前々回から続いたおはなしも、今回と次回投稿分とで、ようやくひと区切り。
最近最近の都内某所、某良質な杉林の奥の奥にポッカリ登場する秘境キャンプ場に、
人間の男性と本物の稲荷子狐と、化け子狸と化け子猫と、それから子猫又と子カマイタチが、
ワイワイ、わいわい、やってきておりました。
子狐たち子供ーズの手はそれぞれ1台ずつ、小ちゃいポータブルかまどを与えられており、
それぞれがそれぞれ、自分のかまどの火の面倒を、一生懸命、見ておりました。
「あ、やだ、やだ、消えちゃう、火が消えちゃう」
子猫又は自分のかまどの火を大きくしようと、急いで大きい薪を詰めますが、
逆に段々、少しずつ、火が小さくなってゆきます。
「どうして、ああ、やだ、どうしよ、どうしよう」
子猫又を含めて子供ーズの、かまどの火は子供ーズ自身が、それぞれ自分たちのチカラで、
もちろん、最初に人間から方法は教えてもらいましたし、注意もちゃんと聞きましたが、
まさしくお題のとおり、「0からの」自力・自作でもって、着火されたのでした。
特に、かまどの火の一番最初、焚き火の起点にした枯葉キャンドルは、
子供ーズが自分たちで枯葉を詰めて、ぎゅーぎゅー押して、ロウソクのロウを流して固めた作品。
子供ーズは0からの自作品、枯葉キャンドルに、
自分たちのチカラで火をつけて、火を育てて、
それでもって、それぞれ好きな料理をつくる予定であったのでした。
引率の人間は、危険が無いかだけに注視して、
なるべく、極力、手を出しません。
すると、子猫又のピンチを助けようとして、
子狐も子化け猫も、皆みんな、集まってきました。
「もっかい、火をつけよう」
「ちがうよ、入れた枝が、おっきすぎるんだよ」
「僕の火、分けてあげる、まってて」
わちゃわちゃ、わちゃわちゃ。
皆で子猫又のトラブルに向き合っておると、
あらあら、まぁまぁ。
子狐が自分のかまどを見てない間に、
子狐のかまどの火が大きくなり過ぎて、鍋底が下からごうごう燃やされています。
これは子供たちには、対処が難しい事態です。
「子狐」
ここで人間が、声をかけました。
「おいで。一緒に火を小さくしよう」
良いかい。落ち着いて。
私がどうやって対処するか、よく見ておくんだ。
パニックでギャンギャン泣きじゃくる子狐を、人間は優しく抱き上げます。
そして、人間はすごく手慣れた風に、小ちゃなポータブルかまどへの空気の出入りを狭くしたり、焚き火台の方に火付きの薪を移したりして、
たちまち、大火災な子狐のかまどの勢いを、丁度良い大きさまで鎮めてしまったのでした。
「すごい。すごい」
「もう大丈夫だ。あとで一緒に、何が起きたか、次はどうすれば良いか、考えよう」
「かんがえる!」
さあ、みんなで美味しい料理を作りましょう。
みんなでかまどの火を見ましょう。
子供ーズは自分たちで話し合って、答えを考えて、
時々、人間にお願いして手伝ってもらって、
数十分後には、焼かれたバター餅にチーズカレー、お汁粉にブロックステーキ、
そして、かまどの外で燃やしていた焚き火の予熱であぶられた、マシュマロなんかが完成しました。
「キツネたち、0からぜんぶ、作った!」
「私、はじめて焚き火でお料理した」
「お汁粉のあんこ残ってるから、そっちのバターもちに、分けてあげる」
わいわい、わいわい!
最初はハプニングもありましたが、子供ーズは皆で協力して、美味しいものを作り上げました。
0からの火起こし、0からの料理を、焚き火を囲んで食べた数時間は、
子供ーズの素晴らしい思い出として、ずっとずっと、残り続けましたとさ。
2/22/2026, 3:00:00 AM