人はみんな二つの側面を持っている。
"天使と悪魔"
優しい善意を抱きながら、時々悪魔が囁く。
わかっているけど、見て見ぬふりをする。
わかっているけど、余計な一言で人を傷つける。
欲、嫉妬、恐れ、罪悪感
沢山経験してきたからこそ、他人の痛みに気づける。
完璧な天使だけでは、人の心の深さなんてきっとわからない。悪魔を知っているから、優しさが本物になる。
他人にも自分にも見えない透明な羽根は、善と悪を抱えて、
私たちの後ろにいる。
もし、もう一つの世界が存在するなら、そこに今のこの気持ちを閉じ込めてしまいたい___
自分の中で少しずつ芽生えた一つの恋心。
世間はそれを多様性と呼び、理解をするべきだと説く。
けれどその言葉は自分がただ特殊な存在であることを突きつけるだけだった。
今自分がいる場所がどれだけ狭いか、旅に出るたび感じる。
大地は常に変化し続けるし、同じ日なんてない。
私たちはただ気づいていないだけなんだと思う。
変わらない日々に息苦しさを感じたとき
平凡な日々に退屈さを覚えたとき
自分も大地と同じように変わり続ける世界の一部なんだと気づきたくなる。
その答えを求めるように旅にでる。
「雨降ってるじゃん。久しぶりじゃない?」
そう言った僕に、彼女は表情変えずこう言った。
「空だってたまには泣きたいよ」って。
あるときは、
「温かい飲み物と冷たい飲み物どっち買おうかな〜」
自動販売機の前で迷う僕に、
「あったかい飲み物にしたら、冷たいのも味わえるよ」
飲み終えるのが遅いことを知ってるから、そう言ったんだろう。彼女はいつもポジティブで、僕にない視点で"モノ"を見てる。
そういうところにまた、惹かれていくんだ。
君があまりにも楽しそうにあの人のことを話すから、
僕は言うはずだった「 」を心の奥にしまい込んだ。