小絲さなこ

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5/16/2024, 2:27:47 PM

「天にも昂る心地」



「俺、単純だからさ」

そう言って、君にキスを強請る。
一瞬、呆れたような表情をしつつも頬に口付けてくれる君は、いい彼女だ。

「今なら俺、なんだって出来る気がする。空も飛べるかも」
「やる気出たのはいいけど、危ないことはやめてね」
「しねーよ」
「はいはい、いいから続きしよ」
「キスの……?」
「な、なんでそうなるわけ?勉強にきまってるでしょ!」
「お、おう……」

もともと俺の成績はあまり良い方ではなかったが、ここ数ヶ月、成就した恋にうつつを抜かしてしまい……
その結果、今度の試験の結果次第では交際に反対すると母親に言われてしまったのだ。

「目指せ、学年一位!」
「目標、高過ぎじゃない?」




────愛があれば何でもできる?

5/15/2024, 2:14:31 PM

「今さら気がつくなんて」


言葉にしなくてもわかっているはずだと、思っていた。

君が本当に欲しいものは何だったのか。
俺はいつも勘違いしていて、ズレたものを贈っていたみたいだ。

言葉にしなくても、君ならわかってると思っていた。



信じているから、信じてくれていると思うなんて。
信じているのなら、きちんとそれを伝えなくてはならない。

君が欲しかったのは、高価なものなんかじゃなかった。


こんな簡単なことに、君がいなくなってから気がつくなんて……



────後悔

5/14/2024, 1:38:05 PM

「ゴール」


みっともないくらい色々なことに逆らっても、ろくなことにならない。
少なくとも、俺の場合は。

ゆるゆると流れるように、たどり着くのもまた運命だと思う。
遠回りだとしても、ゴールは同じだと信じたい。


「つまり、何が言いたいわけ?」

あなたの話は長いのよ。
そう言いたそうな君を焦らす。
さすがにこの先のセリフは、追いアルコールしないと小っ恥ずかしい。

「結局、俺たちはこうなる運命だった、ってことだよ」

出会って、付き合って、別れて、数年後また出会って……

「だから、そろそろ婚姻届書かないか?」




────風に身をまかせ

5/13/2024, 2:27:36 PM


「好きだったひと」



諦められなかった三年間。
会うのが怖い一方で、数十秒でも会いたかった。

あの子を見るあなたの視線に、胸を痛めるとわかっているのに。

あなたの想いが叶わないことが苦しい。
そして、私の想いも叶わないと思い知る。

それの繰り返し。


前進しない恋の連鎖。
諦めれば楽になれるとわかっていたのに。

やっぱり私とあなたは似ている。
諦めが悪いところさえも。


このままではいけないと、会わないと決めて、忙しいふりをして、物理的に距離を取った。
忙しいふりが本当の忙しさに変わり、気がついたら季節が巡り数年。

あなたのことを考える暇なんて無くなってしまった。


ちらりと覗いたSNSで、近況を知った。

あなたはあの頃のまま。
あなたは今でもあの子のことを見ている。

私が捨てたあの頃の気持ちを今でも持っているあなたが、眩しい。


どうか、あなたの想いが届きますように。





────失われた時間

5/12/2024, 2:21:33 PM

「これは君が望んでいること」



ずっとこのままでいたいと思っていた。
ふたりの関係も、お互いを思う気持ちも、ずっとこのまま変わらないと信じていたんだ。

だけどいつの日か、変えたいと思い始めてしまった。

もう、ただの幼馴染という関係では嫌だ。
友達という関係のままでは嫌だ。

そう思うようになってから、少しずつふたりの視線がズレていった。

君はずっと変わらないことを望んでいる。
この先何年経っても、ずっとこのままでいよう、と君は言う。


だからまだ、俺はあの頃と変わらないフリをしている。

君はそれが気に食わないようだ。
怒られる筋合いはないなぁ。
君を女の子扱いしないのは、半分は君のせいだ。


俺に女の子扱いされたいと思うなら、その理由をちゃんと考えてほしい。
ずっとこのままでいたいと、逃げたりしないで。



────子供のままで

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