明日にはいない人

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2/9/2026, 3:12:44 PM

「花束」

氷雨

濡れたスーツに

抱える花束

石碑に刻まれるは

君の名前

2/6/2026, 2:42:15 PM

「時計の針」

ひとつすすんで 雪の華
ふたつすすんで 落ちた星
みっつすすんで 君は誰?

よっつすすめば お友達
いつつすすめば 雷の城
むっつすすんで 君と僕

ななつすすんで 手を繋ぐ
やっつすすんで 手を離す
ここのつすすんで 僕は誰?

じゅうすすんで 立ち止まる
じゅういちすすんで 思い出す
じゅうにすすんで 君がいない

くりかえしくりかえし

めぐるめぐる

僕も君も もう笑わない

2/2/2026, 2:16:02 PM

「勿忘草」

凍りついた時の中でただ君を想う

君がいなくなってしまってから何百年経っただろうか

ずっとずっとこの街は変わらない

君が来るまで永遠を彷徨い続ける

「必ずあなたに会いに行くから待ってて」

君はそう言ってくれたから

それだけを信じて待っている

何の力もない僕が永遠の魔法を使う為には多くの代償が必要だった

僕はもう目が見えない

僕はもう人間の姿じゃない

君が綺麗だと褒めてくれた僕の姿はどこにもない

君を抱きしめる手は鋭い爪になった

君の名前を呼ぶための声も獣の唸り声になった

雪に埋もれた城で僕はただ泣いている

涙は凍って厚い氷になって冷たい壁を作った

君を待ってる

君だけを想ってる

こんな僕じゃあ君も怯えてしまうだろうけど

何もない僕には

もう君しかいないんだ

君を信じてる

君を忘れたくない

どうかどうか

君も僕を忘れないで

僕はずっとずっとここにいるから

僕の体に花の種を植えたんだ

君は僕の顔が好きだったけど今はこんなに醜くなってしまったから

僕が死んだら沢山の花が咲くはずだ

君は綺麗なものが好きだから

きっときっと見つけてくれるって僕は信じてる

どうかどうか

僕のことを忘れないで



1/31/2026, 1:32:04 PM

「旅路の果てに」

旅路を人生に例えるなら、「果て」は死を指すだろう

祖父母が死んだとき、私は想像していたよりもずっと簡単に身内の死を受け入れられた

祖父は優秀な人で、地元の議員だった。長年勤めた功績を讃えて国から賞を貰うほど勤勉で真面目で優しい人だった

祖母もとても優しい人だった。人の為に怒れる人で、数え切れないほどの友人がいた。人の為に尽くし、人を褒めるのが好きな人だった。

祖父も祖母も長い旅路を歩んだ

果ての先に、ふたりはどこへ行ったのだろうか

仕事を真面目にこなし、子供にも孫にも恵まれ、家族みんなに愛された。傍から見れば幸福な人生と呼べる人生だろう

でも、本人がどう思ってたかなんて誰にもわからない

辛いことも悲しいこともあったはずだ

二人共、息を引き取る瞬間は一人きりだった

家族の誰にも看取られることなく

祖母は病院で、祖父は老人ホームで、

長い長い旅路の果てに何を思ったのだろうか

そして私は

いつかたどり着く旅路の果てにいったい何を思うのだろうか

1/27/2026, 4:01:05 PM

「優しさ」

あたたかくて ふわふわしていて まるくて つつみこまれるような感じ

ぽかぽかする陽だまりと寝起きのまどろみ

ひとりでもひとりじゃなくても ぜんぶ 大丈夫になって

みんなが好きになる

「今」が好きになる

そんな「優しさ」

でも、ぜんぜん違う「優しさ」も知ってる


つめたくて するどくて なみだのあじがする いたくてずきずきする感じ

氷水と塩をバケツであたまからかけられたように

どうしてそんなことを言うの

どうしてそんなことをするの

裏切られたような 捨てられたような ひとりぼっちになったような

痛くて 悲しくて 寂しくて やるせない怒りがわいてくる

そして

ずっとずっとあとになって

自分はひとりぼっちじゃなかったんだって気づく

裏切ったのは自分だったんだって気づく

長い道をあるいた先で ふと振り返ると その人がいる

優しい顔で 私を見てる





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