【遠い鐘の音】
鐘・神社・祈り・神聖・静けさ・厳か
「お前は何を祈った?」
「んー。特に何も」
「んぇ、マジで?なんにも?」
圭太は寝起きに水をかけられたみたいに驚いた。願わないなんて予想だにもしていなかったんだろうな。
当然か。
「なんで?」
「いや、願ったってしょうがないだろ」
「どうして」
「願うってことは、そいつは自分で願いを叶えられるって思ってないってことだろ。他力本願な精神が見え見え」
「うわ、その言葉刺さるわ」
「なんだよ、受かりますように、とか願ったのか?」
「悪いかよ」
「いいんじゃね? 人の願いにまでとやかく言わねぇよ」
「そうですか」
しばらくして、圭太がボソッと呟いた言葉が印象的だった。
「これだけ頑張って、祈ることすらできないって、しんどくね?」
……祈りは何も全てを押し付けるものではない。
遠い鐘の音が聞こえた。努力が報われますように。
少しくらい、祈ったっていいのかもしれない。
【あとがき】
自分の作品はキャラクターが少ない。その弱点に気づき、前回からキャラクターを増やしました。
今回は会話だけになってしまいました。まだまだ発展途上だと捉えますか。伸びしろ伸びしろ。
【スノー】
雪を鬱陶しいと感じるようになったのは、いつからだろう。
玄関を開けると、一面に雪景色が広がっていた。
昨日結構降ってたもんなぁ。布団から出た時も寒かったし、そういうことだろうとは思っていたが。
それにしても結構積もってる。足を滑らせないように、鉄製の階段を丁寧に降りる。足跡の上を歩けばいくらかマシだろう。
こうも積もっていると憂鬱だ。歩くだけで大変なのに、運転とか。本当ついていない。一応中止を提案したが、まだ既読は付いていなかった。まぁハナから期待はしていなかった。アイツは既読遅いし。
己の運の悪さを恨もう。
___
「いやぁ!積もったなぁ!」
「積もった!積もった!」
「ガキと反応同じじゃねぇか」
雪道を走っていた。
そこそこに気を張らせて運転する俺の後ろで、男子2人は無邪気なものだった。若干一名、男子というには年齢を重ねすぎているが、そこはそれ。こいつはそういう奴なのだ。
「ガキとかいうなよ〜! たっくんが覚えたらどうするんだ!」
「……まさかお前に子供がいるとは思わなかったよ。隠し子か?」
「さっきも言ったろ〜。姉ちゃんが帰ってきてんだよ。雪遊びするなら連れてけって、強引だよな〜。ホント、誰に似たんだか」
「……」
お前も似たようなものだぞ、と言おうとしたがやめた。面倒だし鬱陶しくはあるが、そういう一面に救われている時もある。
現にこいつがいないと、俺は一生引きこもってただろうし。
「にしても、雪ではしゃぐとか呑気なもんだな。お前もそろそろ免許くらい取ればどうだ? そしたら俺の憂鬱も理解できるだろ」
「別に運転する必要ないしな〜」
「会社近いもんな」
「そそ、遊ぶときはお前が車出してくれるし」
「……」
「感謝してるって! なんか奢ろうか?」
俺の不満を感じ取ったのか、咲田はらしくなく気遣ってきた。背もたれがほんの少し揺れる。バックミラーには、体を乗り出して俺の椅子に体重を預ける咲田が映っていた。
「いや、いい。それよりちゃんと座れ。危ないだろ」
「りょーちゃんのいけずー」
「誰だよ……」
疲れてきた。これから遊ぶっていうのにもう帰りたい。少年はよくこんな空気に耐えられるものだな。まぁ、一面の雪景色に浮かれているのだろう。さっき見た時も、顔が伸びるくらい見てたし。
チラリと外を見る。一面の雪景色だ。
特にそれ以外言うべきことはない。何もかもが白く覆われていて、殺風景だ。
「雪ってさ〜!」
くだらない思考は、少年の言葉で遮られた。
「英語でなんていうか知ってる?」
くだらない話題だった。もちろん知ってる、と答えようとして先に咲田が答えた。
「知らないな〜! たくみは知ってるのか?」
「うん! ちゃんと勉強してるからね!」
たくみと呼ばれた少年は、誇らしげに胸を張った。
本当、可愛らしい。そんな簡単なことでこうにまで自信を持てるんだから。
俺にもこういう時期があったのだろうか。
「教えてくれるか?」
咲田はそんな少年に対して、未だ無知なふりを続けていた。本当馬鹿馬鹿しい。
馬鹿馬鹿しい、とは思うが、こういうところがこいつが好かれる理由なんだろうなと思う。
「ふっふっふ、仕方ないな〜!雪はね、英語で、スノーって言うんだよ!」
「えー!まじかー!!」
咲田は両手をあげて、大袈裟に驚いてみせた。その反応を気に入ったのか、少年は何度もスノーと連呼する。
馬鹿馬鹿しい。馬鹿馬鹿しいが、少し羨ましく感じた。雪とか、英語とか、そんなことで舞い上がれる人生、ずっと楽しいだろうな。
えー!まじかー!!
それからしばらく、咲田の声が車内に響いていた。
【あとがき】
最近、文章が好きになり個人的に目をつけている方がいます。俯瞰して僕の作品と比べると、人数の差(僕は1人がメイン。その人は2人がメイン)や、テーマの単語をそのまま文章に登場させる点で違いがあると思いました。
当然、こんなことをしているのですから、僕は文章が上手くなりたいわけです。少しずつでもいいから技術を盗もうと思い、今回は人数を増やし、スノーという単語も登場させました。
正直もっと色々できたな、と思っています。主人公が人生を楽しんでいなかったり、主人公の友達(咲田)が子供らしい感性を持っていたり、もう少し雪にフォーカスを当てれただろうなぁと。
まぁ、地道にやっていくもんです。文章なんて突然上手くなるもんでもないですから。
【夜空を超えて】
星・暗闇・銀河・遠方・愛・友情・夜・寒い
願ったって叶わない。そう思うから、みんな星に手を伸ばすのだろうか。自分の願いは、星を手で掴みたいと言っているようなものだと、そうやって自分を嘲笑うために星に手を翳すのだろうか。
それとも、眩しすぎるのだろうか。星の光が眩くて、目が潰れそうに思うから、だから手を伸ばすのだろうか。
【あとがき】
今日は何も思いつきませんでした……!!
ただのポエムになっちまった。そういう日もあるさ。
【凍える指先】
凍結・凍死・冷凍保存・手袋・愛情・飢え・マッチ棒・タバコ・ライター・ストーブ・かまくら・遭難・雪山・雪崩
悴む手先で覆いながら、ライターで火をつける。ボッ、という音と共にタバコに火がついた。そのままゆっくりと煙を肺に入れていく。この瞬間が1番たまらない。この一時のために生きている、と確信をもって言える。
ホウと息を吐きながら、しかし思考は回る。果たしてこの瞬間は幸せと呼べるのだろうか。この瞬間のために生きている、と錯覚しているだけで、本当はそう思い込むしかなかっただけでは?考えないようにしていても、チラとでもその考えが頭をよぎれば、考えずにいられなくなる。
また煙を吸う。どうでもいい。どうでも良いのだ。人肌の温もりなど得られなくとも、この火の温もりは間違いなく私を温めている。
そのどうでも良いが現状を停滞させている腫瘍だろうが、それももう良いのだ。この一時が最も幸せと錯覚するほうが、私に取っては都合が良いのだ。
悴んだ手先は、とうにまともな感覚を伝えなくなっている。タバコが落ちた。拾う気力もなかった。
【きらめく街並み】
夜景・ネオン・クリスマス・イベント・イルミネーション・嘔吐物・広場・住宅街
状況:クリスマスイルミネーションを眺める主人公たち。
目的:クリスマスイルミネーションをより綺麗にする。
行動:部品を取りに行く/取りに行かない。
行動により変化すること・結果:夜景が綺麗になる/ならない。
【あとがき】
今日からゲームシナリオを簡単に作っていく、というテーマと一緒にやっていこうと思います。この試み、名付けてワンシーンゲーム。今回は初めてということもあって、本当にゲームか?という出来ですが。続けていくと伸びるでしょう。気長に、ですよ。
ところで、きらめくから嘔吐を連想した自分を殴り飛ばしたい。