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11/17/2025, 3:20:00 PM

『冬へ』


真っ黒だった世界が真っ白に生まれ変わる。
誰かの叫び声も泣き声も、もう、聞こえなくて


あの人の声は雪のように、彼らの温もりは蝋燭の火が消えるように静かに解けていった。


世界は冬へと終焉を迎えた。

11/16/2025, 2:36:11 PM

『君を照らす月』


夜明け前の東の空に誰も知られず月は姿を現し、そして、早朝のシンとした静けさの中かすかに光る。

そして、誰にも知られず沈んでいき、そしてまた、皆が寝静まった時に月は起きる。

まるで君は、月のようだ。
誰にも知られずただそこに居て、そして、誰にも知られず消えていく。

けれども、それでも、君を照らす月は美しくて、届かないと分かっていても手を伸ばし続け、空を切る。

11/16/2025, 4:28:23 AM

『木漏れ日の跡』


春の新緑が青葉へと移り変わり、次第に夏の暑かった日が遠のいていく。

私が幼い頃によく遊んでいた公園に生えていた大きな木。
世界のことを何も知らない子どもだったからか、余計にそれは大きく感じた。
そして、それは常に私の背中にあった。



子どもが減り、彼らの純粋な笑い声が無くなっていった。

荒廃した遊具に、手入れされなくなった草木。
公園からの子どもの影が消えていき、そこにはその広葉樹だけが風に揺れていた。
悲しそうに、でも、穏やかに。


数年後、あの公園の半分を住宅地にするという動きになった。
もう、この場所には、公園ひとつ無くなるくらい、何も変わらない程までに子どもがいない。

誰もいなくなった地面には光だけが残っていた。
これはかつての笑い声のかけらだった。

私たちの反対運動も間もなく、その公園は解体された。
木漏れ日の跡だけがそこに揺れていた。



11/13/2025, 1:48:21 PM

『祈りの果て』


陽は沈み、瞬きを忘れた星々は銀河を超えて光を照らす。
その光に誰かの祈りは存在せず、星はただ私たちを見つめ光るだけだ。

それでも、彼女は祈り続けた。
この星が誰かに届くことを願って。
そして、彼女は優しく微笑んだ。

遠い銀河の片隅で、風が誰かの頬を優しく撫でた。

11/13/2025, 7:16:54 AM

『心の迷路』

心の中には誰にも知られていない小さな迷路がある。
角を曲がるたびに昔の声が聞こえ、自身を惑わす。

左に曲がれば、あの人の笑顔。
右に曲がれば、まだ言えなかった言葉。

どこへ行っても、出口はない。

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