表紙の美しい本を手に取った
星の散らばる夜の世界
けれど大地と空の境界線には光が差し込んでいて
まるで人が恋に落ちた瞬間を象ったような
どうしようもなく切ない感情を呼び覚ますものだった
情景の上部には"Love you"と刻まれている
この小説は愛をテーマにした物語なのだろう
誰かを愛することは
きっととても幸せなことなのだと思う
それと同時に苦しいことでもあるんじゃないかって
どんなに深い愛を抱いても
その希望が報われるとは限らない
そうなれば、きっと静かに消えてしまう
まるで陽の光が緩やかに沈んでいくように
人生を照らすほどの幸せが
誰にも気づかれることなく消えてしまう
形もなく失われていく想いを抱くことが
私にはひどく悲しく思えてしまうのだ
近くで貴方を感じられるだけでいいはずだった
例えこの手が届かなくても、貴方の暖かさを感じるだけで
私の心は陽だまりに包まれた小さい花のように
誰にも気づかれずとも強い意志を持って生きていけた
けれど、いつしか貴方の姿を見なくなって
その不安がどんどん広がって、何も考えられなくなって
曇天と降りしきる雨の憂鬱さに飲み込まれてしまった
どうして貴方を見つけてしまったのだろう
この広い世界で、どうして貴方だけの瞳が、体温が
こんなにも私の心を締めつけるのだろう
太陽のような輝きを持つ貴方は、その光で世界を照らして
だけど私は
影から貴方の温度を感じることしかできなかった
私は貴方の何者にもなれなかったのに
傲慢なこの心はずっと叫び続けている
愛しているの、どうか私の心に気づいて
そんなこと、今まで伝えようともしなかったくせに
貴方が消えてしまっては、もう全て遅いのに
雨の日に独りでいるとつい考えてしまう
胸に秘める想いの行き場を失くしただけで
自分は誰よりも報われないんじゃないかって
私は日記を書いていた
愛する人と過ごした幸せを綴るものだった
ページが埋まっていくたびに
感謝で胸がいっぱいになった
ある日のこと
その人は私のもとを去っていった
新たな希望を見つけたのだと
もう愛することができないと言って
そうして日記を書かなくなって
どのくらいの時が過ぎただろう
まだあの人への愛を秘めたまま
それでも私には何も残っていない
ただ涙で頬を濡らして
裏切られても幸せでいてほしいなんて
どこにも書けないことを願いながら
私には愛した誰かがいた
遠い昔のことなのか
つい昨日までのことなのか
まるで思い出せなくて
その誰かは夢の中で
私に手を差し伸べてくれたけど
その顔は逆光に照らされて
面影すらもわからなかった
何もわからないままなのに
なぜかひどく懐かしくて
同時にとてつもなく悲しく思えた