彗星

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9/18/2025, 10:06:19 AM

題:解けた靴紐、結ばれた恋

「ど、どうでしょうか……」
「あらぁ、似合ってるじゃない!ねえ、二人とも」
「はい、すごく似合ってます!」
「やっぱ美人って何でも着こなしちゃうんですね……羨ましい」
 今日、私含めた四人はトーキョー巡りをするの!
 といっても、ロゼッタ達は有名人だから、多少の変装はするわよね……(多少というよりは服装変えるくらいで、三人はバレても問題ないそう)。
 今日のロゼッタの服装は紺のスニーカーにこれまた紺のジーパン、黒い長袖服に青の上着、そしてまたまた紺の帽子。
「紺色系なのね」
「はい、私には一番紺が合うと思ったので……」
 さすが。自分の似合う色をよく知ってる。ちなみに私は黒系で揃えてるわ。黒のキャビネットに黒のロングコート、黒いタイツに黒のパンプス。
 結構似合ってると思うんだけど……。あ、このコーデはオデッセイであるわよ。
「それじゃ、トーキョー巡り、始めますかー」
「そうね」
「おー!」
「元気ですね……」
 リンクの掛け声で出発。元気な私達とは裏腹に、ロゼッタはげんなりしている。そんなにあの服装が嫌なのかしら。

♡ ♡ ♡

 色々なところを巡って、旅館への道についている時。ふと、ロゼッタのスニーカーの靴紐が解けていることに気が付いたの。
「ロ……」
「ロゼッタさん、靴紐が解けていますよ」
 教えてあげようと思って言葉を発した瞬間、リンクが先に答えてしまったの。ちょっとムッとしちゃったわ。
「え?…あら本当。結び直さなくては」
「俺がやります」
 おお。今リンクに片思い中のロゼッタにいきなりそれはいけるのか?大丈夫?
「ありがとうございます……」
「いえいえこれくらい、どうってことないです」
 そう言うとリンクは、ロゼッタに優しく微笑んだの!王子様か神が降臨したのかと思ったわ。
「っ……!」
 ほらほら、ロゼッタの顔がどんどん紅くなってきたじゃない。それくらいの破壊力よ。ロゼッタみたいな恋愛未経験者が喰らったら、たまったもんじゃないわ。
「え、どうしたんですか、ロゼッタさん」
「い、いえ、これくらい、どうってことないです……」
「それ俺がさっき言ったセリフですね」
「!……」
 あーあーあーあー、もう限界よね、ロゼッタは耐えられないわ。私が止めさせないと。
「靴紐は結べたみたいだし、早く行きましょう。待たせてはいけませんわ」
 そう促してリンクを前に出し、私はロゼッタの隣に並んだの。それでね。
「どうやらむすばれたみたいね、恋」
「っ!ちょっと、ピーチさん……!」
「ふふっ」
 ロゼッタとリンクの恋が無事結ばれたことを、私はロゼッタに小声で伝え、心の中で密かに祝っているのでした。

お題『靴紐』

9/15/2025, 11:10:27 AM

題:涙

 ーー『感傷旅行』。それは、過去の思い出の場所を訪れたり、感情を整理するために訪れたりすること。
 今私は、その感傷旅行というものをしている。
 場所はただ一つ。
 星見のテラス。
 そこが、私の思い出の場所。そこには、たくさんの思い出が詰まっている。
 パパとの思い出、弟との思い出、ママとの思い出ーー。
 私にとってはほんの一瞬の出来事が、今でも鮮明に思い出せる。それほどに大切な思い出。
 小高い丘を上りきり、大きな木に黄色い花が咲いた綺麗な場所へと出る。
 木の根元まで行き、地面に膝をつける。
「……ただいま、ママ」
 百年。たった百年経ってから来ただけなのに、ここに来るといつも百年が途方もなく長い時間に思える。
 木の根元に、ピンクの薔薇を供えた。

お題『センチメンタル・ジャーニー』

9/14/2025, 9:15:59 AM

題:白の未来

 大好きなママが死んでから、私の人生は変わってしまった。
 何も感じなくなった。笑わなくなった。楽しいとも、つまらないとも思わなくなった。
 ただ、全てがどうでもいい。
 まるで心にぽっかり穴が開いてしまったかのように。
 ……あの子達に出会うまでは。
 あの子達が、私の人生を幸せなものに変えてくれた。
 幸せだと感じるようになった。笑うようになった。快楽も、退屈も、感じるようになった。
 ……人の温かさも、悲しみも、運命も。
 まるで心と未来の空白が埋まったかのように。
 私はマリオさん達と出会って、マリオファミリーとして迎えられ、リンクさん達とも出会った。
 あのチコのことは、決して忘れないわ。
 だって、心と未来の空白を埋めてくれたんですものーー。

 皆さんお久しぶりです、彗星です。
 実は来年の春の4月24日(金)に、【ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー】が全国ロードショーで公開されるみたいです!(拍手)
 それに、Switch(2ではないです)でスーパーマリオギャラクシーとスーパーマリオギャラクシー2が1本のソフトになって今年の10月2日に発売決定!
 更に!作中に出てくる【ロゼッタの絵本】がで追加ストーリーされる他、【ロゼッタの絵本】が同じく今年の10月2日に書籍化!これはたまらない!ちなみに書籍化された絵本では追加ストーリーの所は無いらしいです。これは実際にプレイして見てくれと。
 もしロゼッタファン、またはスーパーマリオギャラクシー持ってて絵本読んだことあるよって人はソフトを買ってみて、ぜひ追加ストーリーを読んでみてください!
 【ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー】の紹介映像はもう出てますのでそちらもぜひご覧ください!(タイトルは英語なので、英語だと【THE SUPER MARIO GALAXY MOVIE】です)

お題『空白』

9/12/2025, 12:43:21 PM

題:悲しげな空

 台風が過ぎ去った後は空が綺麗に見えるらしい。それは台風が大気中の塵や砂を持っていくからだそうな。
 午前中に台風が去ったため、外に出たら案の定、空はこの上ないほどの快晴でした。
 他にも空を見上げている人がいて、あちこちから声が上がっています。
「ピーチさん!」
「あ、リンク!ど、どうしたのかしら」
「足の調子はどうですか?」
「ええ、だいぶ良くなったわ。あ、ありがとう」
 リンクさんとピーチさんが話しているようです。ピーチさんは四日前、足を捻挫してしまったのです。人一倍優しい彼は、皆さんを大切に思っているのです。
 ……何でしょうか、このモヤッとしたような、ピーチさんに対して軽い苛立ちを覚える感じは。
 これは……“嫉妬”?
 リンクさんと楽しそうに話すピーチさんに羨ましいと感じています。こんなことは、今まで初めてのことです。
 私はリンクさんのことが大好きなのに……。
 台風が過ぎ去った後の空は、少し悲しげに見えました。

お題『台風が過ぎ去って』

9/6/2025, 2:34:41 PM

題:髪を靡かせて

 下校時刻の過ぎた学園は、校庭で遊んでいる人と、まだ仕事がある教師だけ。寮に向かう途中に机の中に筆箱を忘れたことに気が付いた俺は、筆箱を取りに戻った。
 俺のクラスーー1ーSの教室のドアを開ける。と。
 誰もいないばすの教室には、窓の枠に頬杖をついて、腰までの金髪を風に靡かせて校庭を眺める女生徒が居た。
 ゼルダさん。
 その人の名前を、俺は知っていた。校内では有名人だ。学年テスト1位、成績はもちろんオール5……。
 そんな“完璧な”人。
 その人の後ろ姿を眺めながらどんな人か思い出していると、自分は筆箱を取りに来たのだということを思い出した。
(あれ?)
 机の中を漁っていると、筆箱が無いことに気付いた。
(授業出来ないじゃん……)
 と思っていると……。
「貴方が探しているのはこれですか?」
 突然声が聞こえ、声がした方に目をやると、ゼルダさんが左手の筆箱を振っていた。それは間違いなく俺の筆箱だった。
 ……来た時は無かった気がするが……、見えなかっただけだろうか。
「あ、ああ、ありがとうございます」
 礼を述べながら筆箱を受け取る。校庭を眺めたままの横顔は大変美しく、その翡翠の瞳は暮れゆく日の光を映して、宝石よりも輝いていた。
 綺麗な人だと聞いていたが、まさかこれほどまでに美しいとは。
「別に。ただ、誰も来ないと思っていたので少し驚きました」
「確かに。……いつもこの時間帯に?」
「ええ。誰にも邪魔されずに思いに浸れますし、こうして生徒が遊ぶ姿を見るのも飽きませんし」
「……なんかすみません」
「いいえ、私はなんだか友達が出来たようで嬉しいです」
 そう言ってこちらを向いた彼女の顔は、横顔に負けず劣らず。まるで神話の時代に出てくる姫のような顔をしている。
 これ以上見ていると吸い込まれてしまいそうだ。それに、ミファーを待たせているから、そろそろ行かないと。
「では、俺はここら辺で」
「分かりました」
 短く答えた彼女は、また校庭へと視線を戻す。
 ……以前見かけた、神話の時代の姫が愛したとされる、姫しずかのような顔をしていた。

 このお話は、リンク達が厄災を討ってから何千、何万も経った世界です。舞台はハテノ地方にある学校をイメージ(このお話の学園はもっと大きいです)。
 クラスは成績の良さで決まります。上から順に、S、A、B、Cとあります。リンクは学年テストは2位だけど成績はオール5です。
 これから二人はどうなるのか……。それは皆さんのご想像におまかせします。

お題『誰もいない教室』

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