【無人島に行くならば】
無人島に行くなら何を持って行くかって?
ありきたりだけどまあ良いよ。
暇つぶしに付き合ってあげる。
そうだな、まずナイフは欲しいね。
木を切るにも、魚を捌くにも生きるために必須だろう?
あとは、火おこしの道具とかかな。
意外と火がつくまでに時間がかかるし、あったら便利だろうね。
衣はともかく、食住を揃えるところまでが大変だろうな。
君は?
ふーん、船か。
ちょっとルール違反な気がしなくもないが。
でも、確かに船なら一発で脱出だ。
操縦をどうするとか、どこに向かうかとか色々考えることはあるだろうけど。
それでも生きて帰れる確率は高いね。
まあしかし、今更どうしようもない。
道具もない、専門的な知識もない、身一つでのサバイバル生活、これから一緒に頑張ろうね?
【秋風】
待ち合わせをしていた。
予定していた時間は15時。今はもう18時近い。
立って待つのもいかがなものかと思い、近くのカフェで時間を潰していたが、3時間。
もう帰ろうかと立ち上がると、携帯が震えた。
「ごめん!急に仕事が入っちゃってさ、忘れてたわけじゃないんだ!」
嘘。
だって、ずっとイヤホンで聴いていたもの。
自分の持ち物が増えていることにも気がつかないなんてなんて間抜けなんだろう。
大人しく私のもので居続けていれば良かったのに。
会計を済ませ、カフェを後にする。
秋風がひらりと木の葉を落とした。
【予感】
毎日同じことの繰り返し。
何も変わらない日常。
眠い目を擦り、冷えた空気で目を覚まそうと窓を開けた。
見える景色はいつもと変わらないが、外には甘く柔らかい秋の香りが漂っている。
特別感のある香りを胸いっぱいに吸い込み、朝の身支度を整えていく。
今日はいつもと違う道で行こうか。
帰りには途中で寄り道でもしてみようか。
何かが変わるかもしれない。
そんな淡い期待を抱き、家を出る。
【friends】
晴れの日の夕方、君はいつも公園にいる。
声もあげず、じっとこちらを見つめて座っている。
普段はどこで過ごしているのか分からない。
毛艶がいいからどこかのお家でお世話されているのかな?
でも、君は決まった時間に現れるからきっと誰かを待っているんだね。
私は君に触れることはできないけれど、密かに幸せを願っているよ。
次はいつ会えるかな。またね。