『枯葉』
学校帰り友達のみよちゃんと歩いた木枯らしか吹き始めた秋の思い出。
私達の帰り道、ある路地に行くと必ずおじいちゃんがしゃっしゃっとリズミカルな音を立てて箒で地面を掃いているお家があった。
大きな通りから風が入り込む裏通りの突き当たりにあるおじいちゃんの家。ちょうど通りの街路樹の落ち葉の吹き溜まりになってしまって、毎日掃除をしないと門が葉っぱで埋もれてしまうんだ。って帰りがけに質問した私達に優しい笑みで嫌な顔ひとつせずおじいちゃんは教えてくれた。
確かに枯葉の量は多くて、毎日片付けないと次の日にはもっと大変になっちゃうなと思ったのは今でも覚えてる。
しかも、おじいちゃんは腰が悪いのかいつも腰を叩きながらなんとか片付けをしていた。
「あんないっぱいあるとおじいちゃんも大変だよね…。」
「うん…。今日はおじいちゃん腰も痛そうだった。」
おじいちゃんから話を聞いた次の日。
いつものようにみよちゃんと帰っていると、おじいちゃんの家の側に近づくに連れて昨日のおじいちゃんの様子が思い浮かんでなんとなくそう口にしてしまっていた。
するとみよちゃんも同じ気持ちだったのか悲しそうな表情で頷き返して、直ぐさまひらめいた様子で直目を大きく開いてあ!と声を上げた。
「なら私達で手伝おうよ!私達がやればおじいちゃんも腰痛くないし。」
「うん!そうしよう」
みよちゃんの提案は何故自分はそれを思いつかなかったのかと思うほど魅力的で大きく同意し、私達はおじいちゃんの家に向かった。
※続きは後ほど書きます
『お気に入り』
昔からお気に入りは大切に箱にしまっていた。
ぬいぐるみ、可愛い文房具、友達からもらったプレゼント。
大切に大切にしまい込んで自分だけ眺めて楽しんでいた。
大切なものだから誰にも触れられたくなくて、汚されたくないと思うのは当たり前でしょう?
私の大切なものなんだもの。
少女から私も大人になったけどその思いは変わらない。
恋から愛に変わっていつの間にか旦那はそこまでお気に入りじゃなくなったけど、2人の間に産まれた宝物は別。
大切に箱に入れていつまでもいつまでも側に置いておくの。
だって私の世界一のお気に入りなんだもの。
『スマイル』
「ねぇ知ってた?
他人から笑顔を奪うのは誰でも出来る。だけど、他人に笑顔を作らせるって簡単そうに見えて難しい。」
「え?」
放課後帰り道が一緒になったクラス1のお調子者の男の子。
クラスに馴染めない私の前に立つと、突然真面目な顔をしてそう顔を覗きこんできた。
「全然笑わないから。人って笑わないとどんどん暗くなる。そうなると周りは関わりにくいって近づいて来ないんだ。」
そんな表情を私は見たこと無かったから今でもあの表情を覚えている。
「そう…なの?」
「おう。俺がそう。昔恥ずかしくて何にも話せなくてうじうじしてたら周りか遠ざかった。でも、ちょーっとバカな事したら周りは笑うし、ギスギスする事も無くなったんだ。だからかなり信憑性ある。」
「嘘…。全然想像つかない。」
「やろう?へへっ、俺ちょーっと頑張った。将来はもーっといろんな人を笑わせて、しょうもないなーって元気になって欲しいんだ。お笑い芸人かちょっと夢だったり。あ、皆には内緒やで?だから…馴染めなくても俺を利用していいから諦めんなよ?」
意外な彼の言葉に目をまんまるくしてると照れくさそうに鼻を掻きながら「じゃあな!」なんて彼は走って行ってしまった。
それから彼の姿を見かけるたび彼は私を笑わせるようになり、それに自然と笑っているうちにクラスの中の孤独は無くなった。
『ハイどうも~』
元気よくテレビに登場するお笑い芸人に引き込まれて私はあの頃と同じ様自然と笑いが漏れる。
皆に笑顔を作る。
夢をいまだ実行中の彼はいつまでたっても私の憧れ。
『仲間になれなくて』
輪に入れない自分は酷く惨めで哀れで。
全く興味のなかったアイドルを好きって言っていた。
全く興味のなかった化粧に興味を持ったふりをしていた。
本当は、ドラマ主演のかっこいいアイドルのよりも漫画の中のキャラクターのほうが断然かっこいいって思っているのに。
いつも一人で紙に向かっているなんてキモい。
根暗。
陰気。
直向きに頑張っている彼の悪口にも参加もしてしまった。
誰かを貶しても仲間がいるほうが断然安心したし、みんなが言っていれば言ってもいいなんて思ったから。
本当は、全然違うのに。
仲間はたくさんいるはずなのにいつも息が詰まる。
本当に哀れなのは大多数でいるほうがかっこいいって思っていた自分。
あんなやつの味方になるなら仲間になれないよ。
どんな風に言われたって構わない。
貴方の作品が大好きです。
そう言える本当の自分
大多数の仲間になれなくたって。
そのほうが世界が明るく見える。
『君と』いる毎日は
世界が輝いて見えて新しい発見と喜びに
日々新しい自分になっていく