貴方が私に向けた目は
もう前のような優しいものではなかった
ずっと覚悟していたんだ
いつかこんな日が来るって
どうしたらよかったのだろう
もしも時を巻き戻せたら
こんな結末にならずに済んだのだろうか
でも、これは夢じゃない
やり直すことなんてできない
貴方の心を取り戻すことは、もう二度と
あの日、貴女はいつもみたいに
笑って「またね」と言ったけれど
その後、自ら永久の眠りについた
貴女に何があったのか
きっともう知ることはできない
貴方が幸せならいいと思ってた
たとえどんなに嫌われても
いつか忘れ去られても
貴方が笑えているのなら、それでいいと
それなのに、宵に響くさざ波の音が
心の底に眠る悲しみを引き寄せて
溢れる涙を抑えられなくなった
本当は貴方に愛されたかった
この気持ちに気づいて
私を誰よりも気にしてほしかった
この想いが報われないというのなら
いっそ、美しいこの海の泡になりたい
泡になって、世界からいなくなって
貴方との思い出も全部消えてしまえば
こんな苦しみを知らずに済んだのに
お願い、私から離れていかないで
貴方にとってただの過去になりたくない
貴方の隣にいられないと言うのなら
どうか、私を忘れないで
貴方は優しい人だった
私が嬉しい時は一緒に笑ってくれた
悲しいときはずっと側にいてくれた
だからこそ私たちは
もう終わりなんだってわかったの
あの日、最後の花園で
私の頬に残る涙の跡を見ても
貴方は何も言わなかった
こんなことを思い出してしまうのは
きっと夜の静けさのせいなんだろう
私にとって、貴方は眩しすぎた
太陽のように暖かい貴方の光に
私の目は眩んで
何も見えなくなってしまった
大雨の降る街の中
私は駅で時が経つのを待っていた
この豪雨が止むのを待っていたわけではない
ただ街中を包むペトリコールが
いつかの日々を思い出させて
私を感傷的にさせたからだった
昔、心から恋焦がれた人がいた
私は遠くから眺めるだけで
彼は私を知りもしなかっただろうけれど
それでも彼を見るだけで
幸せな気持ちになれたものだった
今思えば、声をかけてみればよかった
そうすれば、あの頃の幸せな記憶は
ただの思い出にはならなかったかもしれない
もしも過去へと行けるなら
勇気を出して貴方に笑顔を向けてみせたのに
たとえ何も変わらなかったとしても
きっと、すべてが色褪せてしまうよりずっといい