企業にも連絡してるから明日、九時に空港な!』
と親友。
『了解。また明日な。』
とだけ返信し、今日は寝た。
まだまだ暑い日なのに僕は長袖とかアウターなど季節外れの服装を持って空港へ向かう。
夏休みというのもあり、人混みが凄い。
「やっぱり人が多いな。」
俺がぼそっと言うと、隣にいた親友が、
「そうだな〜!」と元気なやつ。
飛行機でオーストラリアまで向かい、そこから船で向かう。
そもそも飛行機なんて乗らないし、オーストラリアなんて行った事もない。
僕は、ちょっと旅行気分になっていた。
なんて思った自分にちょっとイラッとしてた。
思っていたより、オーストラリアって暑いし。長いフライトで酔ったり。勉強してこいってこういうこと?
なかなかに勉強になりましたっと。軽くメールで親に連絡。
ここからは電波すら危ういらしいので企業の人に合わせる。
船に乗る。日本の船ではないのだから、安全面は…?とか思ったのだが、大丈夫そうだ。
「おい、大丈夫か?」
僕が親友に聞くと、
「うん!何か心配事?大丈夫だよー!そこまで長くないし。」
ただ数日いるだけ。
船はどんどん進んでいき、南極と思われる場所に着いた。
「急に寒くなったり、大変だな。」
僕が、分厚いアウターを羽織りながら言う。
「分かるわ〜!日本の四季に感謝」
「どこに感謝してんだよ。」
と突っ込みを入れた。
「最近さ、ずっと思ってたんだよな。こうやって世界の隅ばっかりに固まるのもどうなのかなって」
急に親友がボソッと言う。
「いや、楽しいよ、こんな旅行。初めてで何も分かんないけどさ。こうやって知らない人と来るのもいいんじゃないの?」
僕は言う。
ほら、と上を指す。
「わぁ…綺麗。写真に収める!これの為に来たんだからな!」
テンションが上がったり下がったり…忙しいやつだな。
「転ぶなよー」と周りの大人。
「なぁ。」
親友が言う。
「また、来たいな。」
12/2/2025, 7:58:24 AM