『視線の先には』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
『視線の先には』
スマホとモニタ。途中から保存されたトーク履歴。ナポレオンケーキに、解くのがダルい氷のパズル。
悪魔が落とした鏡の欠片が瞳に刺さって、私には見えないものばかりになってた。そんなことは言ってないし、そんなことは考えてない。私も相手も足りない何かを勝手に見つけて補完して、作り上げたのはその人の瞳にしか映らないその人だけの鏡面世界。同じ世界に立てなくなってて言葉も違って通じない。お互い相手に合わせてるつもりで、そんな相手はどこにもいない。思い込みの中の相手を見つめて全員カラカラ空回ってた。
届いたサムネ、はじめは一つも開かなかった。きっと揶揄うんだと嫌で怖くて嫌だった。歌に作品以上の意味なんかない。そう、意味なんかなかったから、流して見てたら欠片が融けた。正直どうかと思うやり方だけどね、あなたがしたならこうかは ばつぐんだ!だって、私たちはずっとそうやって遊んで過ごしてきたんだから。
君の視線はスマホに釘付け。
僕を構ってくれないで、株ばかりずっと見てる。
不貞腐れて、買ったばかりのネコちゃんのぬいぐるみを抱き寄せれば今度は君が不機嫌。
株を見るのをやめて、ぬいぐるみをどかして僕の膝に乗ってきた君は、満足したような笑みを浮かべて、僕の髪を撫でた。
やっと、君の視線を僕が独り占めできるらしい。
視線の先にはいつも、君がいる。
気がつけば目で追っている。
これが恋だと気づくのはまだ先の話。
私の視線の先にはいつもあなたがいる
高く笑う声,真っ直ぐと先を見つめる目,私と変わらない身長
何よりも全てが愛おしかった
でも貴方の視線は傾く。私じゃなく他の誰かに
貴方の視線を独り占めしたい。
そう思う事は貴方にとって重りになるのでしょうか
視線の先には、誰かのアパート、明るいコンビニ、曇った空。
隣に座ってたけど、見たのは2、3回だけだった。
小説に出てくるような、独り言のような、ぎこちない会話をして、アイスを食べて帰った。
アイスが溶けたらさようならをした。
またね、と言われた。
私の旅路:2
私の視線の先には、いつも傷付いた誰かがいる。
私は、小さい頃から誰かの為になりたいと日々精進していた、しかし、私が、直接助けを求めている人に手を差し伸べたら、いつも逆に不幸せな感情を抱かせてしまう。なぜなら、生れつき私は、脳に疾患があり、会話力や人の気持ちが理解出来ないからである。
まず、会話力である。今は、完治しているが疾患があった期間、皆が、友達や同僚と話せるよう。気軽な会話力を身に着けている間私は、疾患があるせいで身につけようとしても身につかないのである。そして、私が、完治した中学生の時に、仕事や責任を感じるようになり、接客や上司との会話を学ぶ。これは、私にも出来る。
そう、私は、気軽な会話ができないのである。おそらく、コミュ障と同じ現状と思うかもしれないが、全く違う。コミュ障は、緊張して人と話さない。つまり、話し方を知らないという訳ではない。
私の場合は、初心者が、英語で話す時に英語の構成が分からない。という状態と同じなのである。
次に、人の気持が理解出来ないから。というのは、幼い頃から疾患のせいで、人と接しても会話が噛み合わなかったり話が飛んだりするせいで、人とのコミュニケーションを躊躇っていたからである。 人は、人と接して初めてその人の性格や気持ちなどを理解できる。そして、お互いに、信頼をしたり恋をしたりする。反対に、嫌いになったり、犬猿の仲になったりする。こういう経験を積んで、一般的には、「こういう話し方をすると嫌われるんだな」と反省する。そして、大人への階段を一歩一歩歩んでいくのである。しかし、私には、そんな経験がない。
以上の2つの理由の結果私は、人に触れてしまえばその人は、絶対に傷ついてしまう。だから、私は、魔女なのだ。勘違いしないで頂きたいのだが、私は、このままでいいとは努努思っていない。いつの日か、人と気軽に話せるように常々精進しているつもりである。
視線の先には
君の長くて綺麗な髪
そよ風に誘われて
泳ぐように動いている
その光景が
なぜだかとても愛おしい
はしゃぐ枝毛が
私の心をくすぐっているようだ
「視線の先には」
あなたの視線の先にいられることがどれだけ幸せか
きっとあなたにはわからないよね
お願いその綺麗な瞳に 私以外をうつさないで
視線の先には
目の前のもの
或いは
そのずっと先にある未来か
いったい何を見つめているのだろう
視線の先には
その先に浮かぶのは
すべてのみ込んでくれそうな深い青緑
周りには自分以外それしかない
生きている
光を浴びて風を受けて温度を感じて
深呼吸をする
よし。またこの世界に没入するんだ!
視線の先には
遠い未来が見える。
なりたい自分
その途中の自分
その時々にいる周囲の人たち
大切な人たち
自分と周りの人を大切にしたい
視線の先にはいつもあなたがいた。
ずっと見てたから、周りの人にもバレバレで…。
今も脳裏に焼き付いている。
もう5年も会ってないけど、成人式で会えるのかな?
私の記憶のままのあなただったらきっとまた好きになってしまう。
甘くて苦い記憶として閉じ込めておくべき…?
今日は良い天気ですね、なんて汗一つかいていない爽やかな笑顔で言う君。
こちらは照りつける太陽に焼かれてミイラになってしまいそうだというのに、この暑さのなか悠然とした君が何だか恨めしく思えて。
私は柄にもなく往来で、此方ではごく一般的な挨拶をしてやった。
ギュウギュウと抱きしめれば流石に暑いのだろう、腕の中でモゾモゾと動く君の、日に焼けた肌に薄っすらと汗が滲んでくる。
心配そうに私の顔を見上げてくる君に「すみません、立ちくらみがして……」と白々しく囁けば、君がすぐ側の喫茶店を指差した。
テーマ「視線の先には」
視線の先には
ミラーにうつる
俺の視線
鏡の中から俺を見つめる俺に
絶対に言ってはならない
・・・・お前誰?
!
大変なことになりますよ
フフフフフ
ハハハ
ワッハッハッハハーー
私の視線の先にはぐっすりと母が寝ている。
その近くにはやけに小さくなった気がする扇風機や棚、リモコン、スマートフォン、充電コード、私の机、布団、ゴミ箱、ぬいぐるみ、クッション。
色々なもので私の視線の先は彩られている。
これを絵に表すとどのようになるのだろうか。きっと書き手によって変わるだろう。
だが、気になるのだ。生活感のある絵?リアルな絵?アニメのような絵?日常を書いたような絵?もしかしたら非現実的な絵にもなるかもしれない。
そんなくだらなく、意味もないことを考えて時間は過ぎていくのだ。
視線の先に
過去にやり残したこと
があった
今だけを見ていたら
気づかないものがある
過去に隠されたもの
紐解いて…
「おーい!!」と声がすると視線の先には無邪気に手を振る友達がいた。
たまたま一緒のところにいたらしい。
さしぶりにあったので気づかなかったがどうやら友達は気づいていたようだった。
たわいない話をしてまた遊ぼうということになった
どうやら1度終わった青春がやって来そうな気がした。
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theme 視線の先には 2024-07-19
視線の先
目に映るだけで、特別に意識するものでもない。
聞こえてくるものも
この時の目は、防犯センサーくらいなもんだ。
美しいもの以外に、反応しなければいけない、
見たくないものを、見て、聴こえてくるものを聴く。
私に向けられることなどない貴方の視線の先を追う。
日曜日。午後。駅前市立の図書館。
名前も、年齢も、性格も声も、何も知らないその人と私の、たった一つの共通点。
棚に揃えられた文庫本の背表紙をぼんやりと流し見ながら、壁際の椅子にてページをめくるその人の様子をちらと伺う。
私語禁止のルールを都合のいい言い訳として、声をかける気も勇気もないまま同じことを繰り返していた。
まだ恋と呼べるほどはっきりとした感情ではないのだ。
ただ、静かに本を読むその姿勢に、横顔に目を奪われてしまっただけ。偶然、けれど何度も繰り返し見かけるうちに、その人となりに興味が湧き出てしまっただけ。
それでも、何気ない習慣だった『図書館に行く』という行為に、いつしか今までとは違う楽しみを見出すようになっていた。
どうせ一人だからと最低限の身だしなみしか整えていなかった自分が、たった一人の他人の目に映る可能性を考えてほんの少しのおしゃれを気にするようになった、くらいの、そんな変化。
何気なく本棚の間を移動するふりをしては、椅子の横を通り過ぎてみる。不自然に思われないように、一日一回、その意識が手元の本へ熱心に向かっているからこそできること。
少し離れた椅子に座り、自分の読んでいる本に隠れてその人の持つ表紙を盗み見る。読んだことのある本ならばなんだか嬉しくなれるし、まだ手に取ったことの無い本なら読んでみたいと思える。
あわよくば二人の接点になってくれはしないだろうか、と受け身の淡い期待を抱きながら。
わかっている。人生は甘酸っぱくて心躍るような恋愛小説のようにはいかないのだと。どんなに偶然同じ場所にいようと、思い切った行動を起こさなければ結局は赤の他人のまま変化はしないのだと。
行動を起こしたって上手くいかないかもしれない。
私が思っていたような人じゃないかもしれない。
もうその人には結ばれた恋人がいるのかもしれない。
私は臆病だから、知らないものは知らないままで良かった。変わらない今の状態が続くのなら、それが一番良いと思えた。
本を開く。探していた、所狭しと並んだタイトルから記憶を辿ってようやく見つけ出せたもの。
きっといつまでも、この偶然が終わるまで、一方通行のままだろう。
視線が重なることはないのだと現実的観点に感情を抑えられ、それでもなお、私の目はいつか貴方がなぞった文字列を追うことを止められないでいた。
【視線の先には】
ねえ、どっちが先に落ちるか、勝負しない?
昔の夢を見た。今から5年くらい前。まだ、私もあなたも、あどけなさと、強制的に身に付けさせられた大人っぽさの間で彷徨していた時期。サラサラとした貴女の艶やかな黒髪を、真っ黒でまるで澱のような川のもとへ爽やかに吹き抜ける夜風が撫ぜる。私たちは、明かりもついていない真っ暗闇の中、昨日の昼間にたまたま倉庫から見つけた線香花火で遊んでいた。幾らか本数があったので、この前学校であった話や、これからの夢の話など、他愛もない話をしながら。そして、とうとうお互い最後の一本となった時、貴女は少しいたづらっぽく、私にそう笑いかけてきたのだった。二人同時に、目の前に置いてある蝋燭から火を灯す。提灯のような真っ赤な光に、貴女のしどけない横顔が照らされる。思わず見惚れていると、そんな私の視線に気づいたのか貴女は、なに見てんの、花火見なきゃ。これで最後だよ、と私に目線を合わせて笑いかけてくれる。私はその視線にまた心臓の鼓動を早めながら、本当だね、と言って気もそぞろに線香花火に視線を落とす。
と、そこで目が覚めた。まっすぐ目に飛び込んでくる陽光に目を瞬かせながら、夜と朝、夢と現の間で混濁した意識を少しずつ覚ましていく。結局どっちが勝ったんだっけ。遠い昔の記憶が、頭のどこかでひっかかる。軒先から、愛子ちゃあん?と言う清子の声が飛び込んでくる。今の時刻は7時45分。今日は8時30分から市内で火災対策に建物の撤去作業がある。ヤバい。焦る意識のままに体を動かし、身支度を整えて玄関を飛びだす。母親のいってらっしゃいと言う声をサラっと聞き流して、清子に声をかけ、二人で市内へと足を早める。集合時間まで後走って五分程。今日は間に合いそうだ。そう考えていると、いつも遅刻なんて絶対に許さない優等生な清子が、今日は珍しく立ち止まり、私の裾をギュッと掴んでくる。
「どうしたの?遅れちゃうよ?」
上がりきった息のままにそう聞く私に対して、清子は視線を落としたまま、
「……今日は、ちょっと遅れてかない?」
と言ってきた。驚いた私が理由を聞くと清子は、何か凄く嫌な予感がするの、と。それだけをポツリと答えた。
困惑しつつも、良いよ、何か話したいことでもあるの?と聞いてみる。すると清子は凄く深刻そうな表情で、小さく頷いた後、
「だから、これだけはどうしても聞いておきたくて……愛子ちゃんは、恋とかって、してる?」
と、まさかの恋愛話を持ちかけてきた。さっきまでの不穏な空気とは裏腹にえらく可愛らしい話だ。私はその落差に毒気を抜かれて、思わず笑ってしまう。しかし、恋愛話は恋愛話で、私にとっては不都合な話題だった。そりゃあ私だって、恋くらいはしている。しかし、一番の問題は、その私が恋をしている相手が、目の前で、真剣な表情を浮かべている清子、その人であることだ。産めよ増やせよお国のために、だなんて標語がお国から発表されたのが6年前。女は出来るだけ多く子供を産む。それが絶対的な生き方として定められてる今この刻において、まさか幼なじみに、ずっと片思いをしているだなんて、そんな事を知られたら、一体誰に何をされるか分からない。目の前の相手にずっと抱いて拗らせてきた思いを拒絶される事と、社会的な死への恐怖が、私の言動を鈍らせる。
「してないことは、してない、けど……」
気恥ずかしさから思わず清子から目線を逸らして、遠く彼方の空を見つめる。今日はよく晴れていて、いい天気だ。もくもくと立ち上る入道雲が、真っ青な空と二色の美しい対比を作っている。清子は、なんだかショックを受けたような表情で、「そうなんだ………愛子ちゃんの好きな人は、今どこにいるの?徴兵、行ってるんでしょ?」
と聞いてくる。私は、今目の前に!なんて言ってその顔に指をさしてやりたい衝動をグッと堪えて、
「意外と近く、かなあ……そういう清子ちゃんは、急にこんな話題振ってきて。好きな人でもいるの?」
と逆に質問してみる。すると清子は、ビクリと体を震わせて、顔を真っ赤にしながら、いつもの明朗なそれとは全く異なった、わたわたとした感じで、喋り出した。
「わ、私の好きな人はね、その、い、いつもちょっとだらしなくて、遅刻気味で、でも、足が早くて、ちょっと抜けてるところも、逆に支えてあげたくなるっていうか、そんな感じの人で」
それって私のことじゃん、なんて言いたくなる、いくら自分が清子の事が好きだからって流石に自惚れ癖が強すぎる、そんな自分を押し殺そうと、私がもう一度、清子から目線を外して空を見上げた時だった。銀色の、鋭く光る戦闘機が空気を切り裂く。空襲だ、それもここから近い。その戦闘機が禍々しくも爆弾を出産する光景が、私の瞳に反射する。
多分、助からない。
「そ、それでそれでその人はね、今、私の目の前にいて」
言いかけた清子の体を抱き寄せて、押し倒し、清子の上に覆いかぶさる。すっかり目が蕩けた清子の唇に自分の唇を重ね合わせる。多分、私たちは両想いであることに、ずっと前からなんとなく気づいていたんだろう。それでも、拒絶されるのが怖くて、中々すり合わせられなくて、そんな青春の臆病心を、許してくれるほど、この世界は甘く、ゆっくりと進んではくれなかった。私が死んだ後でもせめて、私が清子に恋をしていたことが伝わるように、そんな必死な想いを胸に、もう一度、唇を重ねる。清子の視界には、私しか映っていない。それでいい、と私は心から歓喜した。
あ、と私は幽かな声を漏らす。思い、だした。五年前の、あの線香花火をした日。二人とも揃って慎重に持っていた線香花火は、すぐに消えゆく運命に抵抗するかのように、バチバチと、大きく弾けた。そうして弾けて弾けて、私たちがきれいだね、と笑みを交わし合った次の瞬間、その線香花火は、突風に吹かれて、ポテっと同時に、地に堕ちていった。