君が思っている通り、私はこの先もきっと君を忘れない。
君の嘘を黙って飲み込んで、
君の中途半端さに振り回されてきた日々。
君が容赦なく振りかざした正義が痛かった。
君の破壊的な魅力が手放せなくて苦しかった。
でも、この関係の曖昧さを一番楽しんでいたのはきっと私。
言葉にしようとすると、
手からするりと抜け落ちてしまうような2人の関係。
ただ通話だけして、軽く喋って、笑って、またねで終わる。
未練のないふりをして、
未練まみれの言葉を交わす私たち。
責任も義務もない、そこに放り投げられただけの居場所。
それを手放せなかったのは、君も私も同じだった。
私たちは何度もすれ違って、確かにお互いを嫌って。
まるで腫れ物に触れることを拒むかのように、
その存在を忘れることを望んだ。
でも…どうしてもできなかった。
離したかった君の手を自ら振り払えず、
聞くべきじゃなかったその声に縋った私。
忘れようとして、でも振り払いきれず、
手放さないまま私の気持ちを試し続けた君。
まるで傷痕をなぞるように、傷口を誤魔化すかのように。
私たちは何年も、
お互いの姿をどこかで確認することをやめられなかった。
だから私たちは、きっと終われない。
あの時間を、この関係を。
忘れることなど、きっとできない。
___きっと忘れない
あなたのその生ぬるい優しさ、
全部私のためだったなんていうつもり?
私の思いを試すような都合のいい嘘も、
何度も私の心を殺した中途半端な正義や未練も、
自分のペースを乱さないためにあなたが隠した弱さ。
あなたの正義は、私の悪であるべきだった。
あなたの嘘は、私の真実になんてなっちゃいけなかった。
"忘れた方がいい"そう言って私の手を離した癖に、
その些細な優しさでずっと私を縛りつけてきた。
行動に移さないあなたの優しさなんて意味がない。
どうせあなたは、その倍深く傷をつけるんだから。
あなたの優しさなんて…。
そんな見せかけの優しさなんて、ほしくなかったよ。
___やさしさなんて
君はあの時、"またね'"とは言わなかった。
でも'"さよなら"もくれなかった。
そうやって曖昧に繋ぎ止められた関係は、
きっと君が忘れて静かに消えていくものだと思ってた。
なのに、ねぇ……なんで。
私たちはどうして今だに終われないの?
ちゃんと前に歩いてるはずなの…振り返らないように、
何度も自分に言い聞かせながら。
でも気づけば、君の影を踏んでしまっている。
やめて、やめてほしいの。
私は君に失望した、
自分でも呆れるくらい深い場所で君を憎んだの。
なのに、君の声が泣きたくなるほど嬉しいのはどうして。
あの日…。
君が冷めた視線を落とした、何度目かの最後。
そして私がようやく、君に向かって差し出していた手を
自分の意志で引っ込めた時。
そこには"またね"の余韻なんてなかった。
もう今度こそ"次"なんてないんだと思った。
恋焦がれて仕方なかった君の声、大好きだったその温度。
全てがとっくに私の手にはなかったのに。
ねぇ、君は私に何を望んでいたの?
君があの時描いていた未来に、こんな関係は存在してた?
手放してよ、私のこと。
私の手を握り返さないだけじゃダメ。
ただそっと手を離すだけなんて、そんなのずるい。
ちゃんと、振り払って。
私に向けていたあの冷めた瞳と同じように。
生ぬるい優しさ、中途半端な正義、そして自分よがりの嘘。
私たちはどこかで終わらなきゃいけなかった。
誰かを傷つけてしまうくらいなら、
その存在を忘れるべきだった。
"さよなら"って。
今度こそ、突き放して。
___またね
君の背中を追って、何度も春を見送った。
追いつけないことはとっくに分かっていたのに、
それでも私は君が振り向く奇跡を信じていた。
名前を呼ばれなくなっても、
声が冷たくなっても、
優しさの残骸みたいな通話にしがみついていた。
君の言葉に一喜一憂して、
君の沈黙に何度も自分の価値を測った。
“好き”って、どうしてこんなに残酷なんだろう。
選ばれなかった私は、何を信じて、何を望めばよかったの?
でも、もう戻れないから。
君が私の理想でいてくれなくてもいい。
あの儚い美しさを失って、
身体だけ男らしくなってしまった君でもいい。
だって私はもう、君がいなければ生きられないような
弱くて愚かな女の子じゃない。
君のために変わった。
君に恋して、君を信じて、その分だけ深く傷ついた。
君につけられた傷が、私を強くしたんだよ。
だから今だけは、言わせてほしい。
――君の背中を追って、私はここまで来た。
でももうこれからは、自分の足で前を向いて歩く。
君の背中じゃなく、
私の未来を見るために。
___君の背中を追って
幸せな人は言う。
"勝ち負けなんて気にしても意味ないじゃない"
恵まれて生きてきた人は言う。
"勝ち負けなんて重要じゃないでしょ"
勝敗にこだわるのは愚かなことで、
優劣を決めながら生きるのは虚しいことだと。
でも、私はそれでもその人たちに言いたい。
"勝ち負けがこの世の全て"なのだと。
勝者だから富を得て、
勝者だから幸せになれる。
平等は当たり前なんかじゃない。
それを知らないのは、
いつだって明るい世界しか見ていない勝者だけ。
___勝ち負けなんて