題名:ささやかな約束
「─────って約束してくれる?」
「いいよ。」
「そういや知ってる?」
「何?」
「忘れるって漢字は、心を亡くすって書くの。良く考えて作ってると思わない?」
「忘れるの漢字くら知ってるよ。何が言いたいの?」
「それはね、」
君は耳元でささやいた。
「いつか君も、私も約束も忘れてしまうんだろうなってこと。」
あの時の君と約束した。
「一生私を忘れないって約束してくれる?」
と。
それはとても簡単だった。
だけど僕は君の名前を思い出せなくなった。
本当に、心から亡くなってしまったのだろう。
君という存在が。
題名:祈りの果て
その時までは、恋が出来ていた。
「あなただけに言うね。私、好きな人ができたの。名前は─────。」
あのベンチで言われたのはそれだった。その時初めて失恋した。いつもなら。いつもなら、自分から恋を止めていたのに。君に言われて情緒不安定になった。その気持ちを押し殺して、顔に出さずに言った。
「やっぱりそうだったんだ。前から思ってた。もしかしたら両思いかもね。」
と、嘘の一言を加えた。
君が好きな人には好きな人がいた。君の好きな人は僕の友人で、いつも三人組だった。その関係は三角関係になって、多分いつか崩壊してしまう。
せめて僕は祈る。
─恋のないただ純粋な三人組になって欲しい
そして僕は君への思いは消えて、君が僕の友人への思いも消えた。多分それは蛙化現象なんだろうな。
と、そう思い込んだ。じゃないと、裏工作したのがバレてしまうから。
ごめんね。そうじゃないと、僕の生きがいがなくなってしまうんだ。
それじゃあまた明日
題名:心の迷路
ずっと好きだったお友達は、家のトラブルで離れ離れ。
知ってた、知らない、そんな事、どうでも良くて。
大っ嫌いの友達を、好きになっちゃう親友は、痛々しい笑みのまま、私に思いを打ち明ける。
大っ嫌いの友達が、危険な行動出た時は、私もやるの、親友はそう断言した。
私の思いはどうせない。私の思いは見せられない。私の気持ちはいらないの。私の気持ちは曇りなの。私の感情、私の鼓動、私の言葉、全てがもろくてちっぽけなのに。
回答を求めて、気分を尋ねて、気を配って、そんな無理しなくて良いのに。
拒否できない自分も悪いのに、拒否したくない自分もいるせいで、責任を譲り合って、矛盾を創り合って、馬鹿みたいな阿呆みたいな、語彙力ないから伝わることは一生ないけれど、表現したいものがそこにある。
その一言で、何がしたい、何を言いたい、質問殺到、私は無口で、代わりに誰かが答えて睨む。
―そういうことじゃない
─そういうわけじゃない
─そういうつもりじゃない
抑えきれない気持ちは暴言として捉えられ、私は悪者、私は罪人、私は
何者?
?
題名:ティーカップ
ふと気がつくと、紅茶は冷めていた。
私は一体、何を考えていたのだろう。
面白いこと?
楽しいこと?
悲しいこと?
寂しいこと?
おかしなこと?
瞬きすれば、考えていたことは吹っ飛んで、代わりにカップに入る紅茶を見つめて、また瞬きすると、また考える。
悩んでいるのかな?
ひそひそ聞こえるのは、私への偏見の声だらけで、静かにして欲しいけれど、そんなことは一言も言えず、また紅茶を見つめる。
そういやここ、喫茶店だった。
確かに私は変なことをしているかもしれない。
けれどそれは、心に留めておくものでしょう?
だって私、学校でそう習ったんだもの。
なのになんで大人達はそうしないんだろう?
私だけ大人なだけ?
それとも、私がおかしいだけ?
題名:寂しくて
病気になったお友達は、不登校になって離れ離れ。
好きになったこの気持ちは、泣いてごまかして。
こんな子じゃなかったら良かったと、叫んでもくだらなくて。分かってて、知っていてもさ、泣きたいのに変わりは無かった。
どうせ分かってもらえないくせに、共感されると期待しちゃう。馬鹿だねって自虐して、どうにもならない一日が終わる。
ごめんね、何もできなくて。
ごめんね、無力な私でごめんね。
ごめんね、こんな子じゃなかったら良かった。
きっと前世で悪いことしか積んでない。来世もきっと悪い子でしょうね。
ごめんね、こんな私で
ごめんね、それしか言えなくて
ごめんね、さようなら、遺書ぐらい最後に書けばよかったなぁ、ごめんね。
本当に私は何もできないからと、自虐した日々が懐かしくて、できると言えばみんな離れていくでしょうね。友達も、自分も、同じ人間だったというのに、離れていって、謝られてしまって、結局自分が悪い子になっていくの。
寂しくて、泣きたくて、叫んでも何にもならなくて、押し込んだ気持ちは、気持ち悪くて吐き出した。そしたら周りはすっからかん。
何もしてないのに、私のせいらしい。
正直なのに、私のせいらしい。
自問自答と悪戦苦闘と四苦八苦して、私の気持ちと感情は、交差して空回る。
さようなら、ごめんね。
全部、私のせいだ。