霜降る朝は
まるで冷凍庫みたいに
冷たくて静かだった。
最近は冬をより一層感じる。
少し蝉時雨が恋しいけど
また来年になったら
聞けるから。
蒸し暑い気候までも
恋しいと思えるほど、
とても寒い日が続いていた。
時計はカチカチと動いているのに
私は寒くて動けない。
芋虫みたいに毛布にくるまって
にょきにょきと動いて
最低限の生命活動を行ってから
また眠る。
空気が冷たくて
もうこのまま冬眠したい。
気づいたらもう11月も終わり。
今年も終わり。
来年もまた
怠惰にだらだらと生きるだけ。
特に生きる意味とかは求めないけれど
死ぬ意味も求めていない。
何となく生きて、
何となく死ねればいい。
"Good Midnight!"
今日も丸々っと毛布にくるまり
にょきにょきと動いて
寒い朝を生きる。
人の話は
心で聞いてあげたい。
そう思うから
目よりももっと奥にある
相手の心を見て話してる。
耳で聞くのと
心で聞くのとでは
本当に違いがある。
耳で聞くのでは
耳に内容が入ってきて
言葉を返すことができるけど、
心で聞くのでは
心に言葉が入ってきて
心を言葉として返すことができる。
つまり聞いてる間
心が耳を傾けてるから
あったかくなるってこと。
まあ、
話を聞いてるだけじゃあ
疲れてしまうのはこっちだ。
心の耳にも休息が必要。
だから心の深呼吸を取り入れてあげる。
沢山息を吸って
心に届けてあげる。
喜んで吸い込む空気は
最近少し冷たくて
喉や鼻がキーンとなる。
それでもお構いなしに
心は休息を求めてくるから大変だ。
"Good Midnight!"
心というものが
どこにあっても、
なくても、
込めてしまえば。
想ってしまえば、
少しだけ優しくなれる夜中。
金色の時を繋ぐ糸。
それは切れやすくて
紡ぐのが難しい。
機械に頼らず
人の手で紡ぐ必要があるから
人手不足の今、
時を繋ぐ糸は
もうぐちゃぐちゃになりかけている。
少しずつ
少しずつ解いていってるのが
まあ、夜超ひましてる私。
少し前まで糸を紡いでて
ぼーっとしてたら
なんか辞めさせられてた。
私が辞めた直後に
糸は人手不足で手付かずとなった。
無理にでも雇っとけばよかったのに。
昼寝してまた昼寝。
昼寝も飽きてきた頃に昼寝していたら
もう何もかもが暇すぎた。
時を繋ぐ糸が絡まりやすいのも
切れやすいのも知ってたから
きっと大変なことになってるだろうなぁと
見物に行ったら、
思ってた以上に大変なことになってて
もう時間が合わなくなりそうな
時空の歪みまでできてたから
暇な私の時間を使って
暇つぶしで解いている。
元々手先が器用だから
ぼーっと何かを考えながらも
何も考えていなくても
簡単に糸を解けた。
"Good Midnight!"
時間は繊細で壊れやすい。
だから糸で繋いであげる。
ここだけの話、
糸はあったかくて
まるで生きてるみたい。
落ち葉の道を
サクッ、サクッと
歩いていく。
地面が見えないほど
積もってしまった落ち葉。
綺麗に紅葉したまま落ちた葉、
枯れてしまってもう茶色い葉。
たくさんの種類の葉が
たくさん落ちて道になっている。
歩いても歩いても
そのふかふかさはなくならず、
包容力は抜群のままだった。
時々吹く強い風が
落ち葉をどこかへやってしまうけれど
それでも道は無くならなかった。
ずーっと真っ直ぐ
奥の方まで続く落ち葉の道。
世界に果てがあるとするならば
きっとこの落ち葉の道の先にあると
私は思う。
最近は紅葉もイチョウも
よく見かけるようになった。
金木犀の香りが
まだどこかに取り憑いたように香る季節。
午後6時にはもう真っ暗。
"Good Midnight!"
果てまで続いてそうな
落ち葉の道も夜には勝てず
暗闇に溶けていた。
心に鎖を巻き付けて
鍵をかけてしまった君。
鍵しかその心を開けられないのに
鍵を隠してしまった君。
君が隠した鍵を
取り出して開けてあげるのが
私たちの仕事。
心の内側を覗いて
鍵をどこへやったのか
見る必要がある。
だから短時間で寄り添ってあげれる
人間性が必要。
特殊な訓練を受けた私たちは
その人間性を持っている。
簡単に心の中に入って、
鍵を見つけて開けてしまう。
人の心を粘土のようにいじってしまう。
それが怖くて
私も私に鍵をかけたくなる。
でも無理だった。
私たちは鍵をかけれないように
訓練されていた。
もう嫌だ嫌だ嫌だ。
人の心の内側なんか見たくない。
鍵なんか拾いたくない。
私に鍵をかけてしまいたい。
"Good Midnight!"
決していい真夜中とは言えない
腐ったクソッタレの真夜中。
私は私の心を扱えないまま
人の心を扱っていく。