『脳裏』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
#7『脳裏』
脳裏に過ぎる。今さっきトラックに轢かれたことを。そして自分は異世界転生したんだっけ。
そしてめざめると俺は既に馬車に跳ね飛ばされて。
脳裏に過ぎる。俺は確か何故馬車に轢かれて、めざめたらモーターカーに跳ね飛ばされて。
脳裏に過ぎる。俺はさっきはモーターカーだったが、次は機関車のようだ。何回俺は轢かれるんだろう。
脳裏に過ぎる。軽自動車に轢かれて、空中で飛行機によってヒューマンストライクされて、海中で潜水艦に激突する。
脳裏に過ぎる。たしか神様が俺を間違えて異世界転生させたんだっけ。死ぬ度に別の場所に転生しているけど、必ずリスキルされる。
「すまぬすまぬ! 次こそは上手くやるから!」
「あぁ……はい」
脳裏に過ぎる。あれ? ここって俺が最初にトラックに轢かれた場所じゃん。それならばと考えた矢先に、俺は止まりきれなかった救急車に轢かれた。
「あ〜! もう現世に復活させてやろうと思ったのに! タイミングが最悪じゃった!」
「あの、もう大丈夫なので。神様は何もしなくて良いですよ」
「いや、そうはいかん! わしはお前を何としても異世界に送る! 次だ、次で成功するから!」
脳裏に過ぎる。あれ? これってまた繰り返すのか? 俺は既に場所に跳ね飛ばされていた。
彼が忘れたはずの過去が、脳裏に蘇る。
思い出というより妄想かもしれない。
彼は幼い頃に見た夢と瓜二つ。ただし、それは夢のはずなのだが、なぜ彼の日常が同じになっているのだろうか。
彼の気持ちが揺れる中、現実か夢か、境界線が消えていく。
愛する貴方に胸を貫かれた時、最初は何があったのかよく分からなかった。
信じてくれないのとか、もう私のことは愛してくれないのとか、色々な想いが溢れていたけど。
途中でなくなって、その先端が包帯できつく巻かれた片腕を見たら、私の脳裏に浮かんだのは三つ。
まだ私を愛してくれていた貴方が抱きしめてくれた時に存在した両腕の温もりと、貴方も苦しんだのかという、全てを焼き尽くすような痛い想い。
あと一つ。貴方を愛しているということ。
脳裏
「私の事は、忘れてしまっていいから」
そう言った 君の寂しそうな笑顔を
僕は、頭の中で何回も何回も再生する。
意識が揺蕩っている直前 明かりが
パッと付く
見ると映画の エンドロールが流れていた。
「お兄ちゃん 行くよ!」
妹に そう声を掛けられ
僕は、席を立つ
「この映画アンコール上映が何回も
されてるよね
お兄ちゃん上映されるたび何回も
見に行くんだもん!
だから、私も興味出て来て
今日一緒に付いて来たけど...
すっごく良かった。」
妹が隣で、燥いでいる。
パンフレットを見ながら僕の方を向く
「この 女優さん お兄ちゃんと
同い年だね!」
「うん...」僕は、静かな声で頷いた。
いつか 君が言っていた
忘れてしまっていいからを
僕は、守りたくなくて、
君の笑顔を脳裏に焼き付けたくて...
僕は、君に性懲りも無く会いに行く
映画館のタイトルポスターを
見ながら また同じ風に席に
座り 君が再生されるのを眺め続けている。
脳裏 #15
脳裏って無意識ってこと。
ひらめきとか
ふとした瞬間にうかぶ。
心が無になったとき、でてくる。
脳の裏。
松果体。
日本語ってすごい。
そんな話をもっと知りたい。
脳裏によぎるのは
子供の頃の記憶
この記憶は本物なのか
母に刻みつけられた偽物なのか
「もしもし?うん、なに、どしたの?(笑)……え?うん、今仕事終ったとこだから、…お開きになったら連絡ちょうだい、迎えにいくわ…うん、いや、良いよ別にそんなこと気にしなくて、久しぶりなんでしょ?…うん…うん…もうちょっと楽しんできなよ、次またいつ会えるかもわかんないんだからさ。…うん、…え、私!?私はいいよ(笑)…うん、よろしく言っといて……はいはい、じゃあ、また後で。」
恋人との通話を切る。地下鉄のホームで電車を待つ。
ドンッ
地下の深淵は、つんざくような悲鳴にも似た車輪の音に包まれる。
その時、脳裏に浮かんだのは、あなたの
(脳裏)
脳裏
あなたのことがいつも脳裏に浮かんでしまう
だから今日もあなたのことを考えてしまう
床一面の朱
右手に握る銀
光を失った一対の黒
次に何をするべきか
わかってはいるのだけど
ここで俺も終わろうか
そう思ってしまうほど
眩しく煌めいて離れない
2人だけの青
『脳裏』2023/11/1019
あの頃の出来事が、脳裏に焼きついてしまった。どうあがいても離れない。
あんなもの
そこまでいい思い出ではない。
そんなモノが、脳裏によぎった。
ああ、最低な気分だ。
「おーい、飲んでるかぁ?」
「まあ……」
酒はそんなに好きじゃない。だけど酒でも飲まなきゃやってられない、というときは確かにあるのだ。そして今日は酒は飲んでも飲まれるな、というときでもある。
だもんでチビっとずつ泡の消えたビールを飲んでいたところを、向かいに座っていたコイツが隣へ来て僕に絡み始めた。
半年程かかりっきりだったプロジェクトが一段落し、部内全員での打ち上げが行われていた。大抵の飲み会はスルーする僕でも、さすがに出席しないわけにはいかなかった。
高校時代から天敵のコイツ。まさか中途採用で同じ会社に入社してくるなんて、腐れ縁もいいところだ。
このクソ野郎は昔から声がデカくて態度もデカい。僕と違って友達も多い、所謂陽キャ。それだけでも目障りなのに、コイツはことあるごとに僕にウザ絡みしてくるのだ。
そして……僕の大切なものを踏みにじり、大切な彼女を馬鹿にした。
会社で再会してからもそれは変わらなかった。もう限界だ。プロジェクトも一段落つき、僕の責任分は果たした。今ならコイツを殴って会社を辞めることになっても、取引先への迷惑もそんなにかからないだろう。だから僕は密かに決意していた。今日の飲み会でコイツが彼女を馬鹿にしたら、そのときはコイツを思いっきりぶん殴ってやる。
脳裏に彼女の心配そうな顔がよぎる。
決意が鈍らないよう、僕は頭を振った。
「……よぉ、お前さ、まだあの子のこと好きなの?」
きたっ! ……彼女の話題だ。大抵このあとは、正気かよ? どこがいいんだよ? 気持ちわり〜などと続く。僕は拳を握りしめて続きを待った。
「ゆったん、だっけ?」
こんな奴にあだ名で呼ばれたくない。
「ユリウスだ」
「俺、お前に謝んねーとな……」
「は……?」
握られた拳は行き場をなくし、膝の上にぽとんと落ちた。
「ずっと言えなかったんだけど、お前が羨ましかったんだ。……お前の好きな人は生きてるから」
「え……」
鞄をゴソゴソ探ると、クソ野郎は僕に取り出したものを見せた。
「……! ら、ライナさんのアクスタ!!」
「俺が昔からずっと好きな人」
そう言って寂しそうに笑った。
僕が子供のころに流行った美少女たちが変身して戦うアニメ。その主人公のユリウス、僕はずっと彼女一筋だ。そのユリウスたちの敵役のボスであるライナは、最終回でユリウスたちに殺されてしまったのだ。
「……ごめん、僕は君の気持も知らずに浮かれていて」
「いや、世間から見たらライナは悪さ、滅びるのも仕方ない。そうは思ってもやっぱりユリウスが憎いって気持ちも捨てきれなくて。お前に八つ当たりして悪かったよ」
「そうだったんだね」
「今度放送から十五年ってことで特別番組が放送されるそうじゃないか。もう十五年か、随分時が経ったんだな。俺も大人にならないとと思って」
「……今日はライナさんの命日だね」
「覚えていてくれたのか?」
「当たり前だよ。忘れるわけない」
「お前いいやつだな」
クソ野郎はグズっと鼻を鳴らした。
僕はビールジョッキを持つ。
「ライナさんに」
「……ライナに」
ジョッキをチンと打ち合わせた。
「ねぇ、何かこの二人怖い」
「訳わかんないこと言って、泣きながらビール飲んでるんですけど……」
同僚たちが遠巻きに自分たちを眺めるのも構わず、ずっと大嫌いだったコイツと肩を組んでビールを飲んだ。
#8 2023/11/10 『脳裏』
脳裏。今回のお題はなにも思い付かないし最近の悩みでも書くか。
最近右手中指に違和感がある。昔から指をぽきぽき鳴らすのがくせになってるんだけどそれが原因だろうな。
指とか首をぽきぽきするのは体に悪いからやめたほうがいいらしいね。特に首はやばくて最悪半身不随になるとかならないとか。
それを知ってから首をぽきぽきするのはやめたしやめられたんだけど指をぽきぽきするのだけはやめられない。
んで最近右手中指だけ違和感があってぽきぽきしないとめちゃくちゃ気持ち悪くてぽきぽきすると痛みが走るという最悪の状況になっている。
なんとかこのぽきぽきするのをやめたいんだけどこればっかりはやめられる気がしないんだよな。
脳裏。今回のお題はなにも思い付かないし最近の悩みでも書くか。
最近右手中指に違和感がある。昔から指をぽきぽき鳴らすのがくせになってるんだけどそれが原因だろうな。
指とか首をぽきぽきするのは体に悪いからやめたほうがいいらしいね。特に首はやばくて最悪半身不随になるとかならないとか。
それを知ってから首をぽきぽきするのはやめたしやめられたんだけど指をぽきぽきするのだけはやめられない。
んで最近右手中指だけ違和感があってぽきぽきしないとめちゃくちゃ気持ち悪くてぽきぽきすると痛みが走るという最悪の状況になっている。
なんとかこのぽきぽきするのをやめたいんだけどこればっかりはやめられる気がしないんだよな。
【脳裏】
・脳裏・脳裡
(意味)
脳中。頭のなか。
「―にひらめく」
ふと、理解してる筈の言葉の意味を調べる時がある。
脳裏ってさ
「脳」の「裏」って組み合わせて
「脳裏」って何か変だな。
そもそも、脳の裏ってどこだろう?
なんて、思いながら。
そんな僕の脳裏を書けと言われると
「綺麗な思い出」
しかないや。
不幸な思い出さえも
鮮やかになっていて
幸せな思い出は勿論
当時より盛られていて
涙も綺麗で
苦しみも真剣で
逆境も超えて
ぶつかった幾千幾万の
高い壁さえも
ぶち壊せた。
だから、今日も生きている。
だから、僕の脳裏は誰よりも幸せで
今こうしてる瞬間も
僕の脳裏は昨日の記憶を
早々と、
より鮮やかに色を塗っているのだろう。
――そうでないと
人は脆いから生命を維持出来ないんだもの――
其れを知ってて、
色鮮やかに塗ってくれて、
焼き付けてくれて、
五感に刻んでくれてるんだね。
だからね、これからも、
もっと綺麗に焼き付けて
刻んで、上塗りして、
「脳裏」と言う芸術家に、脚本家に、
縋って生きていくんだ。
どうか、どうか、
命尽きるまで
色鮮やかに塗り続けておくれ。
その日が来た時、
僕は君に心から、
「有難う。綺麗だったよ」
って、笑って目を閉じるよ。
僕の脳の裏側さん。
―塵芥―
低気圧で空気が重い
身体が重い
毛布に包まれながら
いろんな重さを感じながら聴く雨音
心地好い
お題 脳裏
今私の脳裏によぎること。
それは推しとの永遠のお別れ……
ここ最近、著名な推しとのお別れを経験されていらっしゃる方々が多い。
いずれ私の推しにもその時が来るだろう。
けれど、今、お別れが来てほしくない!!
もっともっと推しとの時間を共有していたい。
推しは私にとって、生きていく糧だ。
かけがえのない大切な方だ。
脳裏に影をひそめるお別れの時は、もう少しだけ待っていてほしい。
出来れば、お別れなんて無くなればいい。
永遠に……だ。
ねぇ最近知ったんだけどさ、
コアラってシワひとつ無い
つるっつるな脳してるんだってね
ということは何にも脳裏に浮かびもしないし焼き付きもしないのかな
それはさ、寂しくも感じるけど
ひとつも悩むことが無いというのは幸せだなぁって思ったよ
脳裏
今もまだ消えてはいない、ピークは過ぎたと思っているが、完全には消えない、それだけ思いが強かったのかもしれない、何か直接害はないのだから嫌いにもなれない、けど好きになっちゃいけないし、もうこれ以上はならないだろう。表面からは見えない、私の恋心はまだ内に秘めている。
#脳裏
最愛の人と11年前に出会って、その2年後に結婚した。来年で結婚10周年。
それまでの私ときたら、「男」という生き物が苦手だった。恐怖症と言っても良い。
小学校では度々仮病を使って学校を休んだし(母に男子から嫌なことを言われるからと告白したことはなかった)、中学校でも友達と笑ってる時に笑い顔を嘲笑されたり、掃除の時間に「俺の机触んな」ときつい口調で言われたりして、ほとほと男子が怖くなった。
高校は男子のいないところに行きたかったけど、2人の姉が私立の女子校だったせいで、父親に「女子校だけは行かないでくれ」と言われて、男子の比率が少ない専門科目の公立高校に進学した。
そうやって避け続け、高校への行き帰りの電車内で度々痴漢に遭ったこともあり、どんどんこの世の半分を占める性別を持つ生き物が恐ろしくなった。
もちろん、恋などというものも。だって、あの連中ときたら、私の容姿を侮蔑するばかりで、自分は選ばれるような存在ではないのだ。
それが「なんか違う?」と感じたのは20代半ばになった頃。
働くことで出会う男性の総数が畢竟多くなり、種々のコミュニティに参加するうちに、若い女性であれば誰でもいいくらいの人間なんてざらにいると気づいてしまった。
そして、初めて異性へ感じた「好き」という気持ち。相手は既婚者だった。わー、駄目フラグ!最悪!でもあるある!!
相手の人は5歳年上で、子供がいない既婚者で、結果からいうと、私は手を出されることなく3年半後自然消滅した。今振り返ると、やれやれといったところ。私も相手もよくぞ何もせず、進まず、終わったな。良かった。
それから失恋の痛手が消えるまで数年かかり、新たに婚活をはじめ、途中、仕事のストレスでメンタルを盛大に破壊しながら生きて、ちょっと紆余曲折ありつつ、11年前にその人に出会った。
友達の友達。はじめて会ったのは霧雨が降る寒い3月の土曜日。短歌好きの3人で歌会をしてみようと集まって、酒を飲んだ。
第一印象は「こわくない人」であった。前述のとおり、男性は怖いものであり、「紆余曲折」とぼかした中に若干のトラウマを抱えて、背の高い男性に恐怖するという特性を持ってしまったため、165センチという、集まった中で一番背が低い(友人173センチ、私168センチ)サイズ感もよかった。
とにかく話が面白くて、サービス精神に富み、酒が好きで、寂しがり屋の印象を持った。
後にわかることだが、彼は極度の人見知りで、知らぬ人へのサービスはほぼできず(雑談やおべっかの類が全くできない)、酒は確かに大好きだけど、ボッチ耐性は私と変わらないくらいあった。
あの日を振り返り、今でも「あの日はなんだったんだろうね」と言うほど。
運命なんてもんは、そんな感じなのかもしれない。
11年間喧嘩したことはない。
私が彼の言動へ不満を申し述べることや、それによってこう思った次第で悲しかったと伝えることはあっても、その度にこちらが引くほど自分を責め、改めてくれたおかげで、今は全く不満はない。ちなみに揉め事というのは「誕生日を祝う」「祝わない」程度の話で、三人兄弟で年中行事をあまり行わない家庭で育った彼と、三人姉妹で誕生日やクリスマスなんかをきちんとやる家に育った私との、家庭環境の違いだけなので、すり合わせをした。
旦那さんに出会うまでの私は苦難の連続だった。
ずっとしんどい中に、たまに楽しいがあり、溜まりまくる言葉は文章にしてやり過ごしていた。
人間が嫌いなのは今でも同じで、むしろ旦那さん以外の男性は嫌いなので、より拗らせている気もするけれど、長かった1人きりの年月が嘘のように、旦那さんを中心に世界が動いている。
なんなら、旦那さんさえ幸せであればあとのことはほとんどどうでもいいし、ずっとそば近くで触れたり匂いを嗅いだり笑ったりできていればいい。
結婚してから変わったのは、1人で出かけても、すぐに旦那さんのことを想ってしまうこと。
美味しいものを食べれば、「一緒に食べたかったな」「今度食べさせてあげたいな」と思うし、好きそうな雑貨、似合いそうな服、自分の買い物に出かけてもつい考えてしまう。
脳裏にはずっと旦那さんがいる。とても幸せを感じる。例えて言うなら、シルキーな猫を撫でている感じ。柔らかく、あたたかく、ふわふわで、気持ちいい猫をゆっくり撫でているときの幸せな気持ち。思い起こすと、そんな気持ちになる。
一人旅が好きで、特に京都へは年に4回も行くほどあちこち旅をしたけれど、結婚してからは行かなくなった。
ライブも、1人で夜行バスに乗って遠征や全通もしたけれど、それも行かなくなった。
それまで長い間自分1人でたくさんの時間を使って好きにしてきたから満足。という面もある。でも、今は1人より2人の方が良いんだ。
旦那さんが帰ってくるまであと12時間もある。
でも、脳裏にはいつもいて、今日も晩ご飯を美味しいって言ってくれるかな、なんて考える。それは、とても幸せなことだ。
2023・11・10 猫田こぎん