06
それでも毎日は過ぎていく
今日は倉庫で書類の整理
入れ換える書類を抜いていると
電気が消えた
またか…
人がいるのを確認しないで
消されることが前にもあったので
暗がりの中
出口へと向かう
その時
電気がついた
「すみません」
入ってきたのはあの子だった
安心したのか
暗がりの中で怖かったわけでもないのに
涙が出た
「すみませんでした!」
慌てて駆けよって
なだめてくれようとする
その優しさに甘えたくなった
05
しばらくは仕事に没頭することで
その子のことを考えないようにしていた
年末になると仕事が忙しくなった
いろいろ変わる書類などに追われて
遅くなることも増えた
家に帰ってるともう日が変わっていた
布団に倒れこむようにして
そのまま眠ってしまった
「行かないで…」
はっとして目を冷ますと涙が出ていた
誰かに置いていかれる夢
最近は見なかったのに
また誰かと一緒にいたいと
思っている自分がいる気がして
苦しくなった
04
あの日からその子を
目で追ってしまうことが増えた
部署は違うものの席は近い
そのせいか気がつくと眺めていた
ふと昔のことを思い出した
月1回しか会えない人に
恋していたあの日
どこまでも続く青い空
その人に続いていると信じていた
すれ違って傷つけ合うことしか
できなくなって
心の距離が離れていくのが辛かった
またあんな思いをするのか
辛かったことを思い出して
浮かれていた自分に気がついた
03
涼しくなってくると衣替えの時期もあり
スーツ姿の人が増えてくる
スーツを着るだけで
格好よく見えてしまうなぁと思っていると
目の前にその子が現れた
つい見惚れてしまって我にかえる
物の場所がわからず
聞いてきたようだった
場所を教えるために
そこまで一緒に移動する
それだけなのに何かドキドキする
「ありがとうございます」
たった一言が嬉しいと思った
02
誰にでも明るく対応するその子は
すぐに今の部署でも馴染んだようだ
そんな日々が続いていたある日
いつもは常に誰かと話しているのに
今日は大人しい
元気がないのかと思ったが
見た感じそうでもなさそうだった
いつもと違うことが気になって
すれ違った時に声をかけた
ちょっと困った顔をしてその子は答えた
「声が枯れちゃって…」
「…」
会社帰りにカラオケで
盛り上がりすぎて
声が枯れるまで叫んでいたらしい
社会人になっても
そんなはしゃげることに
ちょっと羨ましい気がした