新年
「明けまして、おめでとうございます〜って誰もいねぇ」
「蛸嶋君がおるけどみえへんのん?」
「蛸嶋君おはよ、他に人いねぇの?」
「神社で大忙し」
「蛸嶋君は?」
「俺人見知りやから……」
「それで柳谷邸で薔薇の内職してんの…?」
「こたつあるしストーブあるしお前の警護って言えば融通きくし天国最高、今度Wi-Fi接続しよかな」
「すげぇ!ひとんちなのに図々しい!」
「Wi-Fi無しで現代人が生きていけると思うなよ」
「それはちょっと依存のレベルじゃない…?」
「5分圏外だと手が震えてくるだけやから」
「病気じゃない?」
「あとから五月も来る言うとったで」
「……神社の手伝い、不得意そうだもんね…」
「俺より得意やけど向き不向きってあるからな」
「でも結構多様性?に優しいんだなここ」
「対応力がたかいんや。俺だって奴だって埋め合わせとかしとるんやで」
「あ、俺4日は商店街の福引の手伝いいくけど蛸嶋君は?」
「……応援してる」
「おっけ」
後で差し入れを持って行こう。
蛸嶋君は寒い寒いとぶーたれていたが、しっかりついてきたのでやっぱ俺の警護だなぁと思ったり。
ひとのやさしさに支えられていることを実感する日々。
良いお年を
1年の計は元旦にあり。
とは言うが。
「元旦を万全にするために今年の汚れを大晦日で全部落とそうってのは無茶じゃねぇかな」
「尾上、手を動かす。愚痴こぼす、部屋綺麗、ならない」
「へいへい」
「元気ない。ヘイはこう。hey!!」
「真顔でやるテンションじゃねぇよそれ」
「お前ら割合仲良いやん」
「お部屋の主チーっす」
「チー」
「蛸嶋君てよべやァ!そのネタ年越したらお前らのせいやぞ」
「普段から掃除しない蛸嶋君の自業自得でしょ」
「怠慢反対、怠慢反対」
「ええいやかましい、あと10分したら休憩!」
「それ1時間前にもやったよ」
「サボり過ぎ、ノー」
ごじつかひつします
1年間を振り返る
「去年の俺何してたか覚えてねぇ」
「私は毎年ほぼ同じですので逆に覚えていませんわね」
「『ザ・師走』って感じの忙しさだったな」
「尾上君は中学3年生だったのでしょう、宿題とかクラスの友達とクリスマスとかあったのではないのですか」
「友達とかいねかったからわからん」
「……左様ですか」
「兄ちゃんとケーキ分けたり肉分けたりはしたな」
「あぁ、あの方…お元気ですかね」
「元気だろ、あの人10トントラックと正面衝突して無傷だし」
「人間ですか?」
「近所の人に鉄人って呼ばれてた」
「強すぎる……」
「とりあえず来年も引き続き護衛シクヨロでーす」
「多分夏頃には修行明けて独り立ちですわよ」
「……つまり?」
「大学受験、頑張ってくださいね」
「………………ウス」
当たり前だけど、別れが近づいている。
半年前の自分なら両手をあげて喜んだ。
妙な居心地の良さをしった今、少し寂しく感じるのは、
随分自分勝手だよなぁと思うのだった。
————-——————————————————-
漠然としていた未来がだんだん定まってくると焦るよねって話
みかん
「……お行儀が悪いですのよ」
「あ?」
「蜜柑の皮、ぼろぼろです」
「け。なんで間食の仕方までやいやい言われなきゃなんねぇんだ」
「丸呑みも危ないですのよ!一房ごとに分けた方が顎にいいです」
「俺の顎はあんたほど軟弱じゃねぇもんで」
「蜜柑の汁が口の端から飛び散るのが汚いんです!」
「知るか、飛び散るような距離にいるのが悪い」
「片付けもしてください自分が散らかしたんですから!」
ごじつかひつします
変わらないものはない
永遠なんて、どこにもない。
それは悲しいことだけど。
誰かにとっては、救いなのだと。