布団の温もりを惜しんで朝を迎えると
窓の外に小鳥がとまっていた
サンドウィッチをトーストして
コロンビア豆のコーヒーを淹れて
少しの時間眺めていたら
余裕という名の贅沢など跡形もなく消えてしまった。
何時に起きても
支度をすれば同じ時刻
無情にも進む時計の針を尊敬するよ。
コーヒーは後味にとっておくべきだったと
少し悔やみながらサンドウィッチを頬張る
静謐で優雅な朝を夢見る日々は
いつも少しだけ忙しない
コーヒーが冷めないうちに
二人掛けのベンチ
一面黃葉したイチョウに
老夫婦は霞んだ空を眺める
はだけてますよ
指先の向こうで整うマフラー
秋色に一際目立つ緋色に
紡がれる温度と
輪郭の歪んだ雲の冷たさが
肌寒さを象徴した
cloudy
気にしたことがなかった
こんなにも胸が高鳴ってしまうのかと
声にならない声を呑み込んで
画面をつけては消す
若干おろかである気がして我に返るが
反して静寂すぎる部屋から視線を感じるまでに
高揚していることを隠せない
現を抜かすほどの
相手を待つ一日千秋な時間を過ごす上では
理性は感情に勝てないものである
既読にならないメッセージ
明日世界が終わるなら
食べたいものを作って
会いたい人とあって
全うしたと感じられる場所に行くのかもしれない
地球からみれば刹那でしかない人間の寿命は
繰り返されるが故に固く続く。
月は地球の全てを知るというが
滅びる地球を見て何を思うだろう
衛星をやめて自由になれたらどこへ行くのか
文明も破壊されるのは若干虚しいが
歴史を知る者もいなくなるなら意味はない。
動物は何を察するのか
人はやはり神に願うのか
考えても意味はないけれど
そのうちやってくる日を考えてみるのも
ロマンがのっかる娯楽でしょう?
もしも世界が終わるなら
台風が好きだった。
学校にいるときに豪雨が降り始めると
窓から見える景色が灰色に一変して
教師が職員室に収集される。
バチバチと音を鳴らして降る雨を、
いつ光るか分からない雷を、
授業のない教室から眺める
蛍光灯の眩しさにやられるあの時間が好きだった。
頭痛も咳も目眩も何も考えずにいられたあの日に
戻ったりしていないかな。
台風が過ぎ去った見事な日本晴れの空
未だ少しの頭痛を抱えながら
そんな思いを寄せてみる
台風が過ぎ去って