ね。

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11/21/2025, 1:26:05 AM

最果ての地。ここに着いてから、まだ誰とも会っていない。
荷物ひとつで砂漠の中をとにかく歩き回ったボクは、もうダメかもしれない、と諦めそうになったとき、遠くにこの地を見つけた。どうにか辿り着きたくて、もつれる足を叩きながら、必死で歩いた。気がついたらボクはベッドで眠っていた。窓から射し込む太陽の光が眩しい。テーブルには食事が置かれていた。パンとシチュー。まだ、あたたかい。空腹だったボクは夢中でそれらを胃に流し込み、ひと息ついた。


さて。


ここはどこだ?
これは誰の家だ?
そもそも誰がボクをここに運んでくれたんだ?食事も、誰が?



疑問が次々と浮かぶが、とにかく今は安全な場所にいられることの安堵した。ボクは逃げてきたからだ。いろいろなものから。ボクを逃がしてくれた人々はみな、きっともう生きてはいないだろう。



ドアを開け、外に出てみる。
人はいないが、寂しい感じはしない。不思議と安心する場所だった。噴水のわきに看板があった。『最果ての地』と書いてある。遠くまで来てしまったんだな、ボクは。



大きくなったら、科学者になる。幼いボクはそう決めていた。父のように立派な科学者になることを夢みていた。なれると信じていた。母のように料理が上手くて優しい妻と可愛い子どもたちがいる、ありきたりだけど、そんな未来をみていた。
しかし、全く違う未来がいまここにある。目の前には誰もいない。知らない場所にひとり立っているボクがいる。正直お先真っ暗だ。住めそうな建物や水がある、それは大きな救いではあったが。


未来は思い描くことはできるが、思い通りに行くわけではなかった。でも、可能性を信じたい。これから誰かに会えるかもしれない。誰かがボクのようにやってくるかもしれない。人はいないが、何かがこの最果ての地を守っているのは確かだ。それらと共存していけるかもしれない。世の中、決まったことは何もないのかもしれない。だから、ボクができることからひとつひとつ始めてみる。焦らずゆっくり進んでみよう。見えない未来をボクが今から作るることができるかもしれないから。

11/20/2025, 12:26:01 AM

光に向かって 押し出す風
善も悪も 全てを 押し上げる
そもそも 善悪なんて ないのだけど

光に向かって 大きく 大きく 
全てを 押し上げている
こぼれ落ちる ものが ないように

光に向かって うねりながら
ゆっくりと 時には 豪快に 
巨大な手のような 風が
地球全体を 吹き抜けていく

11/18/2025, 10:33:59 AM

火を灯す。
目の前に拡がる懐かしい風景。
必ずあの子が出てくるが、あと少しで手が触れる、というところで、いつも火が消えてしまう。

私は、何度も何度もランタンに火を灯す。
あの子の笑顔が見たくて。
あの子に触れたくて。


いつしか私は、自分がかなり年老いていることに気づく。老いの速度が異常に早い。記憶の中のあの子に会うことは、私の寿命と引き換えだった。


それでも、あの子に触れられるまで私は火を灯し続けるのだろう。

11/18/2025, 6:52:11 AM

木枯らしが吹く季節は、キミのことを思い出す。初めて会ったのは、この公園だった。キミは泣きながら落ち葉を踏み潰していた。その姿があまりにも切なくて、ボクは思わず声をかけたんだったな。何度かバッタリ会ううちに、趣味が同じことをしり、急激に仲良くなったボクたち。お互い約束したわけではなかったが、毎日大体同じ時間にこの公園に来るようになった。


明日、キミに告白しよう、この手紙を渡そう、と決めてボクは生まれて初めてラブレターを書いた。今どきラブレターなんて古くさいかもしれないが、ボクはどうしてもキミに手紙を渡したかったんだ。
次の日、キミは来なかった。いつまで経ってもキミは来なかった。それからキミに会うことはなかった。連絡先を交換してにいなかったから、その日何故来なかったか分からないし、今どうしてるかも分からない。キミは元気なのかな?


この季節になると、渡せなかったラブレターを箱からそっと取り出し、唯一知っているキミの名をただ見つめる。
ラブレターの宛名は『冬へ』だ。

11/17/2025, 12:41:56 AM

鈴の音が どこからか きこえる。
キミを 迎えにきたのだ。


月夜に照らされ キミの横顔を みれば
目からひと筋の涙が こぼれ落ち
光のつぶ と なって 消えた。

どこかの 昔話のようだ。
こんな夜に 
キミが いなくなる なんて。


鈴の音と共に あらわれた
大きなカバンを 背負った男。
キミの 本当の父親。
嬉しいことのはずなのに 
涙が溢れて止まらない。



2人は 深く頭を下げて
何も言わずに 去っていく。
ボクは ただ 見送る。
ずっと ずっと。
姿が みえなくなるまで。



きっと また 会える。
キミは 
月に帰るわけでは ないのだから。

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