昔のあの子は、可愛いと噂の女の子だった。柔らかく揺れる茶色っぽい髪に、ふわふわのスカート。零れ落ちそうな程に大きな丸い目とふっくらとした頬。我が侭で、意地の悪い性格。彼女はまさにお姫様だった。
小学校は彼女のお城で、先生も生徒も彼女にとっては従僕か奴隷かといった状態。そんな中、地味で目立たない私がいじめの対象となったのは当然だったのかもしれない。
比較され、蔑まれ、暴力と暴言によって、幼い私は形成されていった。とはいえ、別段悪いようになった訳ではない。早い話、酷く冷めていたのだ。
中略
同窓会で再会した彼女は、あの頃など見る影もない姿をしていた。痛んで引き千切れそうな金髪に、不相応な服のフリル。横に大きくなった体躯と荒れた肌。我が侭で、意地の悪い性格だけがあの頃と変わらなかった。
鼻息荒くわめき散らす彼女の金切り声が、私の元へ一直線に向かってくる。何事かをまくし立てていたが、一つも意味を持ってはいない。その手が振りかぶられたことで、彼女は警備に引きずられていくことになった。
「大丈夫?あんなのに絡まれて、災難だったね」
何時だったか、いじめに加担していた女が声をかける。かつての仲間をあんなの扱いとは呆れたものだ。
「別に、平気だよ。むしろ……」
見た目しか取り柄のなかった女が、その唯一すらも失いわめく姿がとても滑稽で。
「自分がどう見られているのかも理解できない幼さに、心底同情するよ。」
嗚呼、何だかとても愉快だ。
2/21/2026, 11:30:42 AM