明太子

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4/27/2025, 8:58:10 AM

貴方は地獄に行くとおっしゃいました。
宿世からの契りを果たさせばとおっしゃいました。
なぜ私を連れて行かないのです。
後れるのは辛いものです。
どうか一日だけ下界にいらっしゃって。
そして一緒に身罷るのです。
貴方のいない天国になんぞ行きたくありませぬ。
ならば貴方のいる地獄で成仏いたします。
心安き場所は天国ではございませぬ。
貴方の胸で焼かれたい。
何を差し上げたら貴方に会えますのでしょう。
貴方に会えるのなら、
足一本など容易いことでございます。
今日も叶わず終わります。
ここに訪れたら夢かうつつか教えてくださいませ。
叶いそうにない本望を抱いてあと少し生きていきます。

今宵も貴方を想います。


どんなに離れても

4/24/2025, 3:49:27 AM

高く舞い上がる鳥をみると、
空を飛べたらと思う。
優雅に泳ぐ海の生き物をみると、
水中でも息ができたらと思う。
暗雲から雨が降ると、
水と一緒に流れたいと思う。
ないものねだりに似た実現不可能なこの思考は
毎日、毎日、繰り返されている。
空を自由に操れる羽もない
広大な海に家を持つこともできない
地に泉を生むことさえできない
人間には何も与えられなかったのか
独りでに考えていると少女が言った。
そんなことはない。と
何もできない代わりに伝承を語り文明を生んだ
何もできなかった先人たちが
命を懸けて興味を後世に継いだ
何にもなれない代わりに学ぶことを許された
人間にはどこまでも想像する知恵が与えられた。
知恵こそ羽のように、尾鰭のように、雲のように、
自らを自分の世界へ導いてくれる

さあ、今日はどこへいこうか


どこへいこう

4/21/2025, 3:38:32 AM

午後9時23分
住んでいる地域が停電した
スマホのライトで照らして安否を確認
10分、15分、
長引いているみたいでなかなか回復しない
――外へ出よう
不意に駆け巡った思考
感情に支配されたように
気付けば靴を履いて玄関に手をかけていた
同居人に声をかけられた気がしたが足は止まらなかった

満天の星で埋まる天井
こんなにも鮮明に星を眺めたことは初めてだった
胸が高鳴り夢中で上を向いて目を輝かす
まるで幼い頃に戻ったよう
電気のない時代にタイムスリップしたかのよう
この星をみて人は航海をしていたのだろうか
この星をみて時間を測っていたのだろうか
以前は真っ暗な世界を照らした小さな星明かり
溢れ出す感動に生きていて良かったとまで思う
まだ夜は空気が冷たい季節
まだ凍えるのに
その寒さがなぜか心地良い


星明かり

4/14/2025, 2:31:09 AM

気に入った花びらを1枚だけ
葉っぱも1枚
綺麗な植物からひとひらずつ。
押し花にして栞にするの


ひとひら

4/7/2025, 4:05:23 PM

ベンチに座る小さな女の子
花を摘み
花びらを引く
数は8枚だった
数少ない感情に追加される失恋

男の子が言葉をそっと渡す
手は後ろに隠れていた

"すきだよ"

小さな手が抱えていたのは大きな花束で
優しくて純白の花
花びらの数は全部5枚だった

"おはなはえいごでフラワーなんだよ"
照れ隠しなのかかわいい知識を教える男の子
女の子は男の子に抱きついた
その顔は満面の笑みだった。


フラワー

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