『question』
どう表現すればこの気持ちを表せ伝わるのでしょうか?
一生懸命綴っても伝わるのはごくわずか
それでも吐き出すしか私は方法を知りません
気持ちをもっと素敵に伝える方法って何かありますか?
『ひらり』
季節外れの雪はひらりひらりと舞い降りて一面を白く染めていく
雪に憧れて手を伸ばしても掌に残るのは水滴ばかり
まるで貴方の心みたい
ひらりとまって私を翻弄させては掴めずに悲しいだけ
『誰かしら?』
皆が眠る午前三時。
怪しくも魅力的な音に誘われて、薄くカーテンを開いた先に見えるのは、色とりどりの仮面を付けて舞うドレスとタキシード。
くるりくるりと回り私の目を釘付けにして、決して外に出てはならないパレードだとわかるのに音で光で私を魅惑する。
楽しげに音楽を奏でる青年を目に止めた瞬間。
玄関を軽やかに叩くノックの音。
さぁ、お嬢さんおいでなさい
扉を開けば泣き笑いの仮面をつけた人物が深々と頭を下げ
軽やかな音楽の先へと手を伸ばす。
花弁の如く舞うドレスの群れに誘われるがまま一歩踏み出す私の手を引く貴方はいったい―――
『芽吹きのとき』
もがいても
もがいても
真っ暗
なんの為にもがいているのかな?
頑張ってもがいた先に何があるのかな?
くるしくて
くるしくて
わからない
真っ暗で見えもしないのに
周りは先に行っているような気がして
もがく意味もわからなくて手を止めそうになる
そのたびに
がんばれ!
がんばれ!
って声が聞こえて手だけは止めなかった
ある日もがいていた手が突然軽くなる
はじめて真っ暗から解放された先は
沢山の光と初めて感じる風
ひたすら不安になりながらもがいた先に見えた世界は美しかった
『あの日の温もり』
晴れた青い空を見ると今でも思い出す。
「老後は旅をしたいなぁ」
「何言ってるの!父さんはもう十分歳じゃない」
「てやんでぇ!わしはまだまだ現役。年寄りにするんじゃねぇ」
暇な日は俺を撫でては青い空を眺めながら、ゆっくりと旅をしたいと言っていた俺の飼い主は、そんな事を言う度に娘に素直になれず拗ねて喧嘩してた。
本当はゆっくり娘や孫と一緒に旅行に行きたかったのに、「行こう」の一言が言い出せずにいたんだって知ってるのは棟梁が一人の時撫でられてた俺だけ。
路地裏で前の飼い主に捨てられてた猫(俺)を拾ってくれたのは、下町生まれの江戸っ子口調の大工の棟梁だった。
怖い顔に見合わず優しげに俺を拭いて、ミルクを与えて家をくれた。
寂しいからいてほしいって家族に迎え入れてくれた時、首輪代わりに巻いてくれた棟梁のハチマキとお揃いの赤いマフラーは今でもしっかり首に巻いてある。
棟梁の温もりは心地良くて、毎晩撫でられるのが大好きだったのに、ある日棟梁はいつもの時間になっても家に帰ってこなかった。その代わりいつもは棟梁一人だった家には娘や孫が集まって皆泣いていた。
まだ子猫だった俺にはなんの意味だかわからなかったけど、あの日棟梁は永遠に帰らぬ人になっていたんだって今ならわかる。
娘とも孫とも旅行に行くことなく棟梁は一人旅にたってしまった…。
「今は近くの狭い空しか見ちゃいねぇが、いつか遠くの空もみてみてぇな。そん時はクロ、お前も行くか?」
ふと蘇ったいつも撫でてくれた棟梁のシワだらけで硬い手の温もり。
今、棟梁もどこかでこの青空見てるか?
俺も、棟梁の真似して旅して見てるが空は本当ひれぇや。