暮れになると、心がざわつく。大掃除、年賀状? あんまりしないくせに、忙しなく思う。街に行けば、クリスマスの音楽が流れ、パーティやお正月準備の品があふれている。何かとイベントが目白押しなのだ。
何か流れに乗らねばという気分になるのだけれど、どこかでついていってない自分がいる。
賑やかな店を出て、外を歩く。イルミネーションや、街の灯りがきらめく中、そこだけ違う雰囲気の場所があった。お寺だ。
夜の闇の中、静けさに包まれていた。街の灯りがぼんやりと寺の輪郭を浮かびあがらせる。建物を取り囲む回廊に、街路樹に灯る薄青い光が差し込んでいる。青く染まる木目。そのひっそりとした青をしばらく眺めていた。
回廊は、ぐるっと続いている。光が差さない奥が、どうなっているかは見えない。まあ、粛々と今を過ごすかと思いながら、歩きだした。
「光の回廊」
12/23/2025, 9:19:35 AM