27(ツナ)

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手のひらの贈り物

子供のころ、公園で探し物をしていた。
四つ葉のクローバーを探していたけれど、全然見つからない。
落ち込んで地面を眺めていると、知らないお兄さんが声をかけてきた。
「あの…あ、ごめんね急に。もしかして、四つ葉のクローバー探してる?」
警戒しながらも、うんと頷く。
「実は、僕がさっきここの四つ葉のクローバー見つけちゃったんだ。だから、君にあげるね。」
お兄さんの手には何も無かったはずなのに、私の目の前に手を差し出した瞬間、手のひらから四つ葉のクローバーがポンと飛び出した。

私は驚いたけれど、嬉しくてそのクローバーを受け取った。
「すごい!すごい!すごい!お兄ちゃんありがとう。…お兄ちゃん、魔法つかい?」
無邪気にそう言うと、お兄さんは私の頭を軽くポンと撫でて、人差し指を口の前に当てた。
「内緒ね。」
そして、それが私の初恋だった。

12/19/2025, 11:11:00 AM