かたいなか

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11/28/2025, 9:58:14 AM

ホットミルクにはちみつを少し。
あるいは荒れた心に酒と塩辛いツマミを一皿。
心の深呼吸がお題のおはなしを、ひとつご紹介。

「ここ」ではないどこか、別の世界に、「世界線管理局」なる厨二ふぁんたじー組織があり、
世界と世界を繋いだり、繋いだ航路を整備したり、
滅んだ世界からこぼれ落ちた難民を、難民シェルターに住まわせたりと、
様々な業務を為す、それはそれは大きな組織。
広報活動の一環として日本でもマルチメディア展開等々、フィクションのフリして顔を出している。

中でも世界線管理局の、法務部執行課、実動班の特殊即応部門で部門長をしているドラゴンが、
二次創作的に
特に女性の一部のオクサレ腐女子陣営に
右か左かの大論争と大戦争を巻き起こしながらも
ひとつのジャンルとして、人気を持っておって。
そして今回のお題の回収役でもあった。

ドラゴンはビジネスネームをルリビタキといった。

「はぁぁぁ、ルー部長だ、ルー部長……」
ひょんなことから世界線管理局の、難民シェルターに来ていた東京都民は、後輩もとい高葉井。
ルリビタキと彼の部下・ツバメのタッグをこよなく愛する、ルリビタキ右辺教の信者である。
「おなかプニプニ……いいにおい……はぁッ」

推しが目の前に現物として存在する世界を、高葉井は諸事情により訪問して、
そしてちょうど推しドラゴンが難民シェルターの草原で、人工太陽の陽光を浴び昼寝している。

たくましい背中の鱗を撫でても起きぬ。
凛々しい顔を撫でても起きぬ。
手を、足を、尻尾を触れても、とんと起きぬ。
ただこの場所を安全地帯と認識し、周囲に棄権生物が居ないことを理解しておるルリビタキは、
ぐるるる、ぷしゅる、ぐるるる、すぴぃ。
スマホゲームのイラストでもメディアミックスのコミック版でも見られないような穏やかさで
ただただ、熟睡している。

ここでお題回収。
高葉井は推しのドラゴンの、強い鱗に守られていない内側、すなわち「おなか」に顔を埋めて、
すーはすーは、すぅすぅすぅ。
ネコ吸いならぬドラゴン吸い、推し吸いを開始。
これぞ高葉井の、心の深呼吸であった。

「ほあぁぁ、ルー部長、あったかい、良い匂い」
時間の流れがドチャクソに早すぎる都民には推しが必要なのである。

11/27/2025, 9:58:11 AM

時の階段をのぼり詰めると、誰かと出会える気がしてくるそうですが、
今回のお題は、階段ではなく糸とのこと。
時を繋ぐ糸で、こんなおはなしをご用意しました。

「ここ」ではないどこか、別の世界に、「世界線管理局」なる厨二ふぁんたじー組織がありまして、
ちょうど、つい最近まで、今年度のボーナス予算をかけたバトロワ祭りが開催されておりました。
優勝したのは、いろんな世界から回収してきたチートアイテムを、安全に収蔵している部署。
収蔵部の、収蔵課という部署でした。

その中でもイチバンの功労者、MVP局員のビジネスネームを、ドワーフホトといいました。

「んん〜、悩ましい、悩ましいよぉ」
一気にドカンとほぼ3年分の予算ほどの金額が、収蔵部の収蔵課に入りましたので、
あれ直そう、これ入れよう、そこ増築しよう、
余った予算は収蔵部内で共有しようと、
もはや、祭りの二次会状態です。
「この際だからぁ、あたしの収蔵庫、広範囲デジタルアバター投影装置、導入しちゃうよぉー!」

あれも欲しい、これも欲しい!
収蔵課保有の予算残高の、チート同然とも言うべき額を、タブレットで見ては幸福に……
笑っておった、ドワーフホトですが。

「……あれぇ」
なんということでしょう。
ドワーフホトが見ているそのリアルタイムに、
じゃんじゃか、どんどん!
一気に残高が減っていくではありませんか!
「おかしいなぁ。収蔵部の、別部署かなぁ……?」

ここからがお題回収。
というのもドワーフホト、予算獲得祭りの中で、
祭り会場の一角をバッキバキに破壊しまして。
その修理費用が今まさに、請求され、受理されて、
キッチリ引かれている最中なのでした。

「収蔵部収蔵課から修理費、入りました」
ドワーフホトが壊したあっちこっちを、せっせこ御安全に回復工事しておるのが、
環境整備部の、工事施工課でした。
「では、始めましょう。
安全第一、ゼロ災、ゼロハラ!ヨイカ!」
「安全第一ゼロ災ゼロハラ!ヨシ!」

せっせこせっせこ。
工事施工課の局員の数人が、同じ環境整備部の難民支援課や空間管理課の局員と一緒に、
お題の「時を繋ぐ糸」でもって、
時を繋ぐ布を編みます。

「ほいきた!1枚目!」
「はい、貰っていきます」
「じゃんじゃん織るからじゃんじゃん持ってって」
「2枚目貰っていきます」

世界線管理局に「時を繋ぐ糸」は何種類も収蔵されており、それぞれ効果が違いますが、
回復工事に使われている「この」時を繋ぐ糸に触れたものは、壊れた塀や陥没した道路等々の、
現状と過去の、時を繋いで、
結果として元通りに戻してくれるのでした。

ただドチャクソに高価でして……

11/26/2025, 9:59:45 AM

数日前から連載風に続いてきたおはなしも、そろそろ終わりが見えてきました。

「ここ」ではないどこか別の世界に、「世界線管理局」という厨二ふぁんたじー組織がありまして、
そこの経理部のイチバン偉い経理部長は、ビジネスネームをプロアイルルスといいました。

「にゃごにゃご。にゃごにゃご」
「プロアイルルス部長はこう仰っています。
『諸君。闘え。争え。最後の1チームになるまで敵を叩きのめせ』と、仰っています」
「にゃーごぉ!にゃーごぉ!にゃごにゃごにゃご」
「『敵対!闘争!これぞ本能』と仰っています」

カギ尻尾のおでぶ巨大猫、プロアイルルスは喧嘩(オブラート包装済)が大好き!
管理局の資金を運用して、運用益を大量生産するのがとっても上手なので、
この運用益を局内のボーナス予算として、
たったひとつの部署、たったひとつのチームに、還元するための大会を開催しました。

目玉が飛び出るほどのボーナス予算です。
あの部署、この課、そっちの班が名乗り出て、
バトロワ形式で予選が為されて勝ち残ったのは収蔵部の収蔵課と法務部の特殊情報部門。

「ただ、勝つだけだ!」
特集情報部門の1匹が、チーチー言いました。
「勝って、みんなで、極上ナッツを買うんだ!」
特集情報部門の局員は、皆みんな、ハムスター。
小ちゃい体に不思議なチカラを持っておるので、
それを使って、あっちこっちで情報収集の仕事をする、プロフェッショナルでありました。

「ダメだ。まず、特殊情報部門のオフィスを、俺達が今よりもっと使いやすいように、改修だ」
「改修なんて、いらないよ!まずは僕たちのための、極上で、最高で、リッチなミックスナッツ!」
「借金!僕の借金!」
「ひとまず、勝とう。勝たないと何もできない」

チーチー、ちゅーちゅー。
それぞれ叶えたい願いが違うようです。
だけどハムスターのわりに、チームワークは良いようで、3匹して群れて収蔵部を警戒します。

「僕たちの小ささを、利用するんだ!」
とっとこハムズの特集情報部門局員は、決勝戦の戦場の、落ち葉の道の中に隠れます。
「ここに隠れておけば、」
ここに隠れておけば、収蔵部の人間たちは、僕たちを見つけることができない!
油断したところを叩くんだ!
とっとこハムズは考えたようですが、

どうやらハムズ、収蔵部と相性最悪だったようで。

「そーれぇ〜!収蔵品あたーっく!」
ぶわわわわ!
決勝戦の開始早々、ハムズの対戦相手、収蔵部収蔵課の局員が、リップのようなアイテムを取り出し、
きゅぽん!フタを開けたと思ったら、
魔法のリップから防風が吹き荒れて、
ハムズが隠れていた落ち葉の道を、びゅおう!
ハムズもろとも、吹き飛ばしてしまいました!

「なんでぇぇぇ!」
「僕これで飛ばされたの何回目だろう」
「あー、これは負けたか……」

結果、情報収集のプロフェッショナル、とっとこ特集情報部門のハムズたち、
落ち葉の道の落ち葉と一緒に魔法の防風に巻き上げられて場外へ。
決勝戦は収蔵課が、見事勝利しましたとさ。

11/25/2025, 9:59:23 AM

君が、君こそが、私が隠した鍵!
君が「隠した鍵」なのだ!
なんてトンチを思いついたものの、物語として落とし込むには至らなかった物書きです。
今回はこんなおはなしをご用意しました。

最近最近のおはなしです。
都内某所、某稲荷神社敷地内の一軒家に、人間に化ける妙技を持つ化け狐の末裔が、家族で仲良く住んでおりまして、
そのうち末っ子の子狐は、美味しいものが大好き!
最近、稲荷狐の見習いとして、
正式に、美しい、不思議な名前を貰いました。

でも子狐、まだまだ小ちゃい子供なので、
自分が貰った漢字ばっかりの名前
【奇鍵守美食銀杏狐】
(くし、かぎもり・みけ の イチョウぎつね)
が読めません!!
「不思議な、鍵守と良き食物の、イチョウ狐」といった意味の名前なのですが、
しゃーないのです、子狐は、「子狐」なのです。

だけど「鍵守」の名前に相応しく、
コンコン子狐、稲荷狐の四宝のうち、鍵の宝物を授かりましたので、
取り敢えず、自分は鍵の稲荷狐として認められたのだとは、一応、いちおう、理解しておる模様。

「かぎ!かぎ!」
コンコン子狐、稲荷の不思議な鍵の使い方を、そこそこ段々、学習してきました。
「かぎ!かぎ!」
稲荷の鍵の、不思議なチカラをもってすれば、
あらゆる宝物の蔵、あらゆる豊穣の箱、あらゆる願いの門の鍵が、稲荷狐の名のもとに開かれます。

今日は子狐、美味好き同志の管理局員・ドワーフホトに、稲荷狐の鍵を自慢したくて、
ドワーフホトが仕事をしている職場にトテトテ!
尻尾振って、狐耳ペタリして、お目々なんて幸福でキラキラさせながら、
歩いては、行ったのですが。

「いいにおい」
ドワーフホトが居るであろう場所を、ドワーフホトの魂の匂いを辿って辿って、探しておると、
コンコン子狐、道中で管理局内の隠しキッチンを、ひとつふたつ、察知してしまいまして。
「いいにおい、いいにおい!」
というのも管理局の壁のあたりから、ご馳走を出し入れした形跡の香りがするのです。

きっと柿です。柿のカプレーゼです。
あるいは柿のクリームタルトです。
「かき、かき!」
コンコン子狐は狐なので、柿が大好き!
野生の狐も、甘い柿を見つけると、しゃくしゃく。食べることがあるのです。

ここでお題回収。

「かぎ、」
どこかに、鍵があるはずだ!
コンコン子狐、壁の向こうに隠された隠しキッチンのドアを、そのドアのロックを探して、
くんくん、くんくん!タシタシタシ!
匂いをかいで、前足で連打して、歩き回ります。

「かぎ!かぎ!」
ああ、どこかの誰かさん!
君が隠した錠前は、君が隠した鍵は、どこだ!
コンコン子狐、狐の本能でもって、
匂いを辿ってくるくるくる!

狐の執着でコンコン子狐、鍵の場所を特定して、
とてとて、ちてちて!難なく隠しキッチンの中へ。
「かき、」
隠しキッチンには、美味しそうな食材がいっぱい!
どうやら温かいオーブンの中で、
柿ではなく、牡蠣も、チーズだのバターだのと一緒に焼かれておるようです。
「かき!」

ここで待っていれば、美味が完成するのだ!
コンコン子狐はオーブンの前で、出待ちします。
「まだかな。まだかな」
子狐のテンションはマックスです。
子狐の尻尾は、高速回転しています。
このご馳走を、美味探求の同志・ドワーフホトと一緒に食べるのは、とても幸福なことでしょう。
「かき、かき!」

君が隠した牡蠣は、子狐が頂く!
コンコン子狐はご馳走が完成するのを、
ずっと、ずーっと、待っておったとさ。

……ところでこの牡蠣誰がつくったんでしょうね?
(お題と無関係のため以下略)

11/24/2025, 9:52:44 AM

前々回、前々々回、もう少し前かもしれませんが、
ともかくその頃から続いておったおはなしも、そろそろクライマックスが見えてきました。

「ここ」ではないどこかの世界に、「世界線管理局」という厨二ふぁんたじー組織がありまして、
そこの経理部のトップ、経理部長が、
どこぞのゲーム会社の女帝さまほど、ドッサリ資産運用利益をこさえます。
数年に1度、2度、たまに3度くらい、
気まぐれかつ自分用の娯楽に、特別予算増額まつりなど、突発開催するのです。

「にゃごにゃご。にゃご、にゃーご」
管理局の経理部長は、カギ尻尾の巨大おでぶ猫。
管理局内ではビジネスネーム制を敷いておりまして、このおでぶ猫はプロアイルルスといいました。
「にゃごご。にゃごにゃご、にゃああご」

さて、おでぶ猫のプロアイルルス部長、
今年もなかなか財政を潤わせましたので、
各部、各課、各部門対抗の予算増額戦を突如敢行。
「プロアイルルス部長は、こう仰っています」
経理部長の通訳は、部長の身の回りのお世話をしている魔法生物です。
「『さあ、諸君、闘え、争え、敵意をぶつけ合って互いに互いを潰し合うのだ』と、仰っています」

なんということでしょう。このプロアイルルス部長、趣味嗜好がまさかのほぼほぼ悪役状態!
醜かろうと美しかろうと、ともかく誰かと誰かが敵対し、攻撃し、争い合っているのを見るのが、
ドチャクソに、
バチクソに、
それはそれはもう、
超が付くほど、大好きなのです!

さて。そんな魔王プロアイルルス部長が主催する、ボーナス予算の獲得をかけた戦いです。
ひとつの部、ひとつの課で結束して、部全体・課全体で優勝予算を分け合う魂胆のチームもいれば、
ひとつの班、ひとつの部門で祭りに応募して、優勝予算をほぼ全額頂こうとするチームもいます。

今回のお題回収役は、後者でした。
後者だったのですが。

…——「おっと。今日に限って事件発生か」
予算獲得祭りは3人1チーム。
法務部執行課のいわば警察役、特殊即応部門のツバメは、予選会場に向かう途中でまさかの企業スパイならぬ局スパイを発見しました。
「まぁ、私が行かなくても、ルリビタキ部長とカラス査問官がいれば、どうとでも」

管理局には、管理局を推しの仇とばかりに忌み嫌う、「世界多様性機構」という組織からの刺客が、
たまにというか、しょっちゅうというか、
ともかく潜り込むことがありまして、
ツバメたち特殊即応部門は、そういうのを見つけるとソッコーで、捕まえてしまうのでした。

「よし。予選は他のふたりに任せよう」
お題回収。ツバメが手放した予選の時間は、ツバメの仲間に託されました。

…——「いかん。もうこんな時間か」
予算獲得祭り、ツバメのチームはあと2人。
そのうちの1人のルリビタキ部長、ただいま別の部署との緊急会議中でした。
というのも来年管理局に異動させる予定の人物、3人について、詰めの議論が必要でして。
「まぁ、俺が行かなくても、ツバメとカラスがいれば、どうとでも」

特殊即応部門の部門長・ルリビタキには、頼れる部下がたくさんいまして、
特にツバメはルリビタキの右腕、
カラスは尋問による情報収集のエキスパート。
どっちもルリビタキ、信頼しておったのでした。

「よし。予選は他のふたりに任せよう」
お題回収。ルリビタキが手放した予選の時間は、ルリビタキの仲間に託されました。

あれ。3人中、2人が出場放棄です。
となると……??

…——「あのさぁ!俺ひとりで!どうしろって!!」
予算獲得祭り、ツバメのチームは残り1人。

「ツバメさん1人ならぁ!あたしでも、なんとかなるもーん!覚悟しろぉ〜、口紅ビィーム!」
「やめて待って止めて!やめて待って止めて!
ガチでおねがいちょっと待ってまっ、あっちょ
あふん」

お題回収役、2人が手放した時間によって、
1人が苦労するハメになったおはなしでした。
結果、特殊即応部門は予選敗退。
しゃーない、しゃーない。

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