10年後の私から届いた手紙
近頃の私は、10年という時の重みをひしひしと感じています
若い頃の10年とは違い、行く道の先が見え始めた今、この先の10年は、より私にとって現実と向き合う年月になるでしょう
親は二人とも、この世での役目を無事に終え、あの世へと旅立ちました
真面目に慎ましく生きた二人らしく、平穏で安らかな最期だったと思います
まず、彼らの子どもとして、二人を見送れたこと
これはお世辞にも出来の良い娘とは言えなかった私にしてみれば、せめてもの親孝行だったと思います
ありがとうでもなく
さようならでもなく
またあっちで会おうね!
私は祖母を見送ったとき同様に、彼らにもそう伝えました
不思議とそこに悲しみはありません
老いていくとは何かを、現実としてまざまざと私に見せてくれた両親を、私は心から尊敬しています
平均寿命をはるかに超えての旅立ちでしたから、むしろ二人にとってはご褒美であったとさえ思うのです
一方、私の三人の子どもたちは、それなりにいい歳になり、それぞれ離れ離れではありますが、自分たちの道を進んでいます
巣立ちが早かった子、予想外に手がかかった子、いつまでも甘ったれな子
三者三様ですが、いかにも彼ららしい歩みを見せてくれています
もうこの先、私は彼らの心配はしません
とっくに親の役目は終えましたので、あとは思う存分、それぞれが好きなように生きてくれればいいのです
そこに悔いがあろうがなかろうが、それすらも自分の人生ですからね
残されたのは、私と同じ分だけ歳を重ねた夫との時間をどう過ごすか
これが目下の課題です
不思議と二人に戻ってみたら、思っていた以上に愛おしいのです
これはどういうことかと私自身が驚いているところです
この10年で妻とか親とか、そんな肩の凝るものを脱ぎ捨てて、楽になったからかもしれませんね
ほんの40年前に出会った私たち
この先の二人に残された時間を思ったら、もう過ぎた日の諍いなどはほんの些細なものだったと思えてきます
今は自然とそんな風に思えるようになっています
案ずるなかれ
あなたの10年後はそんなに悪いものじゃない
安心して、毎日をいつも通りに生きてこちらへおいで
そして、そこからまたその先の10年をのんびり一緒に歩いていきましょう
お題
10年後の私から届いた手紙
2/16/2026, 5:24:15 AM