部屋のインテリアについて考えるが、そもそも自室の構造自体が気に入らないため考えるだけ無駄な気がする。時間の感覚が曖昧で歩いていると思ったら炬燵から一歩も出ておらず、冷蔵庫の中身はすっからかんで困ったなと思いつつ身体は動かない。電池切れを期待して生きる。身体がゾクゾクするたびに風邪をひかないかと期待する。足掻けば足掻くほど超現実主義になっていく。お気に入りのジャムを売っている店は途中に顔を覚えられた店員がいる場所を通らなければならず、買いに行く気力がない。モデルルームを見るたびに、これが自分の部屋だったらなとガッカリする。生きる為には金を消費する必要があるのに"周りのことを優先して自分のためには使っていない"と節約を訴える。ならもういいや。調理家電もホテルの部屋のようなカーペットも諦める。メープルシロップもピンクソルトも自家製ヨーグルトも何もかも。日常を支えるあらゆる要素が手のひらから溢れていく。寿命の半分で願いが叶うなら穏やかな終わりを願う。手のひらを閉じて次に開いた時にそんな錠剤が現れないだろうか。もうすぐクリスマスなんだ。そのくらいの贈り物を貰っても許されるのではないか。AIは相変わらず専門医やカウンセラーへの相談を推奨し続ける。そんな段階はとっくに過ぎている。
題『手のひらの贈り物』
12/19/2025, 7:04:01 PM