「祈りを捧げてください。そうすれば願いが叶うでしょう。」
あぁ、なんてかわいそう!
神様なんていないのに、
そんな者に祈りを乞うほど、
追い詰められているのね。
救ってあげたい,,,
神様なんて幻想から目を覚させてあげたい。
こんな人を見る度に、
自分の無力さが思い知らされる。
ああ,,,かわいそう,,,,
ごめんね。
ごめんなさい。
「神様よりも良い相談相手が周りにはたくさんいるはず。困ったら私に電話して。こう見えて、カウンセラーやってるの。私。」
「は、はぁ、そうですか。」
「役に立てるか分からないけど,,,まずは相談よ。人に打ち明けてこそなのよ。だからどうか一人で悩まないでね。」
「あ、あはは,,,わ、分かりました〜。」
宗教や神様なんかに手を染めてしまう人が、
一人でも減っていきますように。
私は今日も悲しみに狂いながら
空気に手を合わせた。
24[祈りを捧げて]
君が見た夢を共有できれば。
君の夢を共有できれば、
奥に眠る思いに気付けるのに。
お互いに何一つ卑しい隠し事もなく、
平和に暮らせるのに。
君が見た夢を共有できれば。
君の夢を共有できれば、
僕が叶えることだってできるのに。
何不自由なく頭の中でも、
手を繋いでいられるのに。
君が見た夢を共有できれば。
そう夢見てるよ。毎日。
23[君が見た夢]
「ねぇねぇ、おかあさん。あたし大人になったらお星さまになるの。」
「あら素敵ねぇ。いい、ちほちゃん。子どもはね、皆、大人を見るのよ。なぜだか分かる?」
「うーん。」
「大人はね、それだけで子ども達にとっては輝いてみえるの。まだ手に届かないお星さま。」
「うん。」
「だからね、ちほちゃんは将来、その子ども達の手を大切に握手できるような大人にならなきゃ。良いお星さまになれば、きっとたくさんの子ども達の『道しるべ』になれる。迷子の子もそれを見てお家に帰れるのよ。」
「おかあさんはオリヒメっ!」
「何でかな?」
「ヒコボシのおとうさんと出会ったからー!」
「ははは。ちほ。ヒコボシとオリヒメは星じゃないよ。」
「そうよ。ちほちゃん。お星さまになれば天の川の中に入って、オリヒメとヒコボシに会えるかもね。」
22[星になる]
きらめく街並み。
最初見た時はそうだった。
かがやく人達。
あそこで見た時はそうだった。
晴れやかな景色。
あの日見た空はそうだった。
ワクワクして待ちきれない気持ち。
何も待ってはいなかった。
煌めきも輝きも
消えれば、
あとは何もなかった。
21[きらめく街並み]
どこにあるの?
貸してよ。鍵。
ちょっと開けるだけ。いいでしょ?
ちょっと触るだけ。手袋するよ。
一回、一回だけだから。
貸してよ。鍵。
こういうお付き合いはね、
鍵から始まるんだよ?
あなたの鍵、
見してよ。
そしたらすぐ済むんだよ。
こうやって苦しまずに済むんだよ?
私が労力をかけずに済むんだよ。
だから貸してよ。
貸さないなら開けて。
あなたが開けてみせて。
あなたの鍵がないと始まらないんだよ。
二人の愛の扉を開ける鍵。
開けてくれるよね?
同棲、してくれるよね?
どうしてはぐらかすの。
20[君が隠した鍵]