『姉の覚悟』
「姉ちゃん」
その声に振り返る。そこには虚ろな目をした弟が立っていた。
「どうしたの?」
弟は重い物を吐き出すように口を開いた。
「母さんはどうして俺を…俺たちを殺したの?」
その言葉に息が詰まった。弟の目線は私の後ろに移動する。私もそれを追いかけた。
私たちの目線の先には眠っている妹が。すやすやと可愛い寝息をたてながらベッドに横たわっている。私はその顔についている涙の跡を撫でながら弟の質問に答える。
「さぁ、ね。私もわかんない。ただ……あの言葉はお母さんの本心じゃないかなとは思ってる」
「俺たちはいらない子だったってこと……?」
ハッと息を飲んだ弟が悲痛な声を出す。自分で言ったもののその言葉に頷くのは辛い。
弟の顔は悲痛に歪められていた。絶望の色に染まった目からは今にも涙が零れ落ちそうだった。
「おいで」
そう声をかけ、両腕を広げる。弟はよろよろと歩きながら私の体に収まった。その頭を撫でてあげると、弟の嗚咽が聞こえてきた。
……私が、守らないと。この子達を。
弟を抱きしめてる腕に、より一層力を込めた。
ーこれは小さな命たちの始まりの物語
【小さな命】
2/24/2026, 1:43:25 PM