#91「もしも君が」
おねがい
もしも君が神様ならば
スケープゴートになってもいい
振り子のように吊られた僕
君に会うまでの、神聖な時を刻む
ちゃんとなぞって、今から君に捧げる
僕の頸動脈
ちゃんと聞いて、今から君に捧げる
血のドクドク流れる音
ちゃんと突き刺して、今から君に捧げる
奥深く堅い僕のハート
僕を暴いて
僕を知って
僕を屠って
美味しいところ、わかるよね?
君のお墓を彩るなら
鮮やかなワインレッド
そうだ、僕の血で染めてあげる
害虫が寄りつかないように
だから神聖な血に、僕に
愛を与えて
「ねえ、」
時が止まった
#90「夢見る少女のように」
ステッキをひとふり
私は知らぬふり
いたずらな花火のように
ひとときの夢で眠ればいい
蝶のように舞い、蜂のように刺す
子供のように手を伸ばそうと
宝箱には入らない
憧れに加工された私
誰よりも美しい
本当の私よりずっと、ね
その命の儚い輝きを
「かわいい」と人は呼ぶのでしょう
手のひらで踊らされていると気づいたなら
最期までキレイに踊りきってあげる
バカだねって、目を細めて
#89「傘の中の秘密」
私は、知っているよ
私と相合傘をしたいがために
わざと傘を隠したこと
私は、知っているよ
君がわたしに好意を寄せていることも
なかなか言い出せないことも
私は、知っているよ
ほんとは男友達に誘われてたけど
用事があると嘘をついたこと
君は、知らないだろうな
雨の中、君だけが秘密をもっているなんて
そう思ったら間違いだよ
私だけが、知っている
私は剣士で、君は敵国の王女
三千年の時を駆けて
性別も時代もなにもかも変わっても
君に復讐するために来た私を
けれどまた、君に惚れてしまった私を
身を寄せあう傘の中
君は、知らないだろうな
#88「電話」
うす闇の夕焼けの中で
スマホが光るのを待っている
かなしいな
一人で過ごす時間は
無限の時が不燃ゴミに収まっている
もったいないから、君の声が聞きたい
でもできないから、君の文を見つめる
こういう時むかしだったら
電話をする口実なんか、要らなかったのに
あいたいな
ほんの少しの気持ちが
ゴミ箱の中で震えて、輝いた
#87「君の名前を呼んだ日」
オー・ラリー
オー・ラリー
ワタシの口が踊っている
バレエの少女に憧れて
スケートの王子に夢を見る
魔法はなかなか覚めなくて
ワタシはただただ踊ってる
オー・ラリー
オー・ラリー
王子が消えても輝いて
氷のように鮮明に
こころの響きが透明に
お伽の世界はどこにある
魔法の呪文はここにある
オー・ラリー
オー・ラリー
ずっと君を探している