「照れくさいから一言しか言わないよ」
ほっぺを赤らめてうつむき加減に君が
「君の優しい人柄に告げるよ、I love you」
私は大きくうなずいて、君を抱きしめてこう言った。
「私は月に行っても君を探すよ。それくらい好き」
働いている会社が改装という名目で、業態を変える話が出ている。
いま自分が働いている部署から離れて0から新しい部署で働きたいと思いつつある。
しかし、一番大切なのは築き上げた人間関係を壊したくない。
そんな思いが頭を駆け巡って気疲れしてる。
0から新しいことを始めるのは、
ワクワクするし、ザワザワもする。
正解はきっと未来にあるだろう。
正解はきっと未来の私が知っている。
この転機をものにするには
ある程度、自分の知恵も必要なんだろうと思うと
もっと経験を積めば良かったと悔いもある。
一つの世界に必ず1人はいる。
誰よりも優しくて、
誰よりも明るい笑顔で、
みんなのムードメーカー的存在の人が必ず1人はいる。
私もそんな人になりたいといつも強く思っている。
でも、なかなかその人のように振る舞うのは難しい。
それに、その人だって泣くことはある。
そして、その人だって落ち込むこともある。
「無理して変わろうとしなくても、自分なりのやり方で『誰かにとっての大切な人』になればいい」
これは私の恩師が言ったひと言だ。
私は誰よりも強い人にならずとも、
私は誰よりも誰かのこころに寄り添える人になろうと、
こころに留めた。
ある日、仕事を終えて帰宅しようと駐輪場に停めていた自転車に乗ろうとした時、
ふと自転車のカゴに紙飛行機が入っているのを見つけた。
誰かのいたずらかと思い、ため息をつく。
よく見ると文字がびっしり書かれていることに気づくと私はその紙を広げた。
そこには運命のいたずらかと思うような目を疑う手紙だった。
「10年前の◯◯へ」
そこから始まるその手紙は明らかに私の名前で間違いない。
なぜなら字のクセが今の私と全く変わっていないからだ。
手紙を読み進んでいくと10年後の私は、もうこの職場で働いていないらしい。
その代わり、憧れだった出版社に正社員として勤務していると書いてある。
また、その職場で出会った男性に、
10年後の昨日プロポーズを受けたという衝撃的な事実が記されている。
「では、今の彼氏は?いつ別れたの?」
そう思いながら読み進めても今の私とは縁のないことばかり書いてある。
まるで、神様が私を試しているかのように有る事無い事を書いて天の上から面白がっていると疑い始めた。
でも、手紙の終盤の文章でその思考は払拭された。
「今のあなたのバイト先で働いている人たちは、今のあなたを成長させている。
あなたはこの手紙を読んで大部分を疑っているだろう。
それも無理はないはず。
だってこの手紙は、あなたの夢を神様がなぞらえて書いた手紙だもの。
だけど、一つだけ信じてほしい。
あなたがこれからも真面目に努力をすれば10年後はこの手紙の通りになる。
努力といっても特別なことはやらなくていい。
好きなことをやればいい。
「好きこそ物の上手なれ」だから。
今のあなた次第で手紙は現実のものとなります」
それを読み終えた私は手紙をカバンにしまい、
まだ会えない未来へと向かって自転車を走らせた。
中学生の頃、私はある歌詞に出会った。
それは物語詩ともいえるような流れるような歌詞。
「こんな詩を書けるようになりたい」と密かに思った。
それは夢に似ていた。
私はあの歌詞に出会ってからずっと、
その歌詞に出てくる『あなた』を探していた。
お互いを傷つけながらも愛を育んでいく恋を望んでいた
大人になってそれにならった恋をした。
だけど、その恋は長くは続かなかった。
でも、その経験から得たものがある。
あの日、私が出会った歌詞のような優れた詩はまだ書けないが
あふれ出てくる言葉たちは、詩によって編まれていく。
あの頃に抱いた大きく漠然とした願いを私は今叶えようとしている。
「待っててね。あなたの夢は今の私が実らせるから」