ストック1

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1/8/2026, 12:40:51 PM

うおおお、すごい
俺は今、とんでもない光景を見てるぞ
そこに山があるから、血が騒いで登山していたら……
色とりどりのドラゴンが集会開いてるよ
普通に喋ってるし、きっと伝説級のドラゴンたちだ
それぞれの属性を司る頂点のドラゴンたちなんじゃないか?
俺の存在がバレたらどうなるんだろう
やはり消される?
それとも取るに足らないと見逃されるのかなぁ
どっちにしろ出ていかないほうが身のためだろう
というか、とっとと立ち去ったほうが良さそうだ
……でも、伝説級の存在がどんな話をしているのか……気になる!
こんなチャンスなかなか無いぞ
ちょっと聞いてみるか

「アルマネウル地方はどうだった?」

「ダメだな
質の高いものがあるにはあるが……我らには小さすぎる」

赤いドラゴンが聞き、黄色いドラゴンが答える
なんの話だ?

「もっと大きいのはないのかしら?」

白いドラゴンはため息をつきながら、とても残念そうだ
青いドラゴンも残念そうにしながら

「大きい場合、たいてい人間に管理されてるからね
そもそも、大きいのは人間製のものが大半だ
天然となると……難しいよ」

と言って首を振る
ドラゴンが欲するような、人間の管理する大きいものなんてあっただろうか?
それも人間製とか、天然とか言えるものに

「あんたはいいよな、人化できて
堪能し放題じゃねえか
俺たちはこの姿しかないってのに」

黒いドラゴンが不満そうに緑のドラゴンへとつっかかる
人化できるドラゴンなんているのか?
どこかで気づかずに会ったことがあったりしてな

「八つ当たりしないでください
私は自分の能力を活用してるだけです
羨ましいならあなたも習得すればいいでしょう」

「できねえの知ってるくせによお」

全然わからない
ドラゴンにとって小さいとダメで、大きいと人間に管理されてる
そして、大きいのは人間製のものが多く、天然はたいてい小さい、と
で、人化できるとドラゴンでも楽しめるのか
答えが気になる
もう少し聞いてみよう

「僕たちは経験ないからわからないけど、そんなに気分が良くなるのか?」

赤いドラゴンが緑のドラゴンへ聞く

「そうですね
日々の疲れが吹っ飛びますよ
一度は皆さんに入ってほしいです
場所によって効能も違いますし」

ん?
疲れが吹っ飛んで、場所によって効能が……
もしかしてそれって

「どこかにあるといいのだけどね
大きい天然温泉」

白いドラゴンが俺の疑問の答えを口にした
やっぱりそうか
このドラゴンたちは、温泉に入りたがっているんだ
たしかに、あの巨体で入れる場所なんてそうそうないな
探すのも大変だろう
だが、俺は知っている
ドラゴンも入れる広さと深さの、天然の秘湯を
どうする?
教えてあげるか?
でも滅茶苦茶怖いな
いやしかし、あんなに入りたがっているのに、俺には無視することはできない!

「あ、あの!」

「うおっ、驚いたな
人に見られていたのか」

黄色いドラゴンが体をビクッとさせた
ドラゴンでもそういう反応するんだ
親近感を覚える

「大きい天然温泉を探しているなら、いいところがありますよ」

「本当かい!?
ぜひ教えてくれ!」

青いドラゴンが巨大な顔を近づける
怖い怖い怖い!
しかし、ひるむな
相手は好意的だ

「ロッカウロ地方のパンターロ山にほとんど知られていない天然温泉があるんですよ
あそこ、人が入ったら溺れるくらいなので、皆さんにはちょうどいいかと」

ドラゴンたちは歓喜して盛り上がった
喜んでもらえてよかった
どうやら、大きくても浅いだろうから、足湯程度を想定していたらしい
そこに、つかれるほどの深さの温泉の情報が来たので、ハイテンションになったそうな

「人よ、あなたのおかげで仲間と温泉を楽しめます
この恩は必ず返します
明日、またここで会いましょう」

緑のドラゴンが俺に感謝と恩返しの約束をしてくれた
その後、ドラゴンたちはすぐにパンターロ山の温泉へ向かうため、飛び立った
行動が早いな

……翌日、同じ場所へ行くと、緑の髪の女性が佇んでいた
たぶん、緑のドラゴンが人化したのだ

「本当なら、全員で来られればよかったんですけどね、みんな忙しくて
私だけですいません」

「いえいえ、大したことはしてませんから」

「あのあと、みんなと温泉を楽しめました
ありがとうございます
こちら、お礼の品です」

渡されたのは、虹色に輝く果実だった
これって……

「ええ、食べれば一生病に苦しむことはなくなる、アレです」

「こんな貴重なもの、もらってしまっていいんですか?
そこまでのことをしたとは思えませんが」

「いいんです
貴重ではありますけど、そもそも病気知らずの私たちドラゴンにとっては、必要ないものですしね
それだけ楽しかったということで」

まあ、断るのも失礼か
俺は遠慮なくいただくことにした

さて、俺はその後、果実を食べて病気知らずの体になったのだが、それだけでなく、不老長寿にもなったようだと、知り合いの魔法使いから告げられた
体を流れるマナがそういう状態らしい
ならば、俺が長寿を利用してできることとはなにか?
俺はあの一件以来ドラゴンへの興味が強くなった
ならばドラゴンのため、人化の術を研究しよう
風のうわさで、緑のドラゴン以外も人化して人間界へ遊びに行きたいと願っていると聞いた
そして、俺は人化は知能の高いドラゴンならば全員できるのではないか、と研究を続ける中で確信
ついに方法を確立できそうな段階まで来た
あとは実践あるのみ
さあ、久々に彼らに会いに行こう
また、歓喜してくれるだろうか

1/7/2026, 11:40:55 AM

私の名前は雪
名前が雪だからといって、降ったり積もったりする雪が好きかどうかは、全く関係ない
誰でもわかる当たり前のこと
ただ、名前の持つ力とは強いもので、人は私から冬を感じる
名前に引っ張られて、好みとは無関係だと頭ではわかっていても、冬や雪が好きなんじゃないか、という思考に誘導される
けれど
私の名前と、私が雪が好きかどうかは何も関係がないのだ
そう
私は、名前と関係なく雪が大好きだ
名前は理由ではない
ただ、その美しさで雪を好きになっただけ
降る雪の幻想的な光景が好き
積もった雪の輝きが好き
雪だるまだって、作るのは楽しいし
車の通ったあとや、足跡を見るのも面白い
踏んだ時のシャリっという感触も気持ちいい
前にやったスキーも最高だった
雪合戦も、いつかまたやりたいと思っている
私の名前と、私の好みには関係がない
それでも、私の名前が私の好きなものと同じというのは、嬉しいものだ

1/6/2026, 11:38:38 AM

君と一緒に、いつもお世話になってる共通の友人の誕生日を祝したサプライズパーティを画策した
事前に豪勢な料理を作り、パーティでそれを振る舞う
クラッカーを鳴らしたり、おめでとうと言って拍手を贈ったり
僕や君が誕生日、というわけではないけれど、主役でなくともとても楽しい夜だったね
案外こういうのは、サプライズする人の方がより楽しめたりするのかもしれない
パーティの一部始終を録画することも、もちろん忘れなかった
一生の思い出にするためには、映像に残すことも大事だろう
最後はもちろん、誕生日ケーキで締める
こうして騒がしく、高揚感に満ちたサプライズパーティはお開きになった

後日、録画したパーティの様子を贈ったが、誕生日パーティの主役である友人は、困惑した様子
何度も説明を求めてきた
……そりゃそうだ
あの誕生日パーティには、当の友人は招いていないのだから
君と二人で勝手にやったんだもんね
困惑するに決まってる

1/5/2026, 10:46:43 AM

澄み渡るよく晴れた空
まさに冬晴れ
寒さはあれど、多くの人々が過ごしやすい天気
しっかり防寒すれば、行動を妨げる要素は何もない
太陽のもと、人々は歩を進める

……くっそがぁ!
雪降ってくれよ!
電車止まってくれよ!
バスも止まってくれよ!
今日の予定を中止にしたいよ!

やだよ俺
行きたくねえよ
友達の誘いを断りきれなかったのも悪いけどさ
押しが強いんだよあいつ
断ると食い下がってさあ
強く言うと、なんか逆ギレし始めるし
面倒くさくてOKしちゃうじゃん
他のやつにはそんなことしないのに、俺にだけするんだよ
あいつ俺のこと舐めてんじゃないの?
なんで興味もないお笑い芸人のライブを見に行かなきゃならんのか
ひとりで行けよ
前も付き合わされたけど、何も笑えなかったよ
他の客は笑ってたけどな
雪降らないかな
降らないよな
降れよ
降ってくださいよ
初雪は今日がいい!
積もれ!

……積もらないし降らないよね
知ってるよ
相変わらずの見事な冬晴れだ
でもね
雪は積もらなかったけど、なんか怒りが積もって限界突破してきたよ
最初からこうすればよかったんだ
今までの恨みの全てを込める
相手が何を言おうと無視して、不満を一方的かつ激しくぶつけてやる
絶交すら覚悟の上でな!
なんだか楽しくなってきたぜ!
今の俺は相当悪い顔してんだろうな
へっへっへっ

1/4/2026, 10:45:24 AM

「幸せとは何だろうね?」

博士が突然そんなことを言い出した
研究に集中しすぎて疲れたのだろう
科学以外のことを考えて気分転換しようとしたのかもしれない
気分転換するような内容じゃないと思うけど

「人それぞれじゃないんですか?」

ベタだけど、それが真理なんじゃないか?

「そうだね
愛するものと過ごす
趣味に没頭する
人生をかけた事業を成功させる
美味しいものを食べる
様々な幸せの形があるね」

博士の出した例はよくある幸せの形の数々だ
博士のことだから、普通に思いつかないような、変わった幸せを言うかと思った

「しかし、人類共通の幸せというのもあるんじゃないかと、私は考えてるよ」

「そんなのありますかね?
けっこうバラバラだと思いますけど
それこそ、人の数だけ存在してません?」

共通の幸せ
本当にそんなものがあったら、それがわかれば世界は平和になるかもな
でも博士は確信しているようだけど、さすがに無いんじゃないか?

「私も同じ意見だったよ
だがね、考えるうちにひとつの結論に至ったよ
共通の幸せとはこれだ、とね」

気になる
博士はとんでもなくすごい発見をしてきた人だ
そんな博士はなにが人類共通の幸せと結論づけたのだろう

「聞きたいかい?」

「もちろんですよ
なんなんですか?」

「それはね」

博士はコホンとひとつ咳払いすると、とても真剣な眼差しで僕を見た

「快楽物質を始めとする脳内物質だよ」

……ん?
なんか思ってたのと違うな
快楽物質?
脳内物質?

「人類が幸せを感じる時、それは幸せや快楽を感じる脳内物質が分泌されている時だ!」

ちょっとやばい方向へ行ってないか、博士

「つまり、そういったポジティブな気持ちで満たす物質を出し続ければ、人類の幸せは約束される!」

「あの、それって、幸せなんですか?」

「間違いなく幸せだよ!
心配も不安もなく、死ぬまで幸福感と快感が続くんだ!
嫌なことという概念自体が消失するんだよ!」

完全に思想の強いマッドサイエンティストの考えだ!

「そして私は人に栄養を送り続け、快楽物質等も分泌させ続ける素晴らしいマシンを開発した!
このマシンの中に入れば、この世は楽園になるはずだ!」

「博士、落ち着いてください
あなたは今、正気を失ってます
働きすぎです
いったん寝ましょう
睡眠不足は頭をおかしくしますから」

疲れて頭がおかしくなっているだけだと信じたいが、この人なら本当にマシンが完成済みということもありうる

「……私もわかってるんだよ
そんなのは幸せじゃないってね」

あれ、空気が変わった

「でもね
今の私は幸せじゃないんだ
好きだった研究も苦痛になり、家族にも捨てられ、趣味も仕事に忙殺されてできない……
もう快楽物質でもなんでもいいから、幸福感を手に入れたかったんだよ!」

博士、色々大変だったんだな
僕はたまに手伝うだけだから気づかなかったけど

「博士
もう明日からしばらく全部忘れて博士の好きな美術館や博物館を巡って存分に楽しみましょう
そうでもしないと、限界突破しちゃいますよ
研究所の方には、僕から事情を話しますから」

「ありがとう
そうさせてもらうよ
……ところで、マシンは一応完成してるんだが、少しでいいから試してみないか?
研究者として成功か失敗か、知っておきたいんだが」

「絶対に嫌です」

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