最近学校でよく熊が出ている
だからといって休校になる訳でもなく
送迎必須になる訳でもない
先生達も授業の度に熊の話をする
生物の先生だったような気がするのだが
熊に会った時の対処法を教えてくれた気がする
そして? んなこと聞かれたって覚えていない
数学のプリントなんて解いてないで聞いておけば
良かったと今更ながら後悔している
だって目の前には大きな熊がいるのだから
最期の言葉が「明日三角チョコパイ食べに行こー」
になるとは思っていなかった
人生で一度は三角チョコパイ食べたかった
なんて思いながら熊の口の中を見つめていた
『生徒及び職員に連絡です』
『これから<おもてなし>を始めます』
『これは本番なので気を抜かないでください』
おもてなし?なんだそれ
「あんた先週引っ越して来たんだっけか…」
「おもてなしっていうのはこの土地にいるオナギ様を迎える基戦うっていう行事的なやつなんだよね」
「普通に怖いし勘弁して欲しいよ」
そんなのがあるのか
私何もできないんだけど大丈夫なんだろうか
「さすがに先生達が何とかしてくれるだろうけど先生達でもやばかったら生徒会がやってくれるから多分うちらは何もしなくてもいいと思う」
先生がダメなのに生徒会の人たちができるのだろうか
「生徒会はね選ばれた人しか入れないから多分強いんだと思うよ」
『連絡です』
『オナギ様が校内にいらっしゃいます』
『校内にいる生徒は必ず2人以上で行動してください』
「じゃあうちらは2人で行動しようか」
〘 その必要はないよ〙
『えっ?』
ぐしゃバリッぐぢゃ…
私の名前は小木間さな
この土地が大好きです
今年からは練習じゃなくてまた本番になるけれど
この行事とても好きです
オナギ様の正体は私しか知らないから
この世界にはゾンビが蔓延っている
元々は感染症だったのに突然変異をして
みんなゾンビになっていった
私たちが小さい時に突然変異したらしいから
詳しいことは分からない
だけど
友達がゾンビになってハンターに駆除されていくのを
部屋の中から見ていた
辛かったし悲しかった
兄はハンターになった
かっこよかった
昔から私を守ってくれたから
だからあんな姿見たくなかった
歳が離れていて仕事も忙しくて中々会えなかったけど
私は兄が好きで尊敬していた
だから私もハンターになった
いつ死ぬか分からないけれど
人間として死ぬその時まで焔を燃やしていたい
そう思った
「行ってきます、お兄ちゃん」
『行ってらっしゃい、気をつけろよ』
そんな声が聞こえた気がした
恋の方程式
よく聞く言葉ですよね
授業なんかじゃ取り扱わないし
取り扱ったとてわかるものじゃないし
わかっても特に何かある訳じゃないし
片思いしてる時、あれだけ知りたいと思っていたのに
いざ分かりかけてみると知りたくないと思ってしまう
人間は恋愛脳なもので
ささいな出来事でさえ
何かと恋だ愛だと騒ぎ、茶化す
自分だけ知れるとかなら
知っていてもいいかもしれないが
他人も知れるのなら永久に解は出なくていいと思う
そんな人生において
高校生においての最大の問い
文系の方が有利なのかもしれない
誰もいないはずだった教室
お昼ご飯を食べようと空き教室に来たら君がいた
真っ黒で直毛な髪に長い足、綺麗な横顔
羽でも生えてるんじゃないかと思った
「やば、めっちゃイケメンじゃん」
『ありがと、ってか誰?』
やや低い声もまた魅力的だった
「俺A組の成瀬」
『お前同じクラスなん?知らなかったわ』
同じクラス?こんな奴いたら女子たち見逃さなくね?
『まぁいつも寝てるししゃーないか』
いつも寝ているやつは橘しかいない
だけどあいつはいつも前髪で顔を隠しているはずだ
「お前橘?」
『おん、成瀬飯食おうぜ』
「おう」
橘と話したことなかったけど案外良い奴かもしれない
この考えが全くの見当違いだったことに気がつくのは
また別の話