『雪明かりの夜』
遠くで鳴り響く 踏み切りの音
最終電車か 人影まばら
夕方までの 積雪を照らす
満月を見上げて あなたを想う
会えない日々が 続いているね
風邪などひいては いないだろうか?
お互い心配 させたくないと
うそつく…ふたりは 似た者同士
帰りのコンビニ アイスにスイーツ
あなたの好きな物 ばっかり買ってた
月明かりの夜は 遠回りしたくなる
いっぱいあなたを 考えていたいから
無口で不器用な 愛でごめんね
泥んこの雪でさえ 愛したくなる夜
『手放した時間』
銀の時間をポケット入れて
ラーメンみたいな青春…蹴って
炭酸抜けたサイダーの恋
ごみ処理施設の煙突のような夢
何が、どうして、こうすりゃ、あーなる?
答えを探さず聞いてるばかり
身体は朽ちてくのに心は若くて
死にたくないのに何度も首をつる
常識や自立が誰かを追い込み
正義と平和が殺人鬼になり
狂った世の中は傍観者しか残らない
透明になったりスイーツに擬態したり
あのさ、それでさ、まーいいや、おっす‼️
あの日に手放した時間がブラックホール
喰われる前におまえに言いたい
「愛してる」この世界も、汚れたおまえも
『夢の断片』
むしり取られ
搾取され
靴下みたいに穴を開け
キラキラとした
輝きも
老婆の寝顔の肌のよう
そして夢は
身のほどを知り
夢中でボクから逃げてゆく
夢の断片
散らばるカケラ
拾えば冷たい雪になる
「帰ってきな」と
言えずに泣いた
夢の断片よ……生きてくれ
『吹き抜ける風』
北風がびゅーって吹き
襟を立て建物に逃げ込む
愛情と知ってても
熱が出て、咳き込んで寝込んだ
吹き抜ける風が言う
「あきらめな」面倒になるでしょ?
雪が降る荒天も
付き合う、覚悟して此処にいる
南風の春を待つ
来なくても何年も待つつもり
ただひとり、たったひとり
命をゆだねたい人なんて
吹き抜ける風が泣く
「どうして?」って尋ねてるみたいに
冬じゃない季節へ…と
世界がやさしいって、伝えたい
『記憶のランタン』
遠い過去へとテントを張って
ひとりキャンプの夜もある
風に凍えて料理をすれば
会いたい人らの笑い声
聴こえてくるから…酒を呑む
シャイで恋など得意じゃないが
忘れられない人もいる
焚き火のようにゆらゆら燃えて
苦しみさえも愛しくて
死よりも恐れた…別れだった
記憶のランタンかかげて歩く
森や川瀬や田んぼ道
友や恩師にゃ不義理のままで
情けないこの身が恥ずかしい
今の我が身を…墓にしたい
ひとりキャンプも夜明けがくれば
記憶のランタン火も消して
高台に立ってコーヒー飲めば
虫や鳥とも話する
あなたを死ぬまで…心に抱いて