『花束』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
花束
結婚式の花束
記念日の花束
誕生日の花束
花束って幸せな言葉
聞いただけでキラキラしてるのが分かるくらい
そんな言葉がこれからもたくさん増えますように🍀*゜
花束、それは卒業の時しか貰えない特別なもの、私には彼氏がいる、貰えるかどうかは曖昧だ。だってそうだ、一緒に帰ることも滅多にない、私が忙しいから思い通りにはならないことだらけやけどまぁ、仕方がない
さてそれは置いといて花束は様々な種類がある、花だけではない、バルーンや、造花を組み合わせて花束と呼ぶ人もいる、そんな世界に私たちは居るのは神なのだ
花束
愛をこめて花束をおくるなら
恋をしたためた紙切れは無価値になり得ない。
「この花が枯れるまで君を愛し続ける」
ある男性が花束を贈ったんだ
その花束の中には一本紛れて造花の花があって、、、
、、っていうロマンチックな話があるのよ。
そしたらね、ある女性はいったの。
「気付いた頃には旦那からの贈り物は信用できなくなったの。誰からなのかが分からない。煽られてる気分がする。だから、その日までは受け取れない」と。
その女性は、ミシミシと音を当て拳を握った。
テーブルには、割れた破片が白く光り、その側にはプラチナのリングが乱暴に捨てられていた
あなたに花束を
花はあなたの好きな花を
きっと気に入る花束を
あなたが笑ってくれるような花束を
一生笑って、
一生走って、
一生大事にしてください
愛を込めて、
題名:花束
『花束』
桜の花の束はあげられないから
ヒヤシンスの香りを贈ろう
昼には枯れる朝顔は贈れないから
満開のヒマワリの生命力を贈ろう
彼岸花は危ないから
儚げで涼しげなリンドウを贈ろう
君と聖夜は過ごせないから
クリスマスローズで部屋を飾ろう
くすぐったいから
本当に贈りたいものはまだ贈らない
来春桜を見に行けたら
薄桃色の舞う中で
君に本当の気持ちを贈りたい
貴女に花束
日本に花束
日本人に花束
木々と水と土に花束
あなたの心の色の花を
抱えきれないくらいの
花束にして
………花束
随分前の話になる
当時勤めていた職場は、
窓口にお客さんが来る様な業種で
店舗内は一日中FMラジオが流れていた
夕方になると、
地方局のオンエア番組があった
リスナーのメッセージや
リクエスト曲をかけてくれたりするから
仕事中ではあったが、こっそりFAXを送った
メッセージから曲までフルで紹介された時は
にやにやしながら静かに足でリズムをとった
そんな番組には、毎月一曲推薦曲があった
その月に局に集まった曲のなかから
番組スタッフみんなで聴いて決めるらしい
僕は何回だって、何十回だって
君と抱き合って手を繋いでキスをして
思い出すたびににやけてしまうような思い出を
君と作るのさ そりゃ喧嘩もするだろうけど
それなら何回だって何十回だって
謝るし感謝の言葉もきっと忘れないから
ごめんごめんありがとうごめんくらいの
バランスになる危険性は少し高めだけど
許してよ
毎日聴いてたから耳に残ってたけど
当時よりずっといい
back number
(花束)
花束
私には、あこがれいたシチュエーションがある
それは、好きな人に「いつもありがとう」と花束をもらうことだ
今まで付き合って彼氏からは、もらったことがなかった
しかし、今日、今付き今っている彼氏は、花束をくれたのだ
いつもありがとうと、少し照れながら
私が、中学生のときからあこがれいた夢を叶えてくれたのだ
彼のことも花束も大切にしようと思う
キレイなお花、いい匂い
彼のことが、たまらなく好きだ。
僕の心に信念を
誰かの心に優しさを
君の美しい心に花束を
花束
小学校の卒業式
担任の先生に導かれて思い出の校内を歩きながら、生徒玄関に続く廊下を歩いていた。
廊下には5年生から1年生までがいて所謂花道を作ってくれていたのだ。
1階の1年生の教室前にたどり着いたとき、パッと私の目の前に花束が現れた。
誰が?と目の向けると近所の女の子。
小学校に入学してからよく放課後や帰り道に遊ぶようになった。
小さな花束に卒業おめでとうございます。と書いてある。
ポッ頬が熱くなり、その小さな花束を笑顔で受け取った。
私がもらった人生ではじめての花束だった。
あなたをおもって選んだ花の数々を丁寧にひとつに包んで、家に帰ったらお気に入りの花瓶に生ける。
窓際に置いて、日常のふとした瞬間にあなたを思い出す。
不毛だとわかっていてもやめられない。やめる気は無い。
あなたがずっと好きでした。
届くことのないおもいを花に変えて、そうしてひとつに包んだら。
いつかあなたに届くんじゃないか。
なんてね
[花束]2024/02/10
─── ねえ、この間駄菓子屋さんでお花の形のお菓子があったから買おうとしたらね、お金がなくて買えなかったんだー
うちの縁側に座って、隣の女の子が足をぶらぶらと忙しなく動かしている。
─── ほんとに好きだな、花。って言うか、もうお小遣い切らしちゃったのか?
─── だって欲しかったお菓子が沢山あったんだもん。
口を膨れさせながら言った。
─── まだ月の初めだぞ?せっかちなやつだなまったく。
呆れ声で僕は言う。
─── そういうあんたはどうなの?
─── 俺はまだ使ってない。
得意げに言う。すると、隣の少女はニヤニヤといたずらをする前の子供の顔をしはじめた。
─── ねえ、今から駄菓子屋さん行かない?
嫌な予感がする頭で
─── なんでだよ。お前お小遣いないだろ?
少し身を引きながら言うと、少女は詰め寄ってきて僕の手を強く握った。
─── いいでしょわけてくれても!ちょっとだけ!ね!?
ほんとに、こう言う時の自分が嫌になる。
─── ちょっとだけだぞ。
また、寝てしまっていたのか。
縁側に腰掛け、気づいたら庭の木々たちの影が動いていた。何度目のことだろう。こうして縁側に腰掛けては時が過ぎてしまうのは。
「そういえば、君といた時も、すぐに時が過ぎてしまっていたな。」
まだ霧が完全には晴れない視界の隅に、小さな仏壇が見える。仏壇に添えられた花の前、長年共にしてきた、今は亡き愛する人のしあわせそうな笑顔が、そこにはあった。
いつも彼女は僕の隣に座って日が暮れるまで喋り続けた。あの時は、時間があっという間に過ぎていたが、今はもう歳のせいで眠ってしまい時間が過ぎると言うこの体たらくだ。
全く、歳をとるとは嫌な話だ。
君も、そう思わないかい?
仏壇の上の彼女の写真に問いかけてみるが、返事はない。その代わりに、添えられた花が目に止まった。彼女がわたしの元から離れるまでの間、よく花瓶に生けていた花だ。
そういえば、彼女はいつも何かあるごとに生ける花を変えていた。覚えろと言われていたから、名前だけはしっかりと覚えている。
結婚して間もない頃はグズマニア。
子供が生まれた時はピンクのバーベナ。
子供が家を出た時はデュランタ。
どれも花束にするには地味だとわたしは思っていたが、それでいいのだと、なぜか彼女は、嬉しそうな顔をしていっていた。
そしていま、彼女のそばに添えられているのは、白いアザレア。最後に2人で出かけた時に新しく買っていた花だった。
もう、萎れかけてしまっている。
これでは花が可哀想だな。
もうだいぶ前に晴れた頭で考えながら、私は寝起きの散歩に出かる準備をした。
「いらっしゃいませ。」
馴染みの店員が愛想良く挨拶をしてくれる。
「あら、今日もありがとうございます。きょうはどちらの花をお求めですか?」
店員が仕事を忙しなく進める手を止めてわざわざこちらにきてくれた。
「いつもので頼むよ」
「はい、わかりました」
店員は迷いなく白く可愛らしいの花の近くに移動した。
「いつもこちらをお買い求めくださいますが、どなたに贈るんです?」
店員は形のいいものを選び始める。
「.....妻に。もう、先に逝ってしまったがね。」
「....そうですか。」
少し気まずい雰囲気になってしまった。
若いものはやはりよく気を使う。
「妻は花が好きでね、最後に出かけた時、この花を飾っておいてくれって聞かなくてね。いつも彼女は花束にしてもらっていたが、いつも花束でよく見かけるような華やかななものより、そういった小さな可愛らしい花を選ぶ趣味があったんだ。」
「確かに、花束ではよく見かけませんね」
話している隙に、店員は包装を始めていた。
「何か、思い入れがあるのかもしれませんね」
家に帰って彼女の仏壇にアザレアを添える。
彼女が心なしか笑顔になったように感じた。
──── 何か、思い入れがあるのかもしれませんね。
ふと、店員の言葉を思い出した。
一体どんな思い入れがあったと言うのだろう。
彼女は、遺書などは用意せず、後のことは生きているあなたたちに決めてくれと言うような人だった。
何があったと言うのだろうか。
─── 花にはね、ちゃんと意味があるのよ。
彼女の声が頭の中をよぎる。
彼女は僕に、いつもそう言っていたじゃないか。
息子が心配して持たせた携帯を使って、慣れない手つきで調べる。
彼女が好きだった花の、花言葉を。
結婚してすぐの頃に彼女が行けたのは、グズマニア。
これで引越し完了ね
君は何にもしてないだろう
あら、私はちゃんと庭の手入れをしてたわよ
引越しのときにやることじゃないだろう
やりたかったからいいのよ!
ははっ、変わらないな君は
いつものように、2人で笑い合う。
今日から、ここは2人の家だ。
なあ.....
何?
幸せにするよ
.....うん!
『グズマニア 花言葉: 理想の夫婦』
次は、子供が生まれた時。ピンクのバーベナだった。
七月十四日、おめでとうございます!!男の子ですよ
よく頑張ったな......!!
ちょっと、泣いてるの?
ああ.....俺たちの子供だよ
そうね... 大切にしましょう
『ピンクのバーベナ 花言葉 : 家族の和合
誕生花 : 七月十四日』
子供が家を出た時は、デュランタ
じゃあ、行ってきます
ああ、しっかりやれよ
ちゃんと必要なもの持った?ほんとにこれで全部?
少ないように見えるけど....
大丈夫だって、心配性だなほんとにもう子供じゃない
んだから
待って
ん?
私たちにとって、あなたはいつまでも私たちの子よ
『デュランタ 花言葉 : あなたを見守る』
そして、彼女と最後に2人で出かけた時の花。
アザレア
はぁ、疲れたわね
この歳になると、無理も効かないな
これが、最後になるかもねぇ
何が?
あなたと出かけられるのが
.....そんな縁起でもないこと言うなよ
...そうね
そろそろ、帰らないとだな
それなら、お花買って帰りましょう
今度はどんな花にするんだ?
白いアザレアよ
お、新しい花か。どうして?
.....ないしょよ。
『アザレア 花言葉 : あなたに愛されて幸せ』
気づいたら、私の視界は起きたばかりと言うわけでもないのに、滲んでいた。
そうか。
ずっと見守ってくれていたんだな。
私は仏壇の上の彼女に笑いかけた。
彼女もまた、かつてのように、私を包み込むような笑顔をくれた気がした。
「あら、今回は早いですね」
花屋の店員が今日も明るく挨拶をしてくれる。
「どうしますか?いつもと同じ花にしますか?」
「いや今日は別のを頼みたい」
私はある花を指差した。
「まあ、珍しいですね。どうしてですか?」
私は笑って言った。
「ないしょだよ」
「ただいま」
縁側から木漏れ日が指している。いつもだったら眠くなっている時間だ。
「今日は、いつもと違う花を買ってきたよ」
彼女の笑顔の前に添えられたアザレアの隣に、わたしが選んだ花を置く。
「わたしの気持ちが、伝わったかな。」
彼女は、答えてくれなかった。それでも、わたしの気持ちは、きっと届いているだろう。
「さて、昼寝でもするかな」
私は縁側に腰掛けて、深い眠りについた。
暖かい風が吹く。
白いアザレアと、赤紫色のセンニチコウが彼女の笑顔の前で、静かに揺れていた。
『センニチコウ 花言葉 : 変わらぬ愛情を永遠に』
#花束(遅刻)
ナマケモノ具合には、自信がある。
昼を過ぎても寝ていたいし、洗濯機のスイッチを入れるのすら億劫で、シンクは食器であふれかえっている。くたびれきった生活をしている。
そのくせ、切り花を一輪、コップに挿したくらい
で、少し早起きしてふわふわモップで本棚のホコリ
取りをしてみたり、ポットで紅茶を淹れてみたり
してしまう。
花束だと、もっとすごい。
花瓶代わりに麦茶のグラスを引っぱり出し、いつもは椅子の背もたれに投げっぱなしのテーブルランナーをちゃんとテーブルに敷いて、パスタを茹でてみたりして、スモークサーモンとカマンベールチーズなんかを奮発して、小さいボトルのスパークリングワインを開けちゃったりする。ちょっと花を飾ったくらいで、ぐんとオシャレで文化的な人間になった気持ちがする。お手軽だと自分でも思う。
スーパーでも、生花のコーナーをつい、見てしま
う。
だいたい入り口すぐにあって、季節によって菖蒲の葉っぱやら南天やらが幅を利かせていたりする。
うっかり御仏壇用のを選んでしまったことがある
から、一応、花の種類と商品名を確認する。白い菊
と薄紫色のトルコキキョウ。すごく可愛い組み合わ
せだと思ったが、「仏花」と書いてあったから、何となく遠慮してしまう。
帰り道に花屋がオープンしてからは、もっぱら、そちらを覗くようになった。
庶民的なベッドタウンに似合わない、ちょっと小洒落た雰囲気の店だった。店頭に並んでいるワンコインの花束も、スーパーのものとは比較にならないくらいセンスが良い。買った花束は、英字新聞がプリントされた茶色いクラフト紙で包んでくれる。
毎回、花が長持ちするという薬液をお店の人が付けてくれた。楽しめるのはだいたい1週間前後だった。もっと早く枯れてしまうこともあった。驚異的生命力で悪名高いミントですら枯らしてしまう自分にしては、よくもっていると感心していた。
ある日、勇気を出して、店の奥まで入ってみた。
店頭の花束しか買ったことがなかったが、その日の目当ては、店奥のガラスケースだった。
ちょうど、生け花サークルに所属していた頃だっ
た。技術もセンスもないくせに、ホームセンターで
自分専用の花鋏と剣山を購入して、悦に入っていた。花器の代用品も同じホームセンターで見つくろった。うどんのどんぶりだった。
ガラスケースを覗いて、驚いた。
色んな花が並んでいたが、どれも二百円から三百円。たった一本で、その値段なのだ。中央に置かれた真紅のバラには、四百円の値札がついていた。
完全にリサーチ不足だった。
しかし今さら、退くに退けない。適当にアリウムかなにかと葉物を購入して帰った。本当に驚いたの
はその後だった。
ものすごく長持ちしたのだ。
うどんどんぶりの中身は、ただの水道水だった。素人がざくざく挿し直して、フニョフニョになった茎が、かろうじて剣山に支えられていた。なのに、その生け花もどきは元気に咲きつづけた。半月から一か月ちかく保ったと思う。
後日聞いた話だが、店頭で花束として売られているのは、終わりかけの花なのだとか。スーパーで言うと、賞味期限の近いものをまとめて置いてある特売品のワゴンのような。だから、あまり日持ちは
しない。
一瞬、残念な気持ちになった。とはいえ、手頃な
価格で色んな花を楽しめることを思えば、win-winと言っていいのかもしれない。
2024/02/10(土)No4.『花束』
―――――――――――――――――――――
生まれたとき病室には桜蘭が飾られていたらしい
5歳、幼稚園で作った折り紙のカーネーションを母に送った。
10歳、花係になって沢山の花を育てた。
―…いろいろな花を育てたはずなのに、花壇の下でひっそりと輝いていた、たんぽぽが一番印象に残っている
18歳、高校の卒業式に泣きながらクラス皆で桜の木の前で写真を撮った。
20歳、成人式で親から初めての花束を貰った。
―…花束にはカスミ草の間に「いくつもの小さな幸せをありがとう」と書かれた小さなメッセージカードが添えられていた
28歳、恋人にプロポーズされ、大きなひまわりの入った花束を貰った。
29歳、1年目の結婚記念日に偶然、お互いひまわりの花束を渡し、笑い合った。
34歳、夫の連れ子であった子から初めてカーネーションを渡された。
46歳、子どもに自分とは血が繋がっていないことを伝えて大喧嘩。1週間後に手紙と一緒にカーネーションを渡されて仲直りをした。
56歳、癌が見つかり、治療をするも体は弱くなっていった…
57歳、命がなくなる前に見たのは、子どもと夫から貰ったカスミ草などが入れられた花瓶だった。
―…いくつもの小さな幸せをありがとう。
―――――――――――――――――――――
作者は、華道部に入っているただの高校生なので人生これからです…!花束は、幸せなときもそうでないときも誰かの気持ちが込められたものだと思います。
華道部で花を生けている時、とても落ち着きます。生けた花が飾られているのを見るととても嬉しく感じます!
こういうちょっとした幸せを感じて生きたい…
花束に 母への感謝 詰め込んで
喜ぶ笑顔 いついつまでも
#花束
花束飾りたいけどすぐに枯らしちゃうからやめとこう
「旅立ちの朝」
音もなく登る朝陽を横目に佇む影は
その胸に色とりどりの想いを抱えて遠くを見据えた
空のアオが見守る道には風と遊ぶ草花が
ユラユラと踊りやわらかな息吹を匂わせて
いくつもの時を見続けてきたのだろう
ずっと遠い過去の雨に消えた足跡の上を今歩いてる
数々の声が世界に広がり空の彼方の星がささやく
野原に腰をおろして草笛を鳴らして
いつの頃か忘れていた懐かしい記憶を思い出した
仰いだ空には風に乗って遊ぶ鳥たちが
なによりも早く季節の息吹とたわむれて
いくつもの旅人を見てきたのだろう
誰もが未知の行く末に平和を願って歩いてきた道に
甘い香りを匂わせてキレイな花たちが咲いていた
頭をなでるように朝の光が宙を流れて
立ち上がった影はただ一つの色を求めて
再び歩き出した旅立ちの朝
ずっと遠い過去の雨に消えた足跡の上を今歩いてる
数々の声が世界に広がり空の彼方の星がささやく
第十三話 その妃、断言す
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「蒔いた『種』は確実に『芽』を出しました。それを、ここに御報告致します」
二人きりになった部屋で、瑠璃宮の妃――ユーファは、妃の名が書かれた調書を一つずつ置いていった。
それを見た廃離宮の主人は、「思った以上に釣れたわね」と感嘆の息を漏らす。
知っていたわけではないのか。
そう問うてみれば、「全てがわかるわけないじゃない」と、楽しそうな笑顔が返ってくる。
「この子は?」
「……金糸雀宮の妃はまだ幼い少女です」
「ふーん、そう。じゃあこの子」
「桃花宮の妃は元修道女だそうです」
「この子とこの子」
「花露宮の妃は甘い菓子にしか興味はなく、天女宮の妃は、協調性はありますが縛られるのを嫌がります」
『全てがわかるわけではない』
確かにそう言った妃は、恐らく何かを感じているか、或いは気付いている。
でなければ、無害に等しい妃たちばかりを指差すなど、辺境に棲まう離宮妃には少々難題だ。
しかし、後宮内を嗅ぎ回っている人物が先回って報告していたのなら話は別。加えてその中から一つ、鶺鴒宮の調書を迷わず開いて読むくらいには、ある程度の報告を受けていると思っていいだろう。
「女って、どうしてこうも面倒臭いのかしらね」
“彼等が瑠璃宮を去った直後接触”
“必要があれば『恋の教え』を説くと言い残す”
「『振られてざまあ』って、はっきり言えない病にでも罹ってるの?」
「遠回しに伝える方が、効果的なこともありますので」
それに、結果は初めからわかっていた。
「振られると断言した私を恨んでいないのかしら」
「残念ながら私にはそのようには聞こえませんでしたので」
それでは、これにて失礼致します。
ゆるりと腰を上げると、「一つ聞いても?」と問われ、勿論と返す。
「こんな廃れた離宮にも名はあるのかしら」
「……黄昏宮や冥土宮。それが、ここの異名で御座います」
「解釈は?」
「お任せ致します」
今度こそ去ろうとすると、背中に妃の声が掛かる。
「今度は私が、あなたに直接会いに行くわね」
『事の次第につきましては、追って使いを寄越しますので……』
あの時は、半分興味本位だった。でももう半分は、その噂にもすがる思いだったのかもしれない。
長い間心の準備だけして、それ以外は何もしてこなかった。誰にも悟られぬよう必死に隠してはいつも怯えていて。けれどそれを知るのは何より恐ろしく、そうして心は疲弊していくばかり。
……だから十分救われた。
ようやく、区切りを付けられたのだから。
「……心より、お待ち申し上げております」
妃の方を振り返ることはできなかった。
涙声にならないように、必死だったから。
宮を出るや否や、見知った顔と遭遇する。不安そうに、けれど微笑みながら、その人は誰かを待っているようだった。
「早く戻られた方が宜しいのでは? またどなたかのように、薬を盛られているやもしれませんわよ」
この程度の反撃くらいはいいだろうと、輿と遣いを探そうとした矢先、何故か目の前が花一色になる。
何のつもりか。
そう問う前に、持っていた花束を握らされた。
「ずっと、想っていてくれてありがとう。雨華ちゃん」
それが、彼なりのケジメなのだろう。
だからその花束を、素直に握り締めた。
「……あなたなんか、一生恋に振り回されてしまえばいいのですわ」
これ以上、捨て台詞に相応しいものはない。
御簾を下ろした帰りの輿の中。カミツレの香りを嗅ぎながら、静かに笑みをこぼした。
『後日、その男を遣わしましょう。事前に伝えておきます故、その時に試してくださいまし。男が一体、何を選ぶのか』
そして、彼は選んだ。
それが、彼の答えだった。
だから、妹と言われてもつらくはなかった。
「最後に、うかと呼んでくださって、ありがとう」
あなたを想っていた時間は、本当に……最初から最後まで、心から幸せでしたわ。
#花束/和風ファンタジー/気まぐれ更新