〈夜空を越えて〉
静かな夜の公園で、1人の少年が望遠鏡で空を眺めていた。家の明かりが少なく、田んぼに囲まれたこの公園では星が綺麗に見える。宇宙に憧れがある彼は毎日のように望遠鏡を覗いていた。
「何をしているの?」
いきなり背後から無機質な声が聞こえてきた。振り返るとさっきまでいなかったはずの知らない少女が立っている。
「星を見ているんだ。夜空を見るのが好きなんだ。」
戸惑いながらも少年は答えた。
「でも、そんな棒じゃ夜空の向こう側までは綺麗に見えないでしょ?夜空を越えてみたいとは思わない?」
彼女の顔はその声と同じように無機質で、どこか人間らしくないように感じられた。
「もちろん行けるものなら行ってみたいけど…」
「分かった。行きましょう。」
少年が答える間もなく、少女が指を鳴らす。気がつくと2人は宇宙船のような乗り物の中に居た。
「貴方の願いを叶えてあげる。その代わり向こうで人間の研究をさせてね。」
そこには少女の姿はなく、不気味な宇宙人が立っていた。
すぐに宇宙船は離陸し、宇宙へと飛び立った。窓からは今まで地上から見てきた星々が間近に見える。しかし、恐怖のせいで夜空を越える旅は楽しめなかった。
12/11/2025, 11:00:57 PM