『花束』
「ふふ、あなたったらまた花を...」
照れくさそうに笑う君はそう言いながらも
花束を受け取ってくれる。
ここ最近嫁の体調が良くない。
入院という形でなんとか現状維持できているレベルだ。
私が不安なら、当の本人はもっと不安だろう...
だから会いに行ける日は毎回花束を買って嫁にあげている。
病院に怒られない限りは続けるつもりだ。
「これじゃ、お花屋さんを開けますね。」
そう言って今日受け取った花を我が子のように撫でる。
そんな優しい君だからこそ早く良くなって欲しい。
今はそう願うばかりだ。
「実は...あなたにこれをあげたくて。」
そう言って折り紙で色んな種類の花を束にして渡された。
どれも優しく丁寧に折られている。
そんな健気な姿勢に思わず涙が零れてしまった。
語り部シルヴァ
『スマイル』
寝起きに鏡を見る。
まぁー...なんて情けない顔なんだろう。
顔を洗って歯を磨いて少し目を覚ます。
気分がさっぱりして朝の身支度を済ませる。
ご飯を食べて、歯を磨いて...
忘れ物が無いかチェック。
よし、大丈夫そうだ。
あと数分で出勤だ。
部屋を出る前にもう一度鏡を見る。
朝よりかはマシな顔だが、これは社会人の顔じゃない。
軽く深呼吸してして心の中で唱える。
"さあ、仕事の時間だ"
自然と口角がキュッと上がる。
これで大丈夫。じゃ、行ってきます。
語り部シルヴァ
『どこにも書けないこと』
数秒前に投稿した呟きを消す。
思ったことを吐いたがなんだか罪悪感が拭えきれなかった。
最近ストレスが溜まっていると友人に話したところ
「それならSNSに投稿すれば?」
と言われた。
さすがにモラルってもんが...と突っ込む前に遮られ
「鍵垢にして自分しか見れないようにすればいい。
ノートに思ったこと書いてグシャグシャにするのと同じだ。」
とアドバイスを貰った。
ノートに書く方法は昔思いついていたが
ノートが勿体なくて諦めた。
SNSでやってみたが...これまたもしかしたら
誰かが見れてるかもしれないと考えたら呟くに呟けなかった。
...また別の方法を思いつかなければ。
語り部シルヴァ
『時計の針』
ネジを巻けば進む。
秒針が音を鳴らし時間を刻む。
秒針が、短針が、長針が動くのをずっと見ていられる。
止まっているような自分の世界が動いているのが安心する。
まあ...私はその進む時間を無駄にしているんだけど...
スケルトン調の懐中時計が夕陽を透かしている。
時計越しから光る夕陽がなんだか虚しい。
今日は何やったっけ。何もしていないような気がする。
さっきまでの安心は不安に変わる。
あぁ、止まれ、止まれ。
そう願っても胸で秒を刻む鼓動は止まらない。
今日も、一日が終わった。
語り部シルヴァ
『溢れる気持ち』
もう...もう限界だ。
毎日毎日絡んできて...
それでもこっちが話そうとすれば離れていく。
とか思えばそばにいて欲しい時にはそばにいる。
人の気も知らないで...
まあ...思いを吐き出せないこっちも悪いけど...
でも、そんなこと言ってる場合じゃない。
これ以上はこっちが持たない。
"明日話がある。校舎裏に朝イチ集合ね。"
明日決着をつけてやる。
思いを全部...溢れた気持ちをぶつけてやる。
覚悟しろ。
語り部シルヴァ