青い空と入道雲
蚊取り線香の匂い
扇風機で揺れる風鈴とセッションする蝉
真っ赤なスイカ
庭に咲く朝顔と向日葵
おばあちゃん家
『終わらない夏』
「ねー!!もうかいた?」
「え、何かあったっけ?」
「え!まだ書いてなかったの!今日の15時締切だよ?!」
いつもギリギリだよね〜と笑った君はまだ覚えてるかな。
将来の自分へ向けた手紙。
一年後、五年後、十五年後。何年後の自分へ書いてもいいと
何を書いてもいいと言われ配られた一枚の紙。
将来の夢とか、希望とか、願望とか何も浮かばなくて。
それよりも君と同じ時間を過ごせる
「いま」がずっと続けばいいのにって反抗期。
「みらい」を語る君の姿が眩しくて、嫉妬した。
暑い暑い夏の日、結局どうしたんだっけな。
「その紙は飛ばさないでよね」
──────ああ、思い出した。
「大丈夫だよ。僕の空はここにあったから」
僕の代わりに飛ばさなくて良くなったからね。
外国へ行くことが決まってた君の隣に、僕はいる。
離れた場所へ行く、君の横に居たくて
紙飛行機にして飛ばしたんだよあの時はね。
お揃いの指輪をつけた君が隣で笑う。
「もう、飛ばさなくてもいいんだ」
『遠くの空へ』
桜と「はじまり」の春
向日葵と「あこがれ」の夏
紅葉と秋桜と「おもいで」の秋
猩猩木と「祝福」「祈り」の冬
大好きなお花と、愛する君。
ファインダー越しから見るその顔が大好きだった。
同じものがみたかった。
同じせかいがみたかった。
すきなもの、苦手なもの、聞いた事、見たもの。
すべて、共有できたらいいのに。
好きな人の好きなものを知りたい。
あなたが生まれた世界、育った場所を知りたい。
「ねぇ、教えてほしいな」
『君が見た景色』
「生きるのがつらい」「生きてくのが怖い」
「いなくなりたい」「きえたい」
君の怖さも、恐怖も、辛さも
全部、ぜんぶ、引き受けて、かわりにできたら。
君が、もっとわがままだったらよかった。
最初に君が、教えてくれたの。
さきに君が、僕にくれたから。
君が、笑って、諦めて、すてたものなら。
僕が、泣いて、粘って、ひろっておくから。
あなたが笑ってくれる
楽しいと、嬉しいと、しあわせだと。
それだけでよかった。
ただ、それだけでよかった。
正解なんてないんだから、君を笑わせたい
ただ、そのためだけに行動する、
なーんだ、それで充分なんじゃんね。
『やさしさなんて』
あの頃は幸せだった。
心が弾んで、踊り出すように。
それはまるで 雨上がりの虹のように。
それはまるで 太陽を追いかける向日葵のように。
それはまるで、氷が溶けるようにゆっくりと。
僕たちを繋いで、いく。
と、そう思っていたのは私だけだったのかな。
ぱら、ぱら、ぱら、ぱら
きらきら、、きらきら
ぱち、ぱち、ぱち、ぱち
カラン、コロン。
溶けきった氷を無理やり流し込む。
あんなに美味しかったはずなのに。
あんなに綺麗だったはずなのに。
静かに紡がれる声が聞こえることはもうない。
私が好きだった音が聞こえることはもうない。
わたしを好きな きみは、いない。
わたしを愛してくれる、きみは、いない。
私が愛したきみは、もう、いないんだね
『ぬるい炭酸と無口な君』