深夜0時19分。
1冊の小説を読み終え、ホッと息をつく。
あったかくて、切なくて、勇気をもらえる物語だった。
世の中にもこんな人がいる。
こんな素敵な人がいる。
そう思うと、また頑張ろうと思えてくる。
昔から小説を読み終えると、よくこういう気持ちになる。
いわゆる「余韻」というやつだ。
たとえそれが小説の中の架空の人物であったとしても――
こういう人になってみたい。
こんな風に振る舞ってみたい。
こんな風に笑ってみたい。
憧れは、私にとって生きる原動力だ。
映画やドラマでもよく感情移入をしてしまい、そのたびにどこからかやる気が湧いてくる。
今日も頑張ろうと思える。
もしかしたら私は、単純な人間なのかもしれない。
小説1冊で、ひとりで幼い子どもみたいにはしゃいでしまうのだから。
この気持ちを大事にしたい。
自然と笑みがこぼれ、ほかほかした気持ちを小説と一緒にそっと抱きしめる。
あったかい。
私よりも遥かに小さいはずのその本は、温かいもこもこのクッションのように感じた。
また素敵な1冊に出会えた。
忘れない1冊。
忘れたくない1冊。
いつか誰かにおすすめを聞かれたら、この小説を選ぼう。
期待と楽しみを胸に、またひとつ「ぬくもりの記憶」が増えた瞬間だった。
「ぬくもりの記憶」
12/10/2025, 4:41:36 PM