『落下』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
《落下》
人間は落下を恐れているらしい。
今ある地位からの転落。株価の下落。業績の悪化。物理的な意味以外でもこのように落下はたくさん存在する。だが落下は人生に必ず付き纏ってくる。特に精神的に。
あなたは『落下』をどう対処する?
それとも一緒に落ちる?
落下
うっかり、みたいなね。よくあるんですよ。あの子も。まぁ僕なんかにもすぐに、ごめんごめん!って言ってくれるあたりは可愛いなって思いますけど。さすがに僕も許してやれない時もあるというか。何回か脅したりしたんですけどね。そんなに雑に扱われたら亀裂入っちゃってもう戻んなくなっても知らないぞって。まぁ僕ら片時も離れないんだから仕方ないっちゃ仕方ないか。日中も家でもなんなら寝る時も一緒だしな。たまのうっかりくらい許してやらないと。愛想つかされちゃったらいやだし。でも最近ちょっと僕の調子がおかしくて。すぐに体力無くなったり、目の前が真っ暗になったり、頭痛なんかもしちゃって、あの子と過ごせる時間ももうちょっとなのかなぁ。
、、、え?体がダメんなっても脳みそだけを入れ替えて生き続ける方法があるらしい??!君との記憶(メモリー)が消えないなら、、、
『ゴトッ』
「こんにちは」
【落下】
ただ今、高さ50メートルの位置におります。
地面がとても遠く、地上の喧騒からも離れております。風が構造物に当たる音が聞こえております。
で、私が乗っておりますシート。落下いたします。
自慢の超高速タイピングで入力しておりますが、そろそろ落ちそうです。
係員にバレてはいけないので、スマホはジャケットの内ポケットに押し込んでから、飛び出ないように握りしめておきますね。
ではまた。
…………
書きたくなったら書く。それが私の仕様だった。
書きたいという衝動の種類は、詩から、小説、エッセイ、評論まで多種多様だった。
学生時代の私は、講義中、部活中、葬儀中、食事中、移動中、あらゆる最中に衝動に襲われては、その衝動の言いなりになってきた。
食事中、家族に注意されたし、移動中にもスマホをポチポチしていたので、よく轢かれそうになった。
いやはや。トラックが私を引き摺って泣き叫ぶことにならなくて良かった。身体が軋んで血飛沫が舞う姿なんて見たくないよね。
ついに社会人になった。会社に入っても作品を執筆していた。それも社内で。それも「就業中」に。私は書きたくなれば書いてしまう仕様なのだから仕様がないと、心の奥底では思っていた。
ちなみに書いていた作品は、先輩が超絶イケメンで優しい男だけど、心の内では様々な葛藤を抱えていたらどうしようという趣旨の作品である。
それが上司にバレた。さらに、私の仕様はどうしようもないほど理解されない。そのまま改善することができず、私は退職することになった。
もう無理。もう全て忘れたい。
そんな気分を一新すべく私は、遊園地を訪れた。
スリル満点の落下系アトラクションが良いなぁと思って、フリーフォールへ足を運ぶ。平日の昼は空いていて、すぐに乗ることができた。
シートに座って少し待っていると動き始めた。ギューンと機械音が聞こえて、どんどんと高度が上がっていく。
が、同時に衝動が急激に高まってきたのである。
私は隠していたスマホを取り出して書き始めた。
【落下】
突然翼を失い
けたたましく落下した
勢いが凄すぎて
もといた所には
まだ残像が残ってる
トムとジェリーみたい
幸い失った翼がクッションになってくれて
大事には至らなかった
動けそうだ
残像が残ってるうちに
何食わぬ顔して
もといた場所に戻れるか
先に残像も落下してしまうか
きっとここが勝負所
落下
・・・痛い。
何がどうなった?
なぜ私はここでバラバラに砕けている?
そうだ。落ちたんだ。
あの11階の窓から。
私は少し重く頑丈につくられていてね、
表面も触り心地が良いと評判でサラサラなんだ。
この長所で君を守るんだ。
君が生きている間は私が支えてあげるって、
そう決めていたんだ。
私の短所はね、君のことしか考えてこなかったせいか、
衝撃に弱いんだ。
ごめんね、ずっと一緒に居られなくて。
ところで、なぜここに居るんでしたっけ。
「罪悪感は最初だけ」
どんな汚い手を使ってもいい。
ほんの僅かな罪悪感を抱くだけで、貴女を手に入れられるのなら。
初めは、そう思っていた。
消えていく罪悪感と、それと引き換えに得るものは、ある種の快楽だ。
貴女が気が付かないうちに、見えない檻に閉じ込めていく。
一生気付いてほしくない。
その一方で、気付いて絶望に塗れた表情を見せてほしいとも思う。
罪悪感なんて、もう抱かない。
────落下
受験期に1回だけ、限界で自殺しようと思ったことがある。
飛び降りしようと思ったことがあるが出来なかった
落下した時、もし、周りの人を巻き込んでしまったら…と考えるとただでさえ迷惑をかけているのに、死ぬ時も人に迷惑をかける訳には行かないと思ったからだ。
それもあるけど一番の理由は怖かったから。
いざ屋上の策をとびこえて外側に立った時、
恐怖で足が全く動かなかった。
だからできなかった、
落ちていく
テストの点も
人気度も
気にせずそのまま
堕ちていこう
雨水が
傘に落ちて
音が鳴る
綺麗な音だよ
聴いてみて
今日はえげつない雨でしたね。
雨は好きですけど頭が痛くなってしまいます。
午後には晴れて夕日が綺麗でした。
#落下
高度4,200mから時速200㎞/hで落ちていく
パラシュートが開くまで、時間にして約60秒
あれほど一瞬で、長い長い60秒はそうそうない
感動か絶叫か、一度開いた口は
風圧で全開のまま
それでいて空気が一向に入ってこず
落ちながらこのまま窒息するのではと思った瞬間
パラシュートが開いた(今度は胃が出るかと思った)
ただ純粋に、物理的に、地球を感じながら落ちていく
20代で体験してよかったことのひとつ
『落下』
空から天使が降ってきた、綺麗な羽根には大きな傷があった。僕は怪我を治そうと思って、手を差し伸べた。
「人間に助けらるほどボクは弱くない」
そう言って、僕の手を振り払った。
でも、怪我してるから僕が手伝ってあげる
「人間の癖に物好きだな」
不満そうに呟いた。
この天使はどうやら、雲の上にある国に住んでいて、たまたま雲の隙間から落ちたそうだ。
「怪我、手当てしてくれてありがとう、これで雲の上に戻れるよ」
良かったね 次は落ちたらダメだよ
僕みたいになっちゃうから
【落下】
ふと目を覚ますと、僕は自分が良く知った場所にいた。
高校の美術室。僕の青春の1ページだった思い出の場所。
僕はゆっくり立ち上がると校舎を彷徨いた。
ピカピカだった校舎も今ではすっかりボロボロになってしまった。
窓ガラスは殆ど割れ、床や天井には数え切れないぐらいの穴が空き、壁は落書きだらけ。
動物小屋も柵は腐り果て、飼っていた動物たちは何処かへ消えた。
あの頃の思い出の校舎は見る影もない。
あっという間に回り終わった僕は最後の場所である屋上に着いた。
僕の足は自然にいつもの定位置に向かった。
定位置に着いたら5,6回深呼吸をする。何度やったか分からない儀式だ。
「あーあ、こうなるならあの時飛ばなきゃ良かった」
何度口にしたか分からない言葉を紡ぎながら今日も僕の身体は落下し続ける。
己に課された「罪」という名の鎖を断ち切るその日まで。
7
あるところに2人の少年がいた。
1人の少年は学校でのいじめになやんでいた。
もう片方の少年は荒んだ家庭になやんでいた。
2人は出会った。運命だと思った。
2人は話した。お互いの家庭のことを。
2人は決めた。この世界に報復することを。
2人は跳んだ。重力は強かった。
2人は死んだ。世界は何も変わらなかった。
落下
とある三兄弟のお話
長男より。
まず一つ、本来ならすべき心配や声掛けより先に、その様に対する感情が湧いてしまったのは、致し方のない事だと思うのだ。顔立ちは完成されていて、不機嫌そうに顰められた眉でさえも整っていて、そこに眼鏡で隠されているだけの厳しい目尻も。溢れた涙は、そこから落下してしまい、畳に染みて消えてしまうのが勿体ないとも思ってしまう。
己にとって弟達は唯一無二の存在である。何よりも寵愛し、守り、愛しむべき存在である。そんな弟の一人、目の前に立ち、涙を流しながらこちらを見つめてくる男に、己はどうすべきであろうか。何故泣いてるのかはわからない。己は自分の感情で泣いた事がないので止め方がわからない。
手を差し伸べてみる。握ってくれた。自分のものよりも高い位置にある頬へ向けて手を持ち上げてみる。触れさせてくれた。目を伏せ、頬に触れたままの己の手に自分の手を添えながら、弟は何も言わずに俯く。己は、動けないまま、ただただ畳に落下していく涙を目で追う事しか、今は何も出来なかった。
ひらり、ひとつと。またひとつ。
淡雪のように、桜花のように。
ひたして、みたして。
『落下』傘。
底なし沼に溺れるような恋であれば。
息することすら諦めたのに。
じわり、にじんで、あふれてく。
消えるような、色めくような。
こぼれて、ふたして。
恋煩い。
闇夜にいざなう黒猫の戯れであれば。
後ろを振り返ることもなし。
どろり、ひろがる。あめひとつ。
においもいろも、うらづけて。
焦がれて、のばして。
盲目に。
すべてを投げ出すほどの想いすらも。
昇華するすべを願うばかり。
【落下】
落ちる狼落とし穴
ゆらゆら揺れるゆりかごは
誰をくるんで微笑むの?
イバラの棘が痛いから
手足を取って棚に置く
早くお家に帰りたい
泣いた兎はかごの中
カラの鏡は役立たず
流す涙も掬えない
今日も誰かと遊ぼうか
覗いた井戸に石を投げ
当たったあなたが今日の鬼
落下
ある日突然、足元が崩れて長い長い落下が始まった…それまでの、幸せだと思っていた時間が、どんどん色褪せて、枯れ葉を握り潰す様に、乾いた音と共に、粉々になってゆく…
本当は、最初から、自分の居場所なんて無くて、現実から目を外らして、居心地良い世界だと思い込んでいた…
あなたが、あの日、私の知らない誰かと親しげに、街なかで腕を組んで歩いている姿…はじめは、見間違い、って思いたかった…でも、確かめるが怖くて、あなたに、会うのも、メールするのも、出来なくて…ただ、何処までも、落ちてゆく…そんな日々に流されていくだけ…
気がついた時からゆっくりと落ちている感覚に悩まされているのに、一向に下にたどり着く感覚がないのがもっと怖い。
落下
船に乗って海を見下ろしていると、このままこの海に落下したらどうなるかなといつも考える。
高い所から見下ろして、落下したらどうしようとなるのとは少し違う恐怖があって、どうしても考えるのをやめられない。
海に落ちても、しばらくは生きているだろうし、もしかしたら誰かが気づいてくれて助けられるかもしれない。
でも、誰にも気づかれず静かに1人海で揺蕩っている時間が長くなるだろうと思うと、その絶望感に胸が締め付けられる。
怖くて絶対に落下したくないと、船内に戻るのに、また甲板に出て同じことを考えてしまう。
別に人生を終了させたいわけじゃない。
それなりに心弾む瞬間や湧き上がる高揚感だってある。
でも、船に乗ると落下したくなる。
いつか本当に手すりを乗り越えそうで、しばらくは船に乗るのを控えようと心に決めている。
でも、この恐怖を再び味わいたくてまた船に乗っちゃうんだろうなあ。
『大好きだよ。』
彼が言ってくれた言葉。何でこんな事になったんだろ。
『元気してた?僕はすっごく元気だよ。』
笑顔で言う彼。彼の足元には影がなく、生きていない事が分かる。
「楽しそうだね。君に久しぶりに会えて嬉しいよ。」
『僕もだよ。』
彼は死んだ事によって、生まれ変わった様だった。生前では考えられない、陽のオーラを放っていた。その事は素直に喜ばしかった。
『今日は君と話をしに来たんだ。』
彼の表情は先程とは違い、真剣なものだった。
「君も私を否定するの?」
彼は一年前に病死した。病気だと知った時から、彼の表情からは笑顔が消えていた。私は、彼を喜ばせようとした。しかし、彼は死ぬまで笑う事はなかった。彼が死んでから、私の世界は崩れた。それ程までに、彼の存在は私には大きかった。彼に会いたい。その気持ちは次第に溢れていく。死んだら会えるはず。そして私は、屋上に来た。
「私は君が好き。今までも、これからも君以上の人なんて居ない。だから、止めないで。」
分かっている。この思いは歪んでいる。誰も認めてはくれない。それでも、これが私の彼への愛の強さの証明だ。
『僕はね。見送りに来たんだよ。君は最後まで僕の傍に居てくれた。だから、最後ぐらい君の傍に居たいんだ。』
涙が止まらない。彼は私の手を取った。
『これからも一緒だよ。』
恐怖はなかった。ただ風だけが私を包んだ。
落下する先が、天国でも地獄でも何でもいい。彼と居れば、何処だってワンダーランドだ。
創作物語「落下物」
私たちの街にはいろいろなものが落ちてくる。
帽子に鞄、ネックレス…ときには札束なんかも落ちてくる。
落ちてきたものは市役所に届けることになっている。届けられたあとのことは秘密にされていて落下物の行方は誰も知らない。
ある日の登校中、手紙が落ちてきた。手紙は風船にくくりつけられていて誰かが意図的に飛ばしたようだった。
手紙には宛先は書いていなかった。誰もいないことを確認して手紙をみると〚これ以上落とさないで〛とだけ書かれていた。
この手紙の真相がわかったのは数年後、私が高校を卒業し、市役所の落下物対応課に配属されたあとである。
私の街は空中都市だ。
少し前から人口爆発が起き、それに伴う死者の弔い場所の減少が問題となっていた。
後で知ったことだが、処理に困った遺産の多くを争いが生まれないように街から落としていたそうだ。
同時期から多発していた落下物の処理も同様に行っていたのだ。
もしかしたら私たちの街の上にも街が続いていて落下物は遥か上から落とされていたのかもしれない。
上にある街の誰かの大切なものだったかもしれないと思うと、なんとも言えない気持ちになってしまうのは私だけだろうか?