水族館に来た。なぜだか知らないが、あの子とだ。
「なんで僕と一緒に行こうと思ったの」
「理由はないな。高橋くんと行きたかったから!へへ」
つまり、教室に振りまいてるこの笑顔を今日は僕が独り占めできるってことだ。
「あ、見て、クラゲだ」
彼女の目線の先を辿ると、ふわふわと泳ぐクラゲがいた。
彼女は珍しく穏やかな真顔でクラゲを見つめていた。
身長は僕より下、いつも制服姿で慣れてるからか、青を基調とした服装が珍しく思える。
やっぱり、好きだな。
感じてると余計に恋心を意識してしまう。
僕と君の関係が、『真実の愛』という題名ならいいのに。
…と、考えてしまった。
『勿忘草』(高橋くんシリーズ好きかも…これからちょくちょく出てくると思います笑笑)
夕方、午後5時25分。
私は家から近い公園で子供達が遊んでる所をみた。
歳は…小学校低学年くらいだろうか。
3人は鬼ごっこ、2人はブランコで遊んでいる。
…ていうか、あんなに大きくこいで大丈夫なの?
見てると少し心配になってきたけど、同時に少し懐かしい感じがした。
私も、小学生の時にここでよく遊んだ。
そこでよく遊んでた人が、私の初恋の人だったなぁ…。
しばらくぼーっと子供を見ていると、1人が私に気づいて、トコトコと歩いてきた。
「おねーさん!私達と遊ぼうよ!」
はじけるような笑顔に魅了されそうになったが、今は高校生として、子供達に教えないといけないことがある。
「ありがとう。でもあなたたちはもう帰る時間じゃない?5時すぎてるからさ」
「あ、ほんとだ!ママに怒られちゃう」
「帰るかー!」
「ありがとう!おねーさん!」
みんなが帰路へと向かっていく中、私は空っぽになった公園のブランコに座る。
何年も経ってるのに、全く変わらない景色だ。
あの子達も私くらいの年齢になったら、私と同じように子供達に5時に帰ることを教えるのかもしれない。
私もそこにいたら、あの子達にさらに先のことを教えてあげようと思う。
この公園のブランコで、ずっと君達を待ってるよ。
『ブランコ』
彼女と旅行に来た。
「秋斗見て、沖縄の海めっちゃきれい!」
無邪気で可愛い笑顔で言う。
「梓は海が好きだね」
ホテルのベッドに寝転びながらそう答えると、彼女は急に真剣な顔になった。
「海は、お父さんの仕事場だったんだ」
あまりにも静かだから、思わず起きてしまう。
「小さい頃、よく連れてってくれて『海は心の友達、辛い事、悲しい事があると助けてくれる』ってよく言われた」
一旦話を止めた彼女の顔を見ると、涙で濡れていた。
「でも、その“海”にのまれて死んじゃったんだけどね」
耐えきれず、俺は彼女に聞いた。
「じゃあ…なんで海が好きなの?」
彼女は相変わらず静かな声だったけど、今度は優しい笑顔で言った。
「お父さんが海にいる、ずっと私を見てくれてるって思って、私はそれだけで、ずっと生きていけるんだ」
その笑顔を見た瞬間――
俺は、決めたんだ。
この子と、歩くんだ。お父さんのような存在になれるかは分からないけど。
でも俺は選んだんだ。
彼女と人生の旅路を歩むことを。
『旅路の果てに』
朝、学校に着くと君がいた。
いつもと同じ人を元気にさせる笑顔、持ち前の明るさで周りには沢山の人がいる。
挨拶もみんなにしてくるし、仲良い、仲良くない関係なしに話しかけてくる。
「おはよう!高橋くん」
もちろん、それは僕に向けても、だ。
「おはよう」
挨拶をされたら、返すことくらい僕もする。
こんなに近くにいるのに、心の距離は地球の反対側にいるみたいに遠い。
僕も、君の近くで同じ景色を見たかった。
僕の想いを、貴方に…。
『あなたに届けたい』